- はじめに
- 第1章 数学的な考え方
- 1 数学的な考え方とは
- 2 先行研究に学ぶ数学的な考え方
- 3 数学的な考え方は無形
- 4 小学校学習指導要領解説算数編に見る数学的な考え方
- 5 小学校学習指導要領解説算数編に見る数学的な考え方の解説
- 6 新学力観にみる数学的な考え方
- 7 拾い集めた数学的な考え方
- 8 方略(ストラテジー)と数学的な考え方
- 9 リンクする数学的な考え方
- 10 数学的な考え方は生もの
- 11 単元目標にみる数学的な考え方
- 12 数学的な考え方の精選
- 13 精選された数学的な考えとは
- 第2章 数学的な考え方が育たない理由
- 1 数学的な考え方が育たない段階を追う
- 2 数学的な考え方が30%から伸びない変わらない
- 3 数学的な考え方が伸びない:文章題で勘違い
- 4 テストの中の数学的な考え方は,ずれていないか
- 5 パターン化された数学的な考え方になっていないか
- 6 目標にあっても,ねらっていない数学的な考え方
- 7 「できる」をねらいすぎていないか
- 8 数学的な考え方は何か知らない
- 9 考える場があまりにも少ない
- 第3章 方法に関する数学的な考え方の実践
- 1 類推比較の考え方(3年「箱の形」)
- 2 一般化の考え方(3年「べつべつに,いっしょに」)
- 3 拡張する考え方(3年「表とグラフ」)
- 4 拡張的な考え方U(4年「分数」)
- 5 演繹的な考え方(5年「三角形と四角形の角」)
- 6 帰納的な考え方(4年「変わり方」)
- 7 発展的な考え方(3年「暗算でする2桁の計算」)
- 8 統合する考え方(3年「あまりのあるわり算」)
- 9 捨象の考え方(4年「二等辺三角形と正三角形」)
- 10 具体化の考え方(5年「変わり方」)
- 11 抽象化の考え方(3年「正方形と長方形」)
- 12 相対的な考え方(4年「大きな数」)
- 13 分類の考え方(4年「三角形」)
- 14 形式化の考え方(4年「2桁でわるわり算」)
- 15 理想化の考え方(4年「変わり方で直線に書くとき」)
- 16 単純化の考え方(「TOPIX教材の鶴亀算」)
- 第4章 内容に関する数学的な考え方の実践
- 1 文章題を解明する
- 2 十進法の考え,位取りの考え(3年「大きな数」)
- 3 演算の考え(3年「時刻と時間の計算」)
- 4 見積もりの考え(5年「かけ算筆算」)
- 5 目盛りの考え(3年「表とグラフ」)
- 6 構成の考え(3年「敷き詰め」)
- 7 60進法の考え(3年「時刻と時間」)
- 8 きまりや性質に関する考え(3年「巻き尺のしるしづくり」)
- 9 きまりや性質に関する考え,代入の考え(4年「式と計算」)
- 10 割合の考え(「=倍の考え」)
- 11 代入の考え(3年「何倍でしょう」)
- 12 平均の考え(「TOPIX教材カレンダーで計算」)
- 第5章 方法と内容に関する数学的な考え方の実践
- 1 集合の考え(4年「二等辺三角形」)
- 2 関数の考え(4年「変わり方」)
- 3 数値化の考え,単位の考え(4年「面積」)
- 4 順序の考え(2年「大きな数(何百何十何)」)
- 5 表現の考え(4年「分数」)
- 6 合成分解の考え(6年「体積」)
- 7 変形同値の考え(もうひとつの6年L字型の体積)
- 第6章 数学的な考え方を育てる方策
- 1 どの子も考えようとする授業の実践
- 2 算数的に考える価値のある場面をつくる
- 3 わからないことをみんなで考える場面をつくる
- 4 友だちと考えを話さざるをえない場面を仕組む
- 5 既習事項からスタートする
- 6 研究主題から数学的な考えを探る
- 7 数学的な考え方を育てる指導技術をもつ
- 8 子どもの意見を紡いで,共に考えていく場面をつくる
- 9 子どもが条件を変えて考えようとする場面をつくる
- 10 考えを思いついたきっかけを話し合う場面をつくる
- 11 量感を育てる環境をつくる
- 12 一人一人が考えを生み出す経験を保障する
- 13 数学的な考え方に迫りやすい学級の土壌をつくる
- 14 算数をしたくなる心を育てる言葉がけをする
- 15 授業参加者が段々多くなる授業にする
- 16 生み出した経験が基盤となる
- 17 先行知識を揺さぶり,意見交換を活発にする
- 18 発展的な学習で考える場をつくる
- 19 図に説明を書き込んで考えをつくる
- 第7章 数学的な考え方全学年単元の対応表
- 方法に関して
- 方法と内容に関して
- 内容に関して
はじめに
少人数指導は,何をもたらしたのでしょう。個に応じる指導,習熟度別学習や課題選択学習,ティームティーチングなどの学習形態の多様さ,評価のあり方,開かれた学級,学習集団の使い分け等,学校を変えるについては,かなりの影響力がありました。
そんな少人数指導において実践を積みながらも一番弱いと感じたことがありました。それは,数学的な考え方を育てることです。これは,少人数指導に限らず,今の算数科の指導全般にもいえることではないかと思います。
実は「数学的な考え方とは,何だろう」と自分に問いかけてみましたが,私自身がわかっていませんでした。そこで,この問いを軸にして,これまでの実践を振り返りながら研究を進めることにしました。
まさに暗中模索から研究が始まりました。まずは,全体的に数学的な考え方をとらえるようにしていきました。先行研究や『学習指導要領算数科解説』などは参考になりました。
次に,自分なりの解釈で数学的な考え方をとらえ直しました。例えば,方法と内容に関する考え方として,単位の考えや関数の考えなどを別枠にしてみました。
そして,これまでの実践と結びつけて,数学的な考えがどのように出現したり働いたりできあがったりしていったかをみました。
さらに,その内にみえてきた手だてを明確にとらえるようにし,算数科の各学年の単元と数学的な考え方の相関関係を表にまとめました。
この本では,このようにして数学的な考え方を育てるためのアプローチの方法を探ってきました。算数科の指導に少しでも考えるヒントとして役立ち,指導の工夫改善に反映されていただければ幸いに思います。
最後になりましたが,明治図書編集部の石塚嘉典氏には,本にまとめる機会を与えてくださり,細部にわたりお導きくださいました。校正では,同じく編集部の篠原千恵さんにお力添えをいただきました。心より感謝いたします。
2004年7月 /福永 敬
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- 明治図書