- まえがき
- T 発展的な調べ学習の考え方と実践のヒント
- /北 俊夫
- 1 発展的な調べ学習の考え方
- 2 発展的な調べ学習の可能性
- U 発展的な調べ学習の教材と活動のプラン:我が国の産業
- §1 「米づくり」を基本教材にした発展的な調べ学習 /西裏 慎司
- プラン1 「無農薬有機農法」を発展的な教材にした「米づくりの新しい技術」を調べる活動のヒント
- プラン2 「農家の人の話」を発展的な教材にした「手紙」による発信・交流学習のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「農業と環境」の学習のヒント
- §2 「野菜づくり」を基本教材にした発展的な調べ学習 /西裏 慎司
- プラン1 「果物づくり」を発展的な教材にした「産地」情報を集め,まとめる活動のヒント
- プラン2 「畜産業」を発展的な教材にした「インターネット」による発信・交流学習のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「特産物を生かした地域活性化」の学習のヒント
- §3 「育てる漁業」を基本教材にした発展的な調べ学習 /高宮 佳彦
- プラン1 「沖合漁業」を発展的な教材にした「生産量の変化」を調べる活動のヒント
- プラン2 「水産物の輸入」を発展的な教材にした「水産物のふるさと探し」の調べ活動のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「世界の魚料理」のヒント
- §4 「自動車工業」を基本教材にした発展的な調べ学習(1) /高宮 佳彦
- プラン1 「地域の小工場」を発展的な教材にした「校区の工場」を調べる活動のヒント
- プラン2 「地域の小工場」を発展的な教材にした発信・交流活動のヒント
- プラン3 総合的な学習として発展する「地球・人にやさしい車」のヒント
- §5 「自動車工業」を基本教材にした発展的な調べ学習(2) /大野 利和
- プラン1 「鉄鋼業」を発展的な教材にした「鉄のルートマップづくり」による交流活動のヒント
- プラン2 「食料品工業」を発展的な教材にした「新製品開発」による発信・交流活動のポイント
- プラン3 総合的な学習として発展する「くらしと環境」のヒント
- §6 「放送局」を基本教材にした発展的な調べ学習 /海老瀬 隆博
- プラン1 「地域の放送局」を発展的な教材にした「ケーブルテレビ局の工夫や努力」を調べる活動のヒント
- プラン2 総合的な学習として展開する「テレビ番組(ビデオレター)をつくろう」のヒント
- プラン3 「新聞社」を発展的な教材にした「新聞をつくる人々の工夫や努力」を調べる活動のヒント
- プラン4 「新聞社」を発展的な教材にした「新聞づくり」による発信・交流活動のヒント
- プラン5 「電信電話」を発展的な教材にした「電信電話とくらしとのかかわり・働く人々の工夫や努力」を調べる活動のヒント
- プラン6 「電信電話」を発展的な教材にした「どうなる!? これからの電信電話とくらし」の発信・交流活動のヒント
- V 発展的な調べ学習の教材と活動のプラン:我が国の国土
- §1 「暖かい地域」を基本教材にした発展的な調べ学習 /喜多 文彦
- プラン1 「清水市等」を発展的な教材にした「暖かい地域」を調べる活動のヒント
- プラン2 「寒い地域」を発展的な教材にした「絵図表づくり」による整理・交流活動のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「世界の国々について探ろう」のヒント
- §2 「雪の多い地域」を基本教材にした発展的な調べ学習 /合田 雅気
- プラン1 「雪の多い地域」を発展的な教材にした「スキー場」を調べる活動のヒント
- プラン2 「寒さの厳しい地域(根室市)」を発展的な教材にした「旅のガイドブックづくり」による発信・交流活動のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「気候と世界の人々のくらし」のヒント
- §3 「生活環境を守る」を基本教材にした発展的な調べ学習 /寺嶋 俊秀
- プラン1 「空気」を発展的な教材にした「空気の汚れの様子」を調べる活動のヒント
- プラン2 「水の汚れ」を発展的な教材にした「水新聞づくり」による発信・交流活動のヒント プラン3 総合的な学習として展開する「環境にやさしいまちづくり」のヒント
- §4 「北九州市の大気汚染(産業公害)」を基本教材にした発展的な調べ学習 /佐蛛@仁
- プラン1 「身近な地域の公害」を発展的な教材にした「公害の影響」を調べる活動のヒント
- プラン2 「水俣市の水質汚濁(水俣病)」を発展的な教材にした「関係図」による交流活動のヒント
- プラン3 総合的学習として展開する「環境学習」のヒント
- §5 「森は生きている」を基本教材にした発展的な調べ学習 /亀井 健男
- プラン1 「地域の森」を発展的な教材にした「木や生き物の様子」を調べる活動のヒント
- プラン2 「世界の森林資源」を発展的な教材にした「森林データバンクづくり」による発信・交流活動のヒント
- プラン3 総合的な学習として展開する「地域の環境調査」のヒント
- 執筆者紹介
まえがき─刊行の趣旨─
学習指導要領には,全国のどの学校においても,すべての子どもに確実に身につけさせたい基礎・基本が示されていることから,「学習指導要領は指導に当たっての最低基準である」と強調されている。
各教科の学習指導において,最低の事項である基礎・基本をどの子どもにもしっかり身につけるために,これまで様々な指導方法や指導体制の工夫・改善が図られてきた。これからも,各教科の学習指導においてこのことを一層重視することが求められているが,さらに個を生かす観点から,基礎・基本を習得した子ども,すなわち学習や理解の速い子どもへの指導のあり方が課題になっている。これが,いわゆる発展的な学習である。
この発展的な学習にかかわって,社会科の学習指導では,次のようなことがたびたび話題になっている。
・理解の速い子どもに,次の学習場面を提供するといっても,そのための教材や活動はどうするのか。特別の教材をどう用意するのか。また,そこで取り上げられる内容は学習指導要領に示されている内容やその取り扱いとどのように関係しているのか。
・社会科ではこれまでも,事例を選択した学習や複線型の学習が行われてきており,これらのことと発展的な学習とは,どのようなかかわりがあるのか。
・速く調べ終えた子どもには,これまでも「次に,この資料で調べてごらん」「もっとこんな方法で調べるといいよ」といったような言葉をかけてきた。これは,発展的な学習をうながす教師の助言ではなかったのか。
・社会科の発展的な学習は,社会科の学習として発展させる場合と,総合的な学習へ発展させていく場合の二つがあるのではないか。
社会科の発展的な学習にかかわって出されてくる,様々な疑問や戸惑いの中心にある課題は,「発展的な学習を行うときに,基本的におさえておくべきことは何か」「各学年の各単元で,具体的にどのように進めていったらよいのか。発展的な学習の教材を設定したり活動を工夫したりするときのヒントを知りたい」ということである。
本書『新社会科の発展教材&面白調べ活動―基礎・基本にプラスするプロの技―(全3巻)』は,こうした願いや疑問,課題に応えるために企画され編集されたものである。T章「発展的な調べ学習の考え方と実践のヒント」では,実践に当たっての基本的な考え方を整理した。この部分は,多様な教材や活動の開発,実践に当たっての原則である。
そして,これを受けてU・V章「発展的な調べ学習の教材と活動プラン」では,すべての単元(小単元)ごとに,「社会科において」発展的な調べ学習を行うときと,「総合的な学習として」発展的な調べ学習を行うときに活用できるユニークな教材や面白い活動を中心に構成した。ここでは,教材(資料)に関する「学習シート」と,書き込み式の「ワークシート」の二つを紹介した。また,全国のどこの学校でも活用できるように,各巻は各学校で実践されている単元の順序に即して構成するとともに,できるだけ地域性を出さないように配慮し,そのままコピーして子どもたちに配布できるようにした。各学校で実践する際に有効に活用できることと思う。
これまでに,社会科の学習指導に関する図書は数多く出版されている。しかし,発展的な学習に視点をおいて,指導方法や教材,活動の事例やヒントを紹介したものは,本書が刊行される時点においてほかに類書はないと自負している。本書が多くの学校や学級で活用されることによって,子どもたちが社会科の基礎・基本を一層確実に身につけるようになるとともに,発展的な調べ学習をとおして,社会科の学力がさらに充実することを願っている。
本書の刊行に当たっては,全国の先生方のご協力を得た。たいへんお忙しいなかをご執筆いただいた先生方にこの場を借りてお礼申し上げる。また,本書の企画の段階から,明治図書出版の樋口雅子編集長より多大のご指導をいただいた。あわせて,感謝の意を表したい。
平成15年3月 編者 /北 俊夫
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- 明治図書