- はじめに
- 第1章 TT&SSの精神
- 1 協 働
- 2 わり算の原理
- 3 信 頼
- 4 無知なる自分を知ること
- 5 柔軟な対応
- 6 新しいことを見つめる目
- 7 学校の指導力を高める手段としてのSS
- 8 効果を問われる指導
- 9 SS担当教諭としての意識
- 第2章 SS評価のあり方
- 1 SSに取り組む学校を評価する
- 2 SS授業案を評価する
- 3 SSの授業を評価する
- 4 実践者としての単元の評価規準のとらえ方
- 5 学期の評価規準のあり方
- 6 年度末の評価規準のあり方
- 7 SSで関心・意欲・態度を評価する
- 8 SSで数学的な考え方を評価する
- 9 SSで表現・処理を評価する
- 10 SSで知識・理解を評価する
- 11 SSの拡がりを評価する
- 12 単元における評価規準のとらえ方
- 13 評価:学期・年度の総括
- 14 数学的な考え方を育てないSSの存在
- 15 数学的な考え方を育てるSSとは
- 16 2人でするTTでの評価、SSでの評価
- 17 絶対評価がもたらしたもの
- 第3章 実践事例にみる成功と失敗
- TT案:子供たちの楽しみを作り支援に回るTT
- SS案:学級解体でコース選択して取り組むSS
- TSS案:課題選択で単元を通すSS
- 第4章 効果的なSSのあり方を問う
- 1 理解度別SSが効果を失うとき
- 2 配慮で負担を多くするSS
- 3 興味関心別グループで人数比に大差
- 4 理解の速いグループに理解の遅い子が入る場合
- 5 離したはずの子が均等割グループ編成で同グループに所属
- 6 理解度別グループ編成でプライドを傷つける例
- 7 発展的な学習にドリル学習でよいのか
- 8 SSをしていたら「あっちの方がいい」と言われた
- 9 いつもTTばかりの授業
- 10 いつもSSばかりの授業
- 11 理解の速い子への満足感がない授業
- 12 単元にSS担当教諭が丸ごと関わることができない授業
- 13 面積単元のグループ分けは、どうあるべきか
- 14 4年分数の単元をSSに仕組むとき
- 15 自由進度学習は単元を何時間扱いにするか
- 16 インフルエンザ時期のSS
- 17 学校行事と重なって多忙を極めたSS
- 18 生徒指導上の配慮を必要とするSS
- 19 配慮と労力の多い割に平坦な授業
- 第5章 発展的な学習・補充的な学習や教材教具
- 1 発展的な学習・補充的な学習や教材教具
- 2 4学年複合図形の面積への挑戦
- 3 時間の計算
- 4 3学年かけ算筆算の発展的な学習
- 5 3学年あまりのあるわり算の発展的な学習
- 6 真ん中の数でかけ算
- 7 角度のペア学習
- 8 4学年の三角形で準備するもの
- 9 3学年敷き詰めの折り紙の代わり
- 10 3学年SSの閉めの授業
- 11 算数強化本づくり
はじめに
少人数指導は,水のようなものだと思うことがあります。
水は,無色透明です。しかし,深い水は色をたたえ青く澄みます。少人数指導も,指導者2人の協働によって学習という深い色を帯びてくるはずです。
またよい水は,おいしい酒を醸し,おいしい豆腐を作ります。同じようにうまく機能した少人数指導は,すばらしい子供を創り出します。
「流水は腐らず」の例えがあります。少人数指導では,指導者が互いに刺激し合って新鮮さを保ちます。
軟水は,石けんの泡立ちをよくしますが,硬水はポットのそこに石を作ります。同じように理解度別の少人数指導で進めても,ある学校では「とても効果が出てきた」ということがあります。
少人数指導がうまく機能しなければ,当然のごとく子供にも学級担任にも弊害をもたらしてしまいます。最悪なことは,「効果がない,1人でした方がよい」という思いを学級担任に抱かせることです。「覆水盆に返らず」で,少人数指導に目を向けてもらえなくなります。何もかもが,水の泡になります。
よくも悪くもなる少人数指導ですから,いろいろなことに配慮しなければなりません。綿密な少人数指導の計画を作り,その計画を工夫・改善しながら実践に移し,さらによいものになるように自校でしっかり評価するシステムが必要になってきます。
そこで,少人数指導の導入初年度には,少人数指導の計画や打ち合わせや分け方など大きなプランについて見つめ,『TTを生かした少人数指導ハンドブック』(明治図書)に記しました。
次に,少人数指導の授業では,どんな授業が可能なのか,何をもって指導法の工夫・改善を図ったのか,どんな分け方がが効果的なのか等を考え,『少人数指導・授業実践への新展開』(明治図書)に方策を集めました。
そして,この度,少人数指導のよし悪しは何で決定づけられるのか,それに加えて授業をみる視点をどう作り,いかに評価していったらよいか等について研究の一端をまとめてみました。
よい仲間に恵まれ,協働の中に少人数指導の実践を積むことができ,この『少人数指導・授業と評価のあり方を問う』で一応の方向を見い出すことができました。願わくば,少人数指導に取り組まれている各校の実践に少しでも役立てていただければうれしい限りです。
最後になりましたが,明治図書出版編集部の石塚嘉典氏には,多年にわたりお励ましいただき,細部にわたってお導きくださいました。校正では,同じく編集部の鈴木嗣子さんにお力添えをいただきました。心より感謝いたします。
2003年7月 /福永 敬
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- 明治図書