- まえがき
- T 出会いのセンスをみがく
- 一 子どもの目は鋭い
- 二 二つの出会いのしかた
- 三 出会いのセンスをどうみがくか
- U 授業を活性化するために
- 一 学級づくりと社会科の授業
- 1 学級づくりは雰囲気づくりから
- 2 すべての教育活動を学級づくりに集約
- 二 子どもの求める授業と教師のあこがれ
- 1 子どもの求める授業
- 2 教師があこがれをもっているか
- 三 楽しい授業構成のポイント
- 1 授業はネタのよしあしできまる
- 2 身近なところにネタをさがす
- V 意欲とやさしさと安心感をもたせる
- 一 係活動で意欲を引き出す
- 1 「登録制」係活動
- ・どんな係活動があるか
- ・係活動の時間を設ける
- ・係の名前を工夫させる
- 2 係活動をゆさぶる
- 二 電話で人間関係を深める
- 1 休んだ子どもに電話をかけなさい
- 2 どうして電話をかけるのか
- 3 相手の立場に立って考えなさい
- 三 教室はまちがうところだ
- 1 発言力を伸ばすには
- 2 まちがえるのも指導技術
- 3 「まちがった考え」大歓迎
- W パフォーマンス・トレーニング
- 一 パフォーマンスは相手への思いやりだ!
- 1 パフォーマンスは相手への思いやり
- 2 「あいさつ」で子どもをつかむ
- 3 ユーモアあふれるパフォーマンス
- 二 自分に暗示をかけてある雰囲気を身につける
- 1 「三回入るともとにもどります!」
- 2 子どもにも自分にも暗示をかける
- 3 ある雰囲気を身につける
- 三 短く、面白く話す技能を身につける
- 1 印象に残る内容を短く話す
- 2 「君たちを信用しているからね!」
- 3 一瞬のパフォーマンスで個別指導
- 四 ことばが変われば 人が変わる ─ことばづかいを変えてみよう─
- 1 見方はみんな違う
- 2 ことばづかいを変えよう
- 3 入学式のパフォーマンス
- 五 短く切って、はっきり話す ─「もの」を使って話すことの大切さ─
- 1 短く、切って話す
- 2 「もの」を見せて話す
- 3 大事なことは「小さな声で」
- 六 「数字」を使って具体的に話す
- 1 「数字」にこだわってみる
- 2 それだけの内容をもっているか
- 七 パフォーマンスの根源はユーモアだ
- 1 ユーモアのセンスを鍛える
- 2 時には驚くこと
- 3 子どもの心をつかむ
- 八 自分の失敗(人間性)を笑いのネタにする
- 1 自分を笑いのネタにする
- 2 具体的な目あてを持って努力する
- 九 面白くない内容もパフォーマンスで面白くなる
- 1 パフォーマンスのないガイド
- 2 よりおいしく食べさせる方法
- 十 相手をいい気持ちにするのがパフォーマンス
- 1 歌手のパフォーマンス
- 2 相手の反応を見て話す
- 十一 パフォーマンスも最後は人間性が出てくる
- 1 話の内容に深さがあるか
- 2 巧みな例のあげ方
- 十二 卒業式でパフォーマンスの本質を知る
- 1 卒業式
- 2 参加者全員が涙した卒業式
- 3 事実を語るパフォーマンス
- 4 自然ににじみ出るもの
- X 子どもの成長をみとる
- 一 常に疑いながら子どもを「みる目」を鍛えていく
- 1 子どもの変化は社会の変化のあらわれ
- 2 戦後社会の制度疲労
- 3 物質的な豊かさのみを追究した
- 二 子どもの成長を発見する子どもウォッチング術
- 1 子どもを見る技術が低下している?
- 2 「頭のカルテ」に記録しながら見る
- 3 どこに目をつけて子どもを見るか
- (1) 先入観をもって子どもを見る
- (2) 「驚き」をもって子どもを見る
- (3) 子どもの声を聞きわける
- (4) 子どもの目の輝きと活動内容を見る
- Y 望ましい学級経営のあり方
- 一 いいクラスとそうでないクラス
- 二 明るく笑いのあるクラスづくり
- 三 「どうぞ」「ありがとう」のあるクラスづくり
- 四 「面白い係=プロ」をつくる
- 五 友だちの長所を見つけてほめる
- 六 「はてな?」発見力を強くする
- あとがき
まえがき
今に限らず、いつの時代でも教育界に向けられる目は厳しい。それは、社会の人々が日本の将来のために有為な人材を育ててほしいと願っているからである。教育のあり方が、国の将来にかかっているからである。この社会の要請に、今の日本の教育界は応えているといえるだろうか。ちょっと心もとない感じがしている。
学力低下、学級崩壊、マナー不足の子どもの続出。それに何よりも授業の質の低下が指摘され、教師の研修も、初任研からとうとう十年研までしなくてはならなくなった。社会はどんどん変化しているのに、教育界は旧態依然としてなかなか変わらない。
子どもたちは、面白くもおかしくもない授業に耐えかねて、小・中学生まで新聞に投稿するまでになっている。ある高校生は、「教師の質の悪化はすさまじい。もっと生徒本位の授業を考えてほしい」と、悲鳴とも思えるような投稿をしている。これは、子どもたちの「声の代表」とわたしは受け止めた。これとの関係か、大阪では学力不足と認定された教師が分限免職になった。
こうした社会的状況を「社会からの要請」と受け止め、「指導力アップ術シリーズ18巻」を、この機に出すことにした。今ほど教師の指導力が注目されている時代はないからである。
まず、「授業とは何か」ということを明らかにしながら、今求められている「真のプロ教師像」を究明してみた。それはただの指導技術ではダメである。プロ教師は、深く確かな内容と、子どもに対する深い愛情の裏づけのある人でなくてはならない。
保護者たちは、担任教師の実力を、いろいろな面から常に観察している。昔ながらの授業をしていたのでは、たちまち「指導力不足」のレッテルをはられる時代である。こうならないよう、教師は常に研修にはげまなくてはならない。そのお手伝いを本シリーズでしてみたいと考えたのである。
授業を面白くし、子どもに実力をつけるには、教材の把握はもちろんであるが、学級の質が大きくものをいう。学級づくり、それも楽しい学級づくりをしながら、子どもが「はてな?」を発見し、それを追究することに熱中し、ひいては「追究の鬼」といわれる子どもを育てたいのである。
長年の経験を生かして、学級づくり、授業づくり、授業がうまくなるレシピを書いた。教材開発のしかた、子どもに調べる力のつけ方なども明らかにした。平成一四年度から総合的学習が本格的に実施に移された。これについても今までいろんな提案をしてきたが、今回のシリーズの中でも、「こうすれば必ずうまくいく」という内容と方法を明らかにし、それを提案している。やり方によっては、総合は実に面白い。力もつく。
今の教師たちに足りないのは、実力だけではなくユーモアも足りない。ゆとりがない。もちろん、保護者にも足りない。このギスギスした社会をユーモアで乗り切ってほしいと願い、この面の提案もした。
要するに、本シリーズは、授業論、学級経営論、教材開発論、総合的学習論、指導技術論、そして、ユーモア教育論等々、現時点での私の総力をあげて総合的に取り組んだものを提案したものである。一読されて御指導いただければ幸いである。
二〇〇三年六月吉日 /有田 和正
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- 明治図書