- まえがき
- T 個を生かす社会科授業と学習の複線化─その意義と進め方─
- 北 俊夫
- 1 「学習の複線化」とは何か
- 2 海外旅行のタイプから考える
- 3 学習の「何を」複線化するか
- 4 学習の「どこを」複線化するか
- 5 「学習の複線化」を成功させるポイント
- U 「学習の複線化」場面をどうつくるか
- 1 指導目標と「学習の複線化」場面
- 2 「学習の複線化」場面を組み入れた指導計画
- 3 子どもが選択する教材・活動の一覧
- 4 「学習の複線化」場面における子どもの学習活動の実際
- 第3学年・小単元「むかしさがし」の実践
- 上村 玲子
- 第4学年・小単元「雪の多い地方の人々のくらし方』の実践
- 増田 礼子
- 第5学年・小単元「わたしたちのくらしと通信」の実践
- 楠元 精文
- 第6学年・小単元「わが国と関係が深い国の人々のくらし」の実践
- 嗚田 英樹
- V 「学習の複線化」場面に使えるユニークな活動・教材一覧
- 1 活動・教材一覧
- 2 ユニークな活動・教材の紹介
- 3 学習の展開例─ねらいと活用場面─
- 第3学年
- 1 単元 「わたしたちのまちの人たち」
- 小単元「図書館へ行ってみよう」のユニーク活動
- 武部 浩和
- 小単元「近所の人の協力」のユニーク活動
- 三浦 和美
- 2 単元「わたしたちの市のようす」
- 小単元「学校のまわりのようす“わくわくパーク物語”」のユニーク活動
- 茂松 清志
- 小単元「市のようすしらべ」のユニーク教材
- 田山 修三
- 3 単元「わたしたちのくらしと商店街」
- 小単元「わたしたちのくらしと商店」のユニーク教材
- 山下 正己
- 小単元「店の人々のくふう」のユニーク教材
- 武部 浩和
- 4 単元 「市の人々のしごと」
- 小単元「ふるさとたくはいびんを送ろう」のユニーク活動
- 六角 英彰
- 小単元「工場でものをつくるしごと」のユニーク活動
- 勝又 明幸
- 5 単元「市の人々のくらしのうつりかわり」
- 小単元「古い道具調べ」のユニーク教材
- 長谷川 康男
- 小単元「市のうつりかわり」のユニーク活動
- 三浦 和美
- 小単元「まちのむかしさがしをしよう」のユニーク教材
- 村上 孝治
- 第4学年
- 1 単元 「けんこうなくらし」
- 小単元「くらしと水」のユニーク活動
- 岩切 洋一
- 小単元「くらしとごみのしまつ」のユニーク活動
- 高橋 正彦
- 2 単元「あんぜんなくらし」
- 小単元「火災をふせぐくふう」のユニーク活動
- 茂松 清志
- 小単元「交通事故をふせぐくふう」のユニーク活動
- 新色 裕隆
- 3 単元「わたしたちの県のようす」
- 小単元「地図で見るわたしたちの県」のユニーク活動
- 喜多村 晃
- 小単元「香川の環境マップを作ろう」のユニーク教材・活動
- 池田 孝徳
- 4 単元「きょう土の発展につくした人々」
- 小単元「地域の開発につくした人々」のユニーク活動
- 田山 修三
- 小単元「ただ今子どもワールド王国建設中」のユニーク活動
- 神谷 理
- 5 単元「わが国の国土といろいろな土地のくらし」
- 小単元「日本の国土のようす」のユニーク教材
- 岩切 洋一
- 小単元「低地にすむ人々のくらし」のユニーク教材・活動
- 安野 功
- 小単元「高地にすむ人々のくらし」のユニーク教材
- 高橋 武郎
- 小単元「雪の多い地方にすむ人々のくらし」のユニーク活動
- 高橋 正彦
- 小単元「あたたかい地方にすむ人々のくらし」のユニーク活動
- 宮田 周二
- 第5学年
- 1 単元 「わが国の農業とわたしたちのくらし」
- 小単元「米づくりにはげむ人々』のユニーク教材
- 内海 俊行
- 小単元「野菜づくりに取り組む人々の工夫」のユニーク活動
- 高木 一幸
- 2 単元 「わが国の水産業とわたしたちのくらし」
- 小単元「沿岸漁業のさかんな地域」のユニーク活動
- 加藤 寿朗
- 小単元「養殖・栽培漁業にはげむ人々」のユニーク教材
- 神山 安弘
- 3 単元 「わが国の工業とわたしたちのくらし」
- 小単元「自動車の生産のさかんな地域」のユニーク活動
- 浅野 正道
- 小単元「工業の発達と公害」のユニーク教材
- 高瀬 浩
- 小単元「伝統的な工業とわたしたちのくらし」のユニーク活動
- 長谷川 康男
- 4 単元 「わが国の運輸・通信とわたしたちのくらし」
- 小単元「わが国の運輸業にたずさわる人々」のユニーク教材
- 黒崎 宏一
- 小単元「放送の仕事にたずさわる人々」のユニーク教材
- 大塚 良次
- 小単元「新聞の仕事にたずさわる人々」のユニーク活動
- 高塚 寛
- 5 単元「かけがえのない国土」
- 小単元「国土の利用」のユニーク活動
- 中田 正弘
- 小単元「国土の保全」のユニーク活動
- 関口 修司
- 第6学年
- 1 単元 「わが国の歴史」
- 小単元「身近な史跡をたずねて」のユニーク教材
- 杉森 至
- 小単元「登呂のむら」のユニーク教材
- 杉森 至
- 小単元「古墳がつくられたころ」のユニーク教材
- 村上 孝治
- 小単元「聖徳太子」のユニーク教材・活動
- 小野 正俊
- 小単元「聖武天皇と奈良の大仏」のユニーク教材
- 小野 正俊
- 小単元「藤原道長と平等院」のユニーク教材
- 山口 直嗣
- 小単元「源頼朝と鎌倉武士」のユニーク教材
- 神山 安弘
- 小単元「雪舟と日本文化の広がり」のユニーク教材・活動
- 佐藤 繁則
- 小単元「信長と秀吉と家康」のユニーク教材
- 廣嶋 憲一郎
- 小単元「武士の暮らし」のユニーク教材
- 小野 正俊
- 小単元「町人文化と新しい学問」のユニーク活動
- 廣嶋 憲一郎
- 小単元「明治維新を動かした人々」のユニーク教材
- 小杉 則義
- 小単元「条約改正」のユニーク活動
- 新色 裕隆
- 小単元「戦争中の国民のくらし」のユニーク教材
- 吉村 潔
- 小単元「新しい日本の出発」のユニーク教材
- 高瀬 浩
- 2 単元 「政治と国民のくらし」
- 小単元「政治のはたらきとわたしたちのくらし」のユニーク活動
- 中田 正弘
- 小単元「選挙と政治のつながり」のユニーク活動
- 中田 正弘
- 小単元「日本国憲法とわたしたちのくらし」のユニーク教材
- 村上 浩一
- 3 単元 「世界の中の日本」
- 小単元「日本とかかわりの深い国々」のユニーク教材
- 嶋田 英樹
- 小単元「国際交流と国際連合のはたらき」のユニーク教材・活動
- 佐藤 繁則
まえがき
現在,子ども一人一人のよさや可能性を引き出し,さらに伸ばしていく教育の推進が求められています。社会科の授業においては,すでに子どもたちの多様な問題意識や興味・関心など個に応じる指導が工夫され,さまざまに実践されています。
その一つが,子どもが自らの問題意識などにもとづいて,教材や学習活動の方法などを子ども自身が選択しながら自らの学習をつくっていく「学習の複線化」を取り入れた指導です。幸いにも,個に応じた教育を充実させる観点から,複数教師による協力的な指導(いわゆるティームティーチング)の導入が図られており,この「学習の複線化」場面はさらに取り入れられ一層充実していくことが十分に予想されます。
ところが,社会科において「学習の複線化」を進めていくとき,さまざまな課題があります。例えば,子ども一人一人が自らの問題意識にもとづいて教材や学習活動を選択できるように,子ども一人一人に自らの問題意識や学習の見通しをどうもたせたらよいか。また,教師はどのような複数教材をどのように準備するかなどといった課題も提起されています。教師の側にまず複数の教材が用意されていなければ(もちろん子ども自身に資料を収集させる方法もありますが),子どもに選択するようにうながすことはできません。
授業者として,どのような教材を収集し作成して,子どもたちにどのように提示して学習活動に主体的に取り組む場面を構成するかということは,きわめて重要なことです。にもかかわらず,単元ごとに複数の学習活動の組み立て方や教材の具体例をわかりやすく示した手引きや啓発書が少ないのが現状ではないでしょうか。
なお,ひとことで「学習の複線化」と言いますが,この場合,子どもの学習活動の姿を学級全体として眺めたときには,複数(複線)としてとらえられますが,教材や学習活動の方法を選択しながら取り組んでいる子ども一人一人の立場から見れば,決して複線ではありません。教師にとっての複線型の学習構成は,子ども一人一人にとってみれば「選択型=単線型の学習活動」というわけです。
本書『個を生かす社会科「学習の複線化」事典─全単元教材・活動リスト一覧つき─』は,こうした実践者の願いに応えるため,「学習の複線化」を取り入れた実践のモデルを示すとともに,各学年の単元ごとに「学習の複線化」場面例や,そこで活用することのできる教材を紹介することを意図して企画されたものです。
本書は,次の3つの章から構成されています。
T 個を生かす社会科授業と学習の複線化─その意義と進め方─
ここでは,社会科における「学習の複線化」の考え方や複線化場面の取り入れ方,学習を複線化する場合の留意事項などについて述べられています。
U 「学習の複線化」場面をどうつくるか
ここでは,「学習の複線化」場面を組み入れた指導計画,子どもが選択する教材(又は活動)の一覧,「学習の選択化」場面における子どもの学習活動の実際などの面から,4つの事例を紹介しています。
「選択型の学習」のモデル授業です。
V 「学習の複線化」場面に使えるユニークな活動・教材一覧
ここでは,全学年のほぼ全単元にわたって,活動・教材一覧,ユニークな活動・教材の紹介,学習の展開例─ねらいと活用場面─などが紹介されています。
このように本書は,社会科において「学習の複線化」場面を取り入れた授業の基本的な考え方から実際の指導事例,各単元の活動や教材などがとらえられるように工夫されています。本書が各学校で十分に活用されることによって,社会科の授業において子どものよさや可能性を生かす個性重視の教育が一層充実することを願っております。
本書は,全国の多くの優れた社会科の実践家のご協力と実践や教材のご提供によってまとめられたものです。お忙しいなかをご執筆いただいた多くの先生方に心より感謝とお礼を申しあげます。
また,本書の企画と出版に当たっては,明治図書出版鰍フ江部満さんと樋口雅子さんから貴重なご指導とご高配をいただきました。この場を借りて,感謝の意を表します。
1996年9月 文部省初等中等教育局 教科調査官 /北 俊夫
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- 明治図書
- 社会科に関心があり、今年度から力を入れて学んでいます。タイトルに興味を持ちましたので購入してじっくり学んでいきたいと思います。2024/12/8ふうた
- 学習の複線化、社会科のみならず、他の教科でも参考になる考え方だと期待して投票します。読むのが楽しみです!!復刊お願いします!!2024/12/7りょー
- 主体的に学びを進めるために複線型の学習がこれからどんどん普及していくと感じる。そのためにとても、たまになる本だと感じる。2024/2/20
- 現在の個別最適な学びにつながるヒントがあると思います。多くの方が復刊を切望されているかと思います。よろしくお願いいたします。2023/11/23キャッチャーミット
- 「個別最適な学び」の機運が高まっている今だからこそ読みたい1冊。1990年代に提唱された「学習の複線化」の発想やノウハウを、令和の社会科指導につなげたいです!2023/5/6しっしー