算数+情報教育2
低学年算数での情報教育

算数+情報教育2低学年算数での情報教育

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算数を活用した情報教育

低学年における情報教育を展開するために数と計算から発展させ、パソコンと友達になろうと呼びかけ「九九の仕組みと文章題」を取り上げる。さらにテレビ会議で実践を深める


復刊時予価: 2,618円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-506810-7
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 168頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 低学年での情報教育と算数教育・総合学習
1 低学年における算数教育と情報教育
(1) その方針
(2) 空間と図形の研究と活動から
2 「数と計算」から発展させる情報教育
(1) 「数と計算」の研究から
(2) 代数の系統的指導を目指して
(3) エクセルの利用
(4) 代数の指導を目指した低学年でのエクセルの利用例
(5) 計算機能と関数を利用した代数の指導
(6) まとめ
U 低学年での情報教育の実際と応用
1 パソコンとおともだちになろう! ――九九の仕組みと文章問題――
(1) テーマの概要
(2) 授業計画
(3) 授業の実際
(4) 授業の成果
(5) まとめと展望
2 お絵かきしよう ――運動模様――
(1) テーマの概要
(2) 授業計画
(3) 授業の実際
(4) 授業の成果と反省
(5) まとめと展望
3 自分だけのワッペンを作ろう! ――図形の性質,図形の拡大・縮小――
(1) テーマの概要
(2) 授業計画
(3) 授業の実際
(4) 授業の成果
(5) まとめと展望
V テレビ会議システムを利用した算数教育の実際
1 自分の位置を決めよう ――座標表現と区間について――
(1) テーマの概要
(2) 授業計画
(3) 授業の実際
(4) 授業の成果と反省
(5) まとめと展望
2 置物を作ろう ――曲面体の構成について――
(1) テーマの概要
(2) 授業計画
(3) 授業の実際
(4) 授業の成果と反省
(5) まとめと展望

はじめに

 情報社会が急激に発展し,今では,小学生が,パソコンや携帯電話を持ち,e-mailやインターネットを活用するまでになっている。端的に言えば,子どもたちは,パソコンや携帯電話など,IT(Information Technology)の活用を,小学校で正規に学習する以前に,ITの世界に進入したのである。こうして小学校教育は,ITの発展から立ち後れてしまった。

 しかし,このシリーズ『算数+情報教育』全4巻は,こうした,立ち後れを語る図書ではない。現在はもとより,今後,さらに発展するITを予想し,それらを生産的に活用する算数教育の実際を明らかにする図書である。第1巻総論編では,算数教育におけるIT活用の意義を全体的に説明した。この第2巻では,1・2学年について,ITの具体的な活用例を述べた。

 第T章では,低学年における算数教育の実際的活動と情報教育との関係を,「数と計算」および「図形」分野から,具体的な事例を示しながら説明した。

 第U章では,マイクロソフト社のWordやPaintを使い,自分の応用問題を作ったり,合同図形による帯模様の鉛筆立てを作ったり,相似図形によるワッペンを作ったりしている。それら内容は,算数の学力を付けながら,情報機器の扱いに慣れ,さらに生産的活動のためにそれを駆使して,彼らの生活を豊かにする活動にまでおよんでいる。

 第V章では,山梨大学附属小学校と山形大学附属小学校で行われた,テレビ会議システムを使った遠隔協同学習による算数教育の事例を紹介している。紙粘土による置物作りでは,算数を中心にしながら理科や図画工作を巻き込んだ総合学習を実現した。

 いずれの事例も,そこで扱われている算数の内容のレベルは決して低くない。例えば曲率の概念などは,大学の数学科の専門教育で扱われる内容である。情報教育のために既習の算数の内容を使うのではなく,むしろ,今まで適当な教育機器がなかったために低学年であきらめていた内容に焦点を当てている。ITと算数の相乗効果により,レベルが高いと思われていた内容が,低学年でも学習できることを実証している。

 ところで,このシリーズの執筆者たちは,最近の賑やかなIT活用の声にひかれ,取り急ぎの研究を書いたのではない。私どもの,1975年から今日まで,27か年に及ぶ,算数教育における,ITの生産的活用の研究に,次々に参加され,その研究から得られた成果を執筆されている。その詳細は,本シリーズの第1巻総論編に示したので,ご覧いただきたい。

 ITを代表する機器は,1975年当時のプログラム電卓HP-97やHP-41C(ヒューレットパッカード社)から,1980年から登場したパソコンPC-8001(NEC),1995年ごろから普及したインターネットへと発展してきた。しかし,それらで何を教えるかが最も大切であること,つまり,ITの利用方法と一緒に教育内容の開発が必要であることが,執筆者の体には染みついている。

 ITの生産的活用に順次参加された研究者たちが,その実りを,今回のシリーズ『算数+情報教育』全4巻で公にされている。私どもは,全国の小学校の先生方はもとより,算数教育に関心のある多くの方々が,今回のシリーズを利用されることを願っている。内容に不十分な点もあるかと思う。それらは,今後の版で改めたい。最後に,私どもの執筆を激励し,このシリーズの刊行を実現させていただいた,明治図書の江部満氏初め,編集の方々に,厚く感謝の意を述べたい。


  2002年9月1日   監修者 /横地 清

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      明治図書

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