中学校数学科 中1ギャップを撃退する指導のアイデア36

中学校数学科 中1ギャップを撃退する指導のアイデア36

好評4刷

小学校算数科と中学校数学科の段差にスロープをかける

教科名が「算数」から「数学」に変わった途端に苦手な子が急増。この“中1ギャップ”こそが、中学校数学指導の最初の難関と言えます。数学の先生なら誰でも“こんなことってあるある”と頷く中1ギャップの典型例を個別に取り上げ、その具体的な撃退法を紹介します。


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ISBN:
978-4-18-526116-6
ジャンル:
算数・数学
刊行:
4刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 148頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2024年11月22日

もくじ

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まえがき
T章 日々の数学授業でおこる「中1ギャップ」と対峙する
コラム 計算が苦手な生徒のために
U章 中1ギャップの具体例とその撃退法
§1 「正負の数」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 正の数と負の数の必要性と意味
[ケース2] 正負の数の減法
[ケース3] 代数和の考え
[ケース4] 正負の数の乗法の意味
[ケース5] 指数の計算
[ケース6] 加減乗除の順序
コラム 志水式音声計算トレーニング法
§2 「文字の式」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 文字の式の導入
[ケース2] 文字の式の約束
[ケース3] 一次式の計算
[ケース4] 文字を用いることのよさ
[ケース5] 線分図の活用
[ケース6] 代入と式の値
コラム 少人数学習集団による指導のよさと留意点
§3 「方程式」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 方程式の導入
[ケース2] 方程式の解き方―等式の性質
[ケース3] 方程式を解く手順
[ケース4] 方程式の立式
[ケース5] 比例式
§4 「比例と反比例」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 関数の導入
[ケース2] 比例の利用
[ケース3] 座標
[ケース4] 実生活の事象を比例としてとらえること
[ケース5] 反比例の実験・観察
コラム コンピュータの活用・作図とグラフ
§5 「平面図形」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 作図の導入
[ケース2] 直線と角
[ケース3] 角の二等分線の作図
[ケース4] 作図のよさに着目して円を考えること
[ケース5] 図形の移動
[ケース6] 円周の長さと円の面積
コラム つくって図形の性質を考える家族で楽しむ図形パズル―the T―
§6 「空間図形」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 立体をつくること
[ケース2] 平面と直線の位置関係
[ケース3] 柱体の体積の導入
[ケース4] 角柱・角錐と円柱・円錐
[ケース5] 立体の投影図
§7 「資料の散らばりと代表値」にみられる中1ギャップの具体例とその撃退法
[ケース1] 度数分布表とヒストグラム
[ケース2] 相対度数と度数分布多角形
[ケース3] 資料を活用した日常事象への取組
コラム インターネットで資料を収集し表計算ソフトでグラフをつくる

まえがき

 小学校から中学校に入った段階で,授業や生活の変化になじめなくなったり,不登校になってしまったりする「中1ギャップ」が拡大し,問題化しています。「中1ギャップ」は,小学校に入学した1年生が,集団行動ができない,じっと座っていられない,話を聞かないなどの「小1プロブレム」と並ぶ2つの大きな段差となっています。これを乗り越えるために滑らかな成長を促すスロープをかけ,子どものつまずきの原因を取り除く取組が必要となります。


 中学校数学科は,「中1ギャップ」が顕著な教科であると言われています。今回の学習指導要領改訂においても,重要な課題の1つととらえられ,小・中学校間の一部で学習内容を重複させた教育課程が編成されるなど,他教科ではみられない学校種間をまたいだ対応措置がとられました。また,小・中連携事業の一環として,数学教師による算数の乗り入れ授業なども行われるようになっています。

 一方,このような制度的な改革とは別に,現場の数学科教員にとって「中1ギャップ」は,その後3年間の生徒の数学の学習をも左右しかねない,毎日の授業で直面する非常に大きな課題でもあります。

 一口に数学学習における「中1ギャップ」と言っても,コンパスをうまく操ることができないといった基本的な技能の問題から,特定の学習内容に固有の問題,学習が進むにつれて表面化する思考面の発達にかかわる問題まで,その表れ方や原因は一様ではないと思われます。

 また,全国学力・学習状況調査で指摘されている活用力や表現力の低下の問題や,学習指導要領の改訂による「資料の活用」領域の新設など,授業改善の必要性も求められています。

 そこで本書では,上記のような個別の課題に対して有効な対策をとることができるよう,数学学習における「中1ギャップ」の具体的な事例を列挙し,その対策法を提案したいと考えました。

 中学校第1学年の単元の様々なケースごとに,「中1ギャップ」の具体的な状況を示し,そのつまずきに対応した指導改善のための授業実践を提案しています。基本的には,日々の1時間の授業における展開のあり方を取り上げるようにしました。また,その授業実践の中での教師の支援の改善について考察するとともに,授業内での解決が難しい生徒に対しては,個別の補充指導の工夫の仕方についても提案しています。

 これまでの授業を振り返り,小学校算数科と中学校数学科の間の段差にスロープをかけ,9年間にわたって滑らかに学習を積み重ねていくための方策を見いだすことに,本書を役立てていただければ幸いです。


 最後に,本書の出版に当たって,十数年来ともに実践を重ねてきた岡山県総合教育センター大月一泰氏と岡山県立岡山操山中学校平野圭一氏,算数教育の立場から貴重なご助言をいただいた岡山大学黒崎東洋郎氏にお礼申し上げます。

 また,本書の刊行に当たって企画の段階から粘り強くご援助いただきました明治図書出版教育書編集部の矢口郁雄氏に心から感謝いたします。


  2010年2月   /川上 公一

著者紹介

川上 公一(かわかみ こういち)著書を検索»

1956年淡路島生。岡山大学教育学部卒業。専攻は代数学,数学教育学。岡山県内公立中学校,岡山大学教育学部附属中学校等を経て,現在岡山県矢掛町立矢掛中学校長。教材開発・授業実践,及びテクノロジーを数学教育に取り入れる取組を中心に活動。平成14年度第18回東書教育賞最優秀賞受賞「実験・観察をとり入れた関数の学習」。文部科学省「個に応じた指導に関する指導資料」編集委員。明治図書『教育科学 数学教育』に「Math-Cut Studium 授業ライブ」を連載(2006年4月号〜2007年3月号)。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 実践に役立つ内容が多かった
      2016/2/8匿名
    • 実践に使えるので大変良かった
      2015/4/11ぞうさん
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