- はじめに
- 1章 4年の学級担任・説明責任を果たす仕事への心構えと重点
- 1 保護者から安心と信頼を得るために
- 2 保護者からの理解を得るために
- 2章 4年の学級担任の仕事・取組みのマニュアル365日
- 一 信頼を得る一学期の取組みマニュアル
- 1 学級スタートの日・子どもと保護者の心をつかむ演出の急所
- 2 年初めの保護者会・保護者を安心させ、信頼を得る演出の急所
- 3 学年始めの授業参観・保護者が安心する授業づくりと教室設営の急所
- 4 家庭訪問・担任と保護者の心を結ぶ実施プランと家庭訪問でのネタ
- 5 学級通信・保護者と子どもに読ませるためのネタと構成
- 6 宿題・子どもと保護者が意図を理解する宿題アラカルト
- 7 学期末の保護者会・子どもの成長を知らせるための演出の急所
- 8 通知表・保護者が納得するための評価と所見の文例集
- 二 信頼を深める二学期の取組みマニュアル
- 1 家庭学習・子どもが自主的に学習するための家庭との連携と工夫
- 2 運動会・保護者も子どもも楽しく参加できる競技・演出の急所
- 3 子ども同士のトラブル解決・保護者の理解と協力を得るキーポイント
- 4 苦情電話・訴えに対する対応のキーポイント
- 5 不登校・子どもと保護者に対する対応のキーポイント
- 6 学級レクリエーション・子どもも保護者も一緒になって楽しみ、理解を深めるアイデア集
- 7 個人面談・一人一人の子どもの理解を深めるためのキーポイント
- 三 来年度へつなげる三学期の取組みマニュアル
- 1 学習発表会・子どもの学習の成果を保護者に伝えるための演出ポイント
- 2 授業参観・一年間の成長が見える授業・演出のポイント
- 3 学年末の学級懇談会・一年間の子どもの伸びと高学年へつなげる演出と急所
- 4 来年度のクラス替え・保護者が安心して納得できるクラス編成のポイントと説明
- 5 通知表・一年間の子どもの伸びとよさを伝える評価と文例
はじめに
今、まさに変化の時代であり、学校教育も激しい変革のときである。例えば、学校教育制度の改革がその一つであり規制緩和の方向である。二つは、教育行政の改革である。教育長任命制度の廃止や通学区域の自由化などをはじめとする地方分権の推進などである。三つは、学校運営の多様化である。学期制や一週間の授業時数の多様化が進み、学力調査の実施とその公表の在り方、学校評議員制度への取組みなど多様化が進んでいる。
また、学習指導要領自体が各学校の取組みの多様化を進める元になっているとも言える。つまり、総合的な学習の時間の創設は、各学校の特色ある教育、特色ある学校づくりを大きく促進することとなっている。選択幅の拡大や指導方法の改善の方向もその類である。学校によってティームティーチングや外部人材の活用の方法、少人数指導や習熟度別授業への取組みなどが学校によって大きな違いを見せる時代になってきているのである。
そうなると当然のごとく、学級担任の仕事も大きく変わらざるを得なくなるであろう。しかし、あくまでも学級担任の基本的な役割は不変である。教科担任制が積極的に導入されるようになっても、これまでと同様に教科担任機能を発揮しつつも人間担任機能を十分に果たすことが求められることには変わりがない。ただ、弾力化、自由化、多様化の方向性が強まれば強まるほど、取組みへの説明責任も大きくなるということである。これからの時代の学校は、教師一人一人が的確な説明責任能力を身に付け、その力を発揮しなければならない時代になるのである。
本書は、以上の考え方から全六巻をもって「学級担任の仕事実践経営案」を全国の学校並びに先生方に送りたいと考え編集したものである。このガイドブックが描く理想の教師像のアイテムは、次の五点に集約される。
第一は、「チャンスを生かす教師」ということである。教育指導の成果を上げるにも、保護者等への説明責任を果たすにも適切な時期がある。いわばチャンスを逃してはならないということである。年度始め、学期の変わり目、年間の行事や活動の場や機会を捉えて適切な指導が行われなければならない。そのための各種資料を提供している。
第二は、「見守る・見極める・見通す力をもつ教師」ということである。教育は長いスパンで行われる。子どもの学びを見守り、状況を的確に見極め、学習や集団活動、生活の見通しをもって指導に当たる教師でなければならない。本書は、そのために必要な準備と実践のアイディアのヒントと課題を提供している。
第三は、「連携しつつ指導力を発揮する教師」ということである。これからの学級担任に求められる資質・能力の一つは、学年や全校の教師等との真の「連携」であり、外部人材等との連携を深め調整するコーディネーター機能をよりよく発揮することである。基礎・基本を押さえた指導計画を持ちイニシアティヴをとることである。
第四は、「安心させ、納得させ、期待させる教師」ということである。まずもって子どもや保護者が学級や学校生活に安心感を抱き、学級担任の指導や経営等に納得できることが学校教育の前提である。そのためには学級経営の理念などについて十分説明し期待させる努力が不可欠である。「やがて分かってくれる」ではだめな時代である。
第五は、「研修に努め教育愛に徹する教師」ということである。〈人間力育成の名手〉が求められる時代である。様々な専門性を身に付ける研修に努め、教育愛に徹する情熱と実践に燃える教師が理想の教師像である。
本書が、多くの教師が日々の教育実践を根本から見直し、説明責任時代の学級担任の構えの確立に役立てることを祈念したい。
最後に本書刊行に多大なご支援をいただいた明治図書出版兜メ集部の安藤征宏氏に感謝して挨拶としたい。
平成一六年三月一日 編者 /宮川 八岐
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- 明治図書