- まえがき
- 1章 2年の学級担任・説明責任を果たす仕事への心構えと重点
- 一 新たな出会いにのぞむ教師の思い
- 二 緊張する中学2年生との出会い
- 三 中学2年生の何が難しいのか
- 四 不安と不満がうずまく中学2年生の保護者
- 五 中学2年生の学級担任に問われるもの
- 2章 2年の学級担任の仕事・取組みのマニュアル365日
- 一 一学期の取組みマニュアル
- 1 2年生の学級づくりスタート・生徒や保護者を引きつける学級開き
- ・コラム1「朝学級に着いたら」
- 2 定期テストは怖くない!・学力アップマル秘作戦、対テスト対策
- ・コラム2「朝の会」 ・コラム3「授業」1
- 3 人間関係改造計画!・班活動を基盤にした学級づくり
- ・コラム4「授業」2 ・コラム5「休み時間」
- 4 さぁ〜やるぞ! 清掃活動・保護者や教師集団の協力を得ながら
- ・コラム6「給食」 ・コラム7「昼休み」
- 二 二学期の取組みマニュアル
- 1 地域はみんなの学校!・保護者と連携して取り組む学年PTA行事
- ・コラム8「清掃時間」 ・コラム9「帰りの会」
- 2 教室環境再構築!・生徒を生かす教室環境づくり
- ・コラム10「放課後の学級で」 ・コラム11「ちょっとした家庭訪問」
- 3 文化祭・合唱コンクールで学級のまとまりを築く!・感動を生み出すための学級活動・道徳・生徒指導のポイント
- ・コラム12「できる学級担任は帰宅後何をする?」 ・コラム13「学級通信」
- 4 生徒会役員選挙へ・学校のリーダー集団づくりへ
- ・コラム14「悩みの聴き方」 ・コラム15「これが学級担任の危機管理?」
- 5 人生シリーズ/生き方を考える!・「プロジェクトX」君の夢かなえます
- ・コラム16「生徒を引きつける話し方」1 ・コラム17「生徒を引きつける話し方」2
- 三 三学期の取組みマニュアル
- 1 いじめゼロ学級づくり・いじめ問題への取組み
- ・コラム18「落ち着きのない子への関わり方」 ・コラム19「学校に対する批判への対応」
- 2 感動の卒業式を自分たちの企画で・生徒会・学年・学級で取り組む卒業式づくり
- ・コラム20「生徒を泣かせる話術」
- 3 爽やかな春のスタートを切るために・一年のまとめと四月の出発をめざして
まえがき
学校を取り巻く社会環境が大きく変わった。これまでは保護者も地域の人々も子どもの教育に関しては、学校の先生にお任せする、金は出すが口は出さない、協力を惜しまないといった関係が成立していた。そこには相互の信頼関係が存在し、教師もまたそれに応えるべく努力していた構図があった。
しかし、最近は人間関係の希薄化が進行し、相互信頼が構築できにくい状況が出現している。学級担任と子ども、あるいは保護者との関係も従前通りにはいかなくなってきている。
意思の疎通を図るにも「阿吽(あうん)の呼吸」では上手くいかず、具体的な事実を示したり、言葉で相手によく説明して理解を求めたりすることなどが必要になってきている。
よく言われる説明責任(accountability)が求められているのである。
本書は、このような現実を踏まえ、小学校と異なり子どもとの接触時間の少ない中学校学級担任が、どのようにしたら生徒や保護者との間の信頼関係を築いていけるかの問題意識の下に、その具体的方策を示したものである。正に仕事ガイドブック的発想で作成したものと言える。
教科担任制、英語科の出現、別の小学校出身者との出会いなどからスタートする中学校ならではの特色を生かしながら、どのようにしたら自らの学級経営方針を具体化でき、保護者の信頼に応えうるかの観点から構成した。
学級の経営方針の効果的説明、学級通信の活用方法、信頼の絆を結ぶ家庭訪問の在り方、満足感をあたえる保護者会の持ち方、三年の進路指導における調査書作成のポイントなど、正に毎日直面する課題への具体的、実践的かつ効果的な対応の仕方が示されている。
ベテラン教師にも張り切っている若い教師にも、本書の具体的な指導事例は、日々のご自身の学級経営の実践に生かしやすいものばかりになったものと確信している。
本書を参考にされた先生方の教育実践は、今日学校に求められている説明責任を十分に果たし、さらには結果責任にも応えられるだけの成果をあげていただくことにつながるものと信じている。
本書が中学校の学級担任教師と生徒や保護者との信頼関係を確たるものにするための一助ともなれば望外の幸せである。
平成一六年三月一日
日本特別活動学会会長・東京農業大学教授 編者 /渡部 邦雄
-
- 明治図書