- はじめに
- 第1章 志水流とは何か
- 第2章 授業診断アドバイス
- ■教材把握力を高めるアドバイス■
- アドバイス1 いろいろな表現で概念を膨らませよう
- アドバイス2 補充問題で概念を膨らませよう
- アドバイス3 適用場面拡張法を活用しよう
- アドバイス4 子どもにとってのスモールステップをつかもう
- アドバイス5 スモールステップからミドルステップへ
- アドバイス6 三角定規に角度を記入しよう
- アドバイス7 教科書の挿絵を活用しよう
- アドバイス8 教科書を開かせよう
- アドバイス9 割合はかけ算で考えさせよう
- アドバイス10 繰り返しで概念の定着を図ろう
- アドバイス11 多様性ばかりを追究するのはやめよう
- アドバイス12 反例を挙げよう
- アドバイス13 問題を解いてから図で振り返ってみよう
- ■子ども把握力を高めるアドバイス■
- アドバイス14 みんながわかったか確認しよう
- アドバイス15 子どもの真意を引き出そう
- アドバイス16 問いの発生をつかもう
- アドバイス17 書きながら説明させよう
- アドバイス18 子どもの発言を具体化しよう
- アドバイス19 フラッシュカードはみんなに見えるように提示しよう
- アドバイス20 ヒントカードだけではできるようにならない
- アドバイス21 子どもの言葉を黒板に書こう
- アドバイス22 子どもにプレッシャーをかけよう
- アドバイス23 自分の言葉で言わせよう
- アドバイス24 子どもの心情に合わせよう
- アドバイス25 子どもの実態に合った問題提示をしよう
- アドバイス26 「いいですか?」だけでは子どもの様子はつかめない
- アドバイス27 リズム変換で緊張感を保とう
- ■授業技術力を高めるアドバイス■
- アドバイス28 集団での見通しはやめよう
- アドバイス29 子どものノートに○をつけよう
- アドバイス30 子どもの机を回って○つけをしよう
- アドバイス31 観点を明確にして○つけをしよう
- アドバイス32 部分○つけ法を活用しよう
- アドバイス33 子どもの言葉を復唱しよう
- アドバイス34 子どもに復唱させよう
- アドバイス35 間違いも復唱しよう
- アドバイス36 早くできた子に次の指示を与えよう
- アドバイス37 Whatの発問を活用しよう
- アドバイス38 問題の量を増やそう
- アドバイス39 ほかの子がわからないときは子どもの発言を止めよ
- アドバイス40 わざと間違えてみせよう
- アドバイス41 キャラクターの吹き出しを活用しよう
- アドバイス42 多くの子どもが考えた方法から取り上げよう
- アドバイス43 大事な言葉は子どもから引き出そう
- アドバイス44 見えないものを見えるようにする工夫をしよう
- アドバイス45 2人対話法を活用しよう
- ■精神エネルギーを高めるアドバイス■
- アドバイス46 すべての子どものよさを認めよう
- アドバイス47 子どもの発言を価値づける反応をしよう
- アドバイス48 できた子のエネルギーを活用しよう
- アドバイス49 子どものつぶやきを無視しない
- アドバイス50 子どもが苦労したことに共感しよう
- 第3章 示範授業から学ぶ
- 第1節 第3学年 「時間と長さ」(植木算)の示範授業より
- 第2節 第5学年 「式と計算」の示範授業より
- おわりに
- コラム 志水語録
- 「長所伸展法は誉め殺しじゃない」
- 「コピーロボットはいらない」
- 「全員ができることが,ぼくのこだわりなんだ」
- 「自分に合ったテンポを探せばいい」
- 「元気のない先生に元気になってほしい」
- 「素直な先生は伸びるよ」
- 「授業のムダをとる」
- 「短所指摘法の場合は3倍返しを心がける」
- 「負荷をかけることが人を伸ばす」
- 「早く気が付いてよかったな」
- 「教師と子どものエネルギーが拮抗していることが大事」
- 「授業は教師の人間性の問題」
- 「ありがとうで運命が決まる」
- 「わくわくどきどき」
はじめに
これまで,私は多くの学校を訪問して授業診断をしてきた。その数は1000を超える。昨年,井出誠一さんが長野県より内地留学生として私の研究室に派遣され,1年間みっちり勉強された。井出さんは,授業の勉強をしたいというので,私と同行して全国各地のよい授業を見た。
井出さんは授業を参観した後,実際に私が授業者に対して行う授業診断のアドバイスをそばで見ていた。また,私の示範授業を10回ほど参観した。これを彼は毎日,授業診断記録としてまとめ,全部でA4版で350ぺージにもなった。ものすごい量である。
井出さんの動きを見ていると,授業中の教師の発言や子どもの動きを見ること自体がワクワクドキドキの世界である。絶えず,感動している。なぜ,子どもはあのときこんな考えをしたのかなと推理ゲームをしているのである。これが彼を1年間支えたのだと思う。
そんな折,昨年の暮れから上の記録をコンパクトにまとめることはできないかと2人で相談した。すると,志水流の授業アドバイスが存在することに気づいた。また,志水流の授業構成法も存在する。
それらをまとめることによって,全国各地の先生方に参考にしていただくことができるのではないかと考えた。今現在,学校訪問の依頼が多いのだが,もろもろの仕事のために断っている状況である。そのため,ぜひとも単行本という間接的なアドバイスではあるが,参考にしてほしいと思っていた。
ただ,私も忙しい身なので井出さんにも原稿書きを協力してもらった。
それらを手直しして志水流としてまとめあげた。井出さんの精力的な行動力のおかげでここに本としてまとめることができた。よって,井出さんとの共著となった次第である。ありがとうございました。
第1章に志水流の最近の考えをまとめた。これはけっこう骨が折れた。第2章は個々の授業診断でのアドバイスについて述べる。第3章は私の示範授業である。本の構成としては理論・実践的示唆・示範授業とバランスよくつくることができた。
よって,この本はこれまでに書いた本の内容とはほとんど重複していない。この点は,単行本制作の私の基本的な構えである。つまり,同じ内容の本は出さないということである。だから,これまで私の本を読んだ人も新鮮な気分で読むことができるだろう。
ここで,授業診断について述べよう。学校を訪問して1時間に2名から4名の授業を見て,次の時間またはその日のうちにアドバイスすることを授業診断と私は呼んでいる。
このとき,私の特徴は,授業者のレベルに合わせるということである。新任の教師と40代のベテランでは同じアドバイスでよいはずはない。だから,その人に応じたアドバイスを行う。極端なことを言えば,あなたは教科書を開いて授業をしてごらんとアドバイスするときと,教科書を開かなくても授業できますかと質問することもあるのだ。
あくまでも個に応じた指導である。また,アドバイスの基本は長所伸展法である。つまり,長所を見つけて伸ばしていく方法である。また,長所をつくってあげる方法である。これで大概の人は自信をもって授業改善に取り組むようになる。この本より,長所伸展法の部分を読み取っていただきたい。
なお,本年4月には『「ずれ」で創る算数の授業』という本を同じく明治図書より発刊した。併せて読んでいただければ志水流がより鮮明になることと思われる。
最後になったが,出版の許可と編集の助言をいただいた樋口雅子部長に感謝したい。ありがとうごさいました。
平成15年4月10日 愛知教育大学 /志水 廣
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- 明治図書