- 板書とは何か /有田 和正
- 第1章 歴史をさぐる
- 1 地域の文化遺産(古代)
- 2 地域の文化遺産(中・近世)
- まとめのテスト
- 第2章 国のあけぼの
- 1 縄文時代と貝塚
- 2 三内丸山の時代
- 3 登呂の村
- 4 米づくりの広がり
- 5 国が統一されるまで
- 6 古墳とはにわ
- 7 仏教の伝来
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- 第3章 飛鳥から奈良・平安
- 1 聖徳太子の政治
- 2 聖徳太子の外交
- 3 大化の改新
- 4 大化の改新の内容
- 5 大仏づくり
- 6 聖武天皇のねがい
- 7 世界の宝物殿
- 8 都を平安京へ
- 9 寝殿造のくらし
- 10 藤原氏の栄え
- 11 かな文字の発明
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- 第4章 武士の世の中
- 1 武士の台頭
- 2 源平のタイトルマッチ
- 3 鎌倉幕府のしくみ
- 4 鎌倉幕府の確立
- 5 文永の役
- 6 弘安の役
- 7 元に勝ったが?
- 8 建武の新政
- 9 室町幕府のしくみ
- 10 室町時代の文化
- 11 戦国の世
- 12 長篠の戦いと鉄砲
- 13 キリスト教の伝来
- 14 立ちあがる農民
- 15 信長の統一への道
- 16 秀吉の天下統一
- 17 安土・桃山時代の文化
- 18 一寸法師のねがい
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- まとめのテスト3
- 第5章 江戸の世の中
- 1 天下分け目の戦
- 2 江戸幕府のしくみ
- 3 大名をおさえる
- 4 士農工商の世の中
- 5 キリスト教への不安
- 6 鎖国へふみきる
- 7 生産を高める農民
- 8 商品作物の登場
- 9 元禄文化
- 10 文化・文政の文化
- 11 文化のにない手の変化
- 12 吉宗の登場
- 13 産業と交通の発達
- 14 儒教から国学へ
- 15 蘭学の発達
- 16 開国への動き
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- まとめのテスト3
- まとめのテスト4
- 第6章 明治の世の中
- 1 ペリー来航
- 2 二つの条約を結ぶ
- 3 江戸幕府の終わり
- 4 戊辰戦争
- 5 明治政府の政治
- 6 自由民権運動
- 7 大日本帝国憲法
- 8 帝国議会の始まり
- 9 日清戦争
- 10 日露戦争
- 11 条約改正への努力
- 12 第一次世界大戦
- 13 日本の近代文化の発達
- 14 第二次世界大戦
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- まとめのテスト3
- 第7章 戦後のくらし
- 1 戦後の改革
- 2 日本の独立
- 3 残された問題
- まとめのテスト
- 第8章 くらしと政治
- 1 市の施設ができるまで
- 2 生活の保障
- 3 ねがいの実現するプロセス
- 4 国会のはたらき
- 5 内閣・裁判所のはたらき
- 6 選挙と政治
- 7 日本国憲法の特色
- 8 国民の権利と義務
- まとめのテスト
- 第9章 世界の中の日本
- 1 地球儀の見方
- 2 地球儀と地図
- 3 六つの州と独立国
- 4 人や貿易による結びつき
- 5 スポーツによる結びつき
- 6 アメリカ合衆国との結びつき
- 7 中華人民共和国との結びつき
- 8 サウジアラビアの人々のくらし
- 9 オーストラリアと韓国の人々のくらし
- 10 国際連合の活動
- 11 国連での日本のはたらき
- 12 世界の国々の問題
- まとめのテスト1
- まとめのテスト2
- まとめのテスト3
- まとめのテスト4
- ■まとめのテスト 解答
板書とは何か
一 板書とは
板書によって、子どもの学習意を引き出したり、理解を深めたり、考えを深めたりすることができる。子どもを楽しませることもできる。例えば、日付けを工夫したり、絵や図、地図などを書いたりすることである。
黒板は、教師の専有物ではない。子どもたちにも書かせることによって、より豊かな内容になる。
板書とは、
子どもと教師の交流の具体的な表れ
ということができる。
子どもとの交流のない、子どもの意見の反映のない板書は、いくら美しく、構造的に書かれていても、生きた板書とはいえない。
基本的に書かれるべき内容を、今回の板書例であげた。すなわち
・日付け
・学習のめあて
・学習の要点(できるだけ子どもの言葉で書く)
・学習の方法
などである。これはあくまで基本的なことであって、授業によって臨機応変に変えることである。その際に、教師の人間性や教育観が具体的に表れる。
二 板書で注意すること
一般に、文字が小さすぎることである。一番うしろの子どもが正しく読める大きさが基本である。
それに、チョークが堅すぎる。柔らかいチョークで肉太く、強弱・大小をつけて書くことだ。
色チョークの使い方も工夫したい。
赤や黄色のチョークを使いすぎる教師がいる。青は見えにくいのに平気で使っている。自分の好みで色チョークを使うべきではない。
板書は、白チョークが基本である。
必要に応じて、赤や黄色を使うと、強弱が出て、見栄えがする板書になる。
チョークのにぎり方は、親指と人指し指、それに中指を添えて書き、少し書いたら回す。すると、チョークの先は、丸くなる。これはうまい使い方だ。
チョークの減り方を見て、プロかノンプロかわかるのである。
三 板書の効用
板書とは、
子どもの反応に対する、教師のうけとめ方の表れ
ともいえる。そこに教師の教育観や人柄が表れる。
はたらきの面からいうと、
視覚に訴えて、子どもの思考や理解を深めていくもの
ということもできる。
このように考えてくると、どんなことを板書すべきかうきぼりになってくる。
・ことばで表現できないもの
・ことばで表現できても、理解しにくいもの
・ことばで表現するより、板書した方がよくわかるもの
・図や絵・マンガなどにして見せた方がよくわかるもの
こういうことが考えられる。
なお、子どもに何かを認識させるとき、心理学者は次のようにいっている。
・視覚に訴えると → 60%認識する
・聴覚に訴えると → 20%認識する
・味覚に訴えると → 7%認識する
・触覚に訴えると → 5%認識する
板書は、視覚に訴え、教師が説明すれば、60+20=80%の認識が得られる。
このことを考えれば、一度書いたら一時間書きっぱなしの方がよいことになる。「途中で消しては書く」のはよくないといえる。一時間でちょうど黒板いっぱいになるくらいがよい。
教育機器が進んでも、黒板はなくならない。
もっとうまく活用して、学力アップにつなげなくては――。そのためには、人柄をみがき、人間性もみがかなくては――。
四 板書の消し方
板書は、授業が終わったら、黒板係の子どもが消すなんて、もったいないことをしないことだ。
書いた板書の大切なところを消して、そこをもう一度復習させる。あるいは、消しながら復習をしていくことだ。
重要なところだけ残して、そこだけをもう一度復習する方法もある。
時間がないときは、消しながら読ませ、復習させる。黒板から字がなくなったとき――授業終了である。
この点を教師は忘れていますね。
それから、黒板に「物」なども、ひもや磁石でくっつけて、立体感を出すと、子どもの見る目が変わってくる。
直径30p、長さ2mのフランスパンを新聞紙に包み、黒板にひもでさげたときの子どものどよめきは、今も忘れられない。
これを消すときは、とり下げて、切って子ども全員に食べさせた。「もったいない」といって家に持ち帰った子どももいた。
『新ノート指導の技術』(明治図書)を見ていただくと、こんな板書を写真で出しているので、どんなものかすぐわかる。
五 板書とノート
板書はノートさせるためでもある。すべての板書を書かせることから、選んで書けるようにすることも子どもの進歩だ。これは四のところで書いた「板書の消し方」を工夫することによって、子どももうまくなる。
板書がきたなく、めちゃくちゃで、ノートだけよくしろなんてできっこない。やはり、きれいないい板書が、いいノートをつくらせることはまちがいない。ようするに、板書とは「教師の教育観の表れ」であるといえる。
/有田 和正
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- 明治図書
- 発問も分かりやすいとよかった2016/4/2440代・小学校管理職
- 有田先生の教材研究された内容がわかりやすく、使いやすい掲載されていて良かった。2016/4/420代社会科教員
- 板書がそのまま掲載されているので、とても参考になりました。2015/12/2030代・小学校教員
- 1時間ごとの板書の仕方など初めて歴史を教える私にとっては、大変参考になった1冊でした。子どもたちの?を大切にする有田先生の授業は私の目指すところでもあります。2015/5/24ガンダルフ