算数+情報教育1
算数を中心とする情報教育の展開

算数+情報教育1算数を中心とする情報教育の展開

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ITの発展を予想しそれらを生産的に活用する算数教育の実際を明らかにする。情報化社会における算数教育の改革案を示し、ITを活用したさまざまな実践例を豊富に示した。


復刊時予価: 2,332円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-502214-X
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 情報社会における算数教育
1 ITの時代の算数教育
2 今後は立ち後れないようにしよう
3 学年別の学習内容
(1) 1,2年生の演算
(2) 3,4年生の演算構造と幾何学の作図
(3) 5,6年生の地球の数学
4 保護者への語り/ITの時代に向けて
U 情報機器の発展は先生と子どもの研究を促す
1 インターネットの教育利用の今日的動向
2 日本におけるコンピュータの教育利用の変遷
3 パソコンの教育利用についての実証的研究
〔例1〕 プログラミング教育
〔例2〕 パソコンを使った価値実現活動
〔例3〕 パソコンの教育利用と授業論
4 通信の時代に向けて―インターネット環境下における数学教育の課題―
V 情報社会と数学教育
1 情報と情報社会
2 情報教育の歴史
3 インターネット時代の教科書
(1) いろいろなHP
(2) インターネット教科書
4 今後のITを利用した教育
W テレビ会議システムの活用と意義
1 協同学習の目的
2 日独間の協同学習は,どのように準備され,どのように経過したか
3 日独間の協同学習に学ぶ
X ITを利用した遠隔教育の実際と提言
1 はじめに
2 遠隔教育の現状
(1) 日本の場合
(2) 外国の場合
3 CCV教育システムに関して
4 教育方法に関して
5 教育内容と実践に関して
(1) ケント紙で作ろう
(2) 北風と亀の速さ
(3) 位 置
(4) 文字と式
(5) 置物作り
(6) 刺しゅう画作り
(7) 模 様
6 将来への提言
(1) 機器の改良
(2) 教育内容の開発と教育方法の工夫
(3) インターネットの利用
(4) 協同学習による創造的活動
(5) 国際理解
(6) チームによる研究の必要性
(7) 経済的基盤
7 まとめ

はじめに

 情報社会が急速に発展し,今では,小学生が,パソコンや携帯電話を持ち,e-mailやインターネットを活用するまでになっている。端的に言えば,子供たちは,パソコンや携帯電話など,IT(Information Technology)の活用を,小学校で正規に学習をする以前に,ITの世界に進入したのである。こうして小学校教育は,ITの発展から立ち後れてしまった。

 しかし,このシリーズ「算数+情報教育」全4巻は,こうした,立ち後れを語る図書ではない。現在はもとより,今後,更に発展するITを予想し,それらを生産的に活用する算数教育の実際を明らかにする図書である。特に,この第1巻総論編では,算数教育におけるIT活用の意義を,全体的に説明した。第2巻,第3巻,第4巻では,それぞれ,2,3学年;3,4学年;5,6学年について,ITの実際的活用を述べた。全4巻を揃って活用されることを願っている。

 このシリーズの執筆者たちは,最近の賑やかなIT活用の声にひかれ,取り急ぎの研究を書いたのではない。私どもの,1975年から今日まで,26か年に及ぶ,算数教育における,ITの生産的活用の研究に,次々に参加され,その研究から得られた成果を執筆されている。

 私どもの研究経過の一端を語ってみよう。日本での,算数教育でのITの活用は,1975年前後に始まった。当時の代表的な機器は,ヒューレット・パッカード社の,プログラム電卓,HP-97,HP41C等であった。私どもは,この機器を,プログラムを組んで「数学を創る」機器として活用した。この開拓的研究には,今回のシリーズ「算数+情報教育」の編集責任者である,守屋誠一氏らが参加している。

 続いて1980年にはNECのパソコン,PC8001が登場した。この機器でプロクラムを組み,生産的に,算数教育に活用した研究者には,鈴木正彦氏初め,今回のシリーズ「算数+情報教育」の執筆者の多くが数えられる。この研究成果は,1984年,『ぼくとわたしのパソコン』全3巻(共立出版社)として公にされた。この後,続々として,私どもの研究が実り,1986年には『授業に生かすパソコン』全3巻(共立出版),1990年には『ぼくらのパソコンライブラリー』全12巻(岩崎書店),1997年には『きみにもできるウインドウズ』全10巻(岩崎書店),1998年には『続・きみにもできるウインドウズ』全5巻(岩崎書店)が公にされた。全て,私の編集で,執筆方針はパソコンやウインドウズの,算数教育・数学教育での生産的活用であった。

 そして1995年,CCV教育システム研究会(会長は私,CCVはComputer, Communication and Visualの略語である)が発足し,国内の2校間の,算数教育でのリアルタイム遠隔協同学習(略して,協同学習と呼ぶ)を実現した。1997年からは,世界的にも,最先端の研究となった,日本・ドイツ間の算数教育での協同学習を実現した。このCCV教育システム研究会の研究者の多くが,今回のシリーズ「算数+情報教育」の執筆者となっている。

 以上のように,1975年から26年に及ぶ,ITの生産的活用に順次参加された研究者たちが,その実りを,今回のシリーズ「算数+情報教育」全4巻で公にされている。私どもは,全国の小学校の先生方はもとより,算数教育に関心のある多くの方々が,今回のシリーズを利用されることを願っている。内容に不十分な点もあるかと思う。それらは,今後の版で改めたい。最後に,私どもの執筆を激励し,このシリーズの刊行を実現させて頂いた,明治図書の江部満氏初め,編集の方々に,厚く感謝の意を述べたい。


  2001年9月1日   監修者 /横地 清

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      明治図書

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