- まえがき
- T 歴史人物スキルを作成しよう
- (1) 冊子型はこうつくる
- (2) クリアホルダー保管型はこうつくる その1
- (3) クリアホルダー保管型はこうつくる その2
- U すべての子が覚える歴史人物スキルのユースウエア
- §1 1日目 なぞる→うつす
- §2 2日目 たしかめる
- §3 3日目 テスト
- §4 満点でない子の再テストの方法
- §5 復習ページのやらせ方
- §6 1年間のシステムはこうする
- V 歴史人物カルタ作成法とユースウエア
- (1) 歴史人物カルタ作成法
- (2) 歴史人物カルタのユースウエア
- W 歴史年表スキルのユースウエア
- X 時代名暗唱スキルとそのユースウエア
- Y 歴史人物スキル
- なぞる→うつす→たしかめる→テスト
- スキル1 卑弥呼・聖徳太子・小野妹子
- スキル2 中大兄皇子・中臣鎌足・聖武天皇
- スキル3 行基・鑑真・藤原道長
- スキル4 紫式部・清少納言・平清盛
- スキル5 源頼朝・源義経・北条時宗
- まとめ1 スキル1〜5
- スキル6 足利義満・足利義政・雪舟
- スキル7 ザビエル・織田信長・豊臣秀吉
- スキル8 徳川家康・徳川家光・近松門左衛門
- スキル9 歌川広重・本居宣長・杉田玄白
- スキル10 伊能忠敬・ペリー・勝海舟
- まとめ2 スキル6〜10
- スキル11 西郷隆盛・大久保利通・木戸孝允
- スキル12 明治天皇・福沢諭吉・大隈重信
- スキル13 板垣退助・伊藤博文・陸奥宗光
- スキル14 東郷平八郎・小村寿太郎・野口英世
- まとめ3 スキル11〜14
- 総まとめ スキル1〜14
- +前野良沢・坂本龍馬・与謝野晶子・田中正造・北里柴三郎
- 実力テスト スキル1〜14
- +平塚雷鳥
- Z 歴史年表スキル
- なぞる→うつす→たしかめる→テスト
- スキル1 縄文時代
- スキル2 弥生時代
- スキル3 古墳時代
- スキル4 古墳時代〜飛鳥時代
- スキル5 奈良時代
- スキル6 平安時代
- スキル7 鎌倉時代
- スキル8 室町時代〜戦国時代
- スキル9 安土・桃山時代
- スキル10・11 江戸時代
- スキル12〜14 明治時代
- スキル15 大正時代
- スキル16・17 昭和時代
- [ 歴史人物カルタ原版
- ―画用紙にコピーすればすぐ使える!
まえがき
国立教育政策研究所は平成19年1月から2月にかけて,全国の小学校から無作為に抽出した225校の6年生6千人に対して,調査を行った。
社会科における基礎・基本となる知識・概念及び問題解決的な学習の実現状況に焦点を当てた調査である。
その中に歴史上の人物に関する内容がある。
学習指導要領に取り上げられている42名の人物の業績が書かれている年表に,「人物シール」を選んで貼らせる形式。42名の人物の肖像画や写真などが掲載されている年表に,「人物の業績シール」を選んで貼らせる形式。2つの形式で調査を行った。
全体の平均正答率はともに約68パーセント。70パーセントに達していない。
記述式にしたらさらに下がるであろう。
卑弥呼,ザビエル,ペリー,雪舟,野口英世は通過率が90パーセント以上であったが,大久保利通,木戸孝允,大隈重信などについては30パーセント未満で通過率が低い傾向がみられた。
対象児童を担任している教師に対して行った質問紙調査の結果と照らし合わせると,教師が重点的に指導した人物については正答率が高い傾向にあることが分かった。
具体的にどのような指導の工夫を行ったのかをみてみると,全体として「児童に興味を持たせるエピソードを扱った」「人物の肖像画・写真や年表などの具体的な資料を用意した」「学習問題や学習過程を工夫した」「人物年表や人物事典作りなど,表現活動を取り入れた」と回答した教師の割合が多かった。
また,例えば正答率の低かった大久保利通について「児童に興味を持たせるエピソードを扱った」「人物年表や人物事典作りなど,表現活動を取り入れた」「人物の肖像画・写真や年表など具体的な資料を用意した」と回答した教師が担当した児童は,「指導にあまり時間をかけなかった」と回答した教師が担当した児童より,通過率が高い傾向がみられた。
指導にあまり時間をかけられなかった理由をみると,全体として,「登場する人物が多い」「学習問題や学習過程を工夫できない」「児童に興味を持たせるエピソードが少ない」などが多かった。
これらの調査結果から次のことが分かる。
指導を工夫すれば歴史上の人物42人の定着を図ることができる。しかし,登場人物が多いため指導する時間がない,指導方法を工夫することができないなどの理由で,定着できない人物もでてくるのが現状である。
このことは自分の経験からも大いに納得できる。
授業で扱うのに魅力的な人物は時間をかけて指導するが,そうでない人物には少し触れる程度になってしまう。
特に幕末から明治にかけては人物数も多く,業績も分かりにくいので,定着させるのに苦労する。
4年生の担任になったら,47都道府県の名称と位置を定着させたいと考える。おなじように,6年生の担任になったら,指導要領に例示されている歴史上の人物42人を定着させたいと考える。
しかし,これだという有効的な指導法が分からなかった。
歴史は中学校で詳しく学習するから,小学校で覚えさせる必要はない。無理に覚えさせると歴史を嫌いにさせてしまうなどと言い訳をしてすませていた。
2009年,「都道府県スキル」を作成した。『すべての子が覚える!“都道府県”学習マニュアルBOOK』(明治図書)に収められている。
なぞる→うつす→確かめる→テストのステップで苦手な子でも無理なく都道府県の位置と名称を覚えることができる。
これを受け持ちの5年生に試してみた。苦手な子,特別支援を要する子も地方別のテストでは100点をとることができた。「これならば覚えられる」と喜んでいた。
これを活用した先生方からも,苦手な子でも100点がとれるので喜んでいるという報告をいただいた。
歴史上の人物もこれと同じようなスキルがあれば,苦手な子にも定着させることができると考え,「歴史人物スキル」を作成した。
次の特徴がある。
@ 授業始めの短い時間に活用できる。(宿題にはしない)
A 苦手な子にも優しい。
なぞる→うつす→確かめる→テストのステップ。
B ユースウエア(使い方)が確立している。
何を,いつ,どの程度,どのようにやらせればよいのかがはっきりしているので,授業も成果も安定する。
2009年,6年生を担任した。社会の授業の最初には必ず「歴史人物カルタ」をやっていた。
子どもたちはこのカルタに熱中した。休み時間から札を並べて練習する子が多かった。授業最初の3分程度でできて,楽しく歴史上の人物を覚えることができる優れものである。
このカルタの原版とやり方も本書に掲載した。コピーして簡単にカルタを作成することができる。
6年の社会の授業は毎時間,歴史人物カルタをやり,続けて歴史人物スキルをやるという流れがよい。慣れてくれば,カルタ3分,スキル5分の合計8分程度でできる。
こうすることで,どの子も歴史上の人物を楽しく無理のないように覚えることができる。
歴史上の出来事の定着を図る「歴史年表スキル」も作成した。
時代ごとの重要な出来事を定着させることができる。
単元のまとめやテスト前の復習に活用すると効果的である。
本書をぜひ教室で活用していただきたい。
最後に,本書を執筆する機会を与えてくださった明治図書の樋口雅子編集長に,心より感謝申し上げたい。
/新村 勲
授業では扱いきれない人物をじっくり取り組めてとてもいいのですが、テストも一緒に入ってしまっているので困ってしまい、テストだけは別に刷ってそのたびに渡しています。
テストだけは独立して別のページに入れてくださるともっと使いやすかったと思います。
でも、6年担任として買って損はない一冊だと思います。
Aその後、善は急げ、、、で、62〜63ページの「歴史人物スキル11」をやりました。なぞり書きがあるので、どの子もできました。次の時間は、64ページの「テスト」をさせます。小学校の歴史で大事なことは、とにかく「時代」と「人物」が、きちんと理解できることだと思っています。その点、優良な教材です。
Bこのような教材がまた発刊されることを願っています。