- まえがき
- 1 待ちぶせる日本艦隊
- 2 弱肉強食の世界
- 3 東郷の冷静な決断
- 4 日本艦隊の圧勝
- 5 日本海海戦直前
- 6 東郷のT字戦法
- 7 猛訓練と一斉撃ち
- 8 下瀬火薬の威力
- 9 日本艦隊の地の利
- 10 味方した気象条件
- 11 足並みそろう日本艦隊
- 12 戦術の立案者秋山参謀
- 13 日本将兵の献身意識
- 14 用意周到な日本艦隊
- 15 東郷平八郎の偉さ
- 16 能力主義の山本権兵衛
- 17 理性的な国家運営
- 18 明石元二郎の諜報活動
- 19 日英同盟の効果
- 20 完全勝利に驚く世界
- 21 敵将を見舞う東郷
- 22 東郷平八郎と戦艦三笠
- 東郷平八郎関連年表
- 保護者のみなさんへ
- 参考文献
まえがき
日露戦争がおきた当時の東アジアには、西欧列強が侵入してきていました。西欧列強は東アジアの国々を武力でおどしながら、これを植民地にしつつありました。今日とちがって、ひとつの国がいくら平和を望んでも無力であり、武力のすぐれた国の言い分がとおる時代であったのです。
日本は、アジアの北からの侵入者ロシアに安全をおぴやかされていました。日本は自国防衛のために、一九〇四年(明治三十七年)から翌年にかけてロシアと戦争をしました。日露戦争です。ロシアは、国力が日本の一〇倍くらいある大国でした。日本は、政治家も軍人も一般の国民も、「この戦争にやぶれると日本という国はなくなる」という危機感をもって、命がけで戦いました。そして、日本はきわどく勝利しました。
しかし、なぜ日本はロシアに勝つことができたのでしょうか。日本の勝利を決定的にしたのは日本海海戦でしたが、この海戦で日本艦隊を指揮してロシア艦隊と戦った東郷平八郎は、どのようにして勝つことができたのでしょう。この本を読みながら、みなさんも考えてみてください。
/上原 卓
-
- 明治図書