- はじめに
- 1章 最高の教室をつくるお話と語り
- 2章 ほめ言葉があふれるクラスにする 365日のお話
- 第1節 「学級開き」で思いを伝えるお話
- リセット
- マイナスの行動を断ち切らせるための語り
- ひとりぼっちをつくらない
- 学級全員で成長していくことの大切さを伝えるための語り
- 1人が美しい
- 自分1人でも望ましい行動がとれる個を育てるための語り
- 言葉を大切にした学級づくり
- 言葉の大切さを伝えるための語り
- 第2節 「友達の良さ・大切さ」を伝えるお話
- 三十人三十色
- 友達と一緒に学び合う意欲を高めるための語り
- 友達とよろこばせごっこ
- 友達と良い関係性を築こうとする意欲を高めさせるための語り
- 友は師
- 友達の助言を素直に聞く態度を育てるための語り
- 喜びは2倍,悲しみは半分に
- 友達と喜びをわかち合う良さを実感させるための語り
- 第3節 「クラスのまとまりをつくりたいとき」のお話
- ファーストペンギンとセカンドペンギン
- 望ましい行動を学級に広げていくための語り
- 群れと集団とチーム
- 目的意識をもたせるための語り
- 全員がフォワードだったら?
- 一人ひとりの個性を活かし合う集団を目指すための語り
- 競争は協創
- 競い合い,高め合う雰囲気をつくるための語り
- 第4節 「公」と「私」を学ぶお話
- より良い教室の3条件
- 教室での関わり方をより良いものにさせていくための語り
- 信頼貯金を貯めよう
- 約束を守り,信頼を得る行動を学ばせるための語り
- 正しい叱られ方
- 叱られたことをプラスに捉え,成長につなげさせるための語り
- 礼に始まり礼に終わる
- 礼儀を大切にする価値を改めて考えさせるための語り
- 第5節 「みんなで笑顔になりたいとき」のお話
- 笑顔は鏡〜人間関係は鏡である。鏡は先に笑わない〜
- ペアでの意見交換であたたかい雰囲気を広げるための語り
- 2つの笑い〜ニヤニヤからニコニコへ〜
- 表情が相手に与える影響を考えるための語り
- 遊ぶときは無邪気になれ
- 全員が夢中になって遊ぶことを価値づけるための語り
- 笑うから楽しい
- 状況を肯定的に捉え,プラスの力にするための語り
- 第6節 「トラブルがあったとき」のお話
- 陰ひなたのない人になれ
- 素直な心で反省する態度を育てるための語り
- 名前は,命
- 名前の大切さを実感させるための語り
- SNSを凶器にするな
- SNSトラブルを未然に防ぐための語り
- プラスの言葉をこだまそう
- 言葉の大切さを伝えるための語り
- 第7節「行事の良さ・意義を伝えたいとき」のお話
- 運動会の目的
- 運動会への心構えをつくるための語り
- 真剣さの先にあるもの
- 練習に取り組む姿勢をより良くするための語り
- ピンチはチャンス
- トラブルを成長のきっかけに変えるための語り
- 過去の努力と未来への努力
- 運動会までの努力を,次に活かすための語り
- 第8節 「成長を実感させたいとき」のお話
- 素直な人は成長する
- 素直に成長し合うことの良さを伝えるための語り
- 「変わったこと」から「成長したこと」へ
- 成長をよりはっきりと実感させるための語り
- 「失敗と挫折」の先にある成長の実感
- 失敗や挫折の先に成長が待っていることを伝えるための語り
- 人は変われる
- 「人は変わることができる」と勇気づけるための語り
- 第9節 「話す力・聞く力を育てたいとき」のお話
- 聞くと聴くの違い
- きく目的を考えさせるための語り
- 対話のサイクル
- 聞くことから,対話力を高めていくための語り
- 一流の話の聞き方
- 聞いたことを行動や成長に結びつけさせるための語り
- コミュニケーション力の公式
- 聞き手のことを考えて話す力を育てるための語り
- 第10節 「読む力・書く力を育てたいとき」のお話
- 良き書物を読むことは
- 読書の価値を伝え,読書のレベルを高める意欲につなげる語り
- 作文の力は「質より量」で育つ
- 年度はじめ,作文に取り組む姿勢を伝えるための語り
- 人は言葉で進化してきた
- 「読むこと」「書くこと」の大切さを考えさせるための語り
- 読む力は想像力のもと
- 読むことを様々な視点から考え,学ぶ意欲につなげるための語り
- 第11節 「努力の大切さを伝えたいとき」のお話
- 努力の壺
- 努力してもできないという考えをひっくり返すための語り
- 努力は必ず報われる
- 努力によって必ず人は成長できるという気持ちを育てるための語り
- 伝説のドアマンに学ぶ
- 1つのことを極めることの大切さに気づかせる語り
- 努力をしている方が楽
- 努力に対する考え方を変えるための語り
- 第12節 「思いやりの大切さを伝えたいとき」のお話
- 思いやりは想像力〜ボスになるな!リーダーになれ!〜
- 相手の立場を想像し,思いやりをもたせるための語り
- 挨拶は,相手に対する思いやり
- 挨拶と思いやりの関係性について考えさせるための語り
- 断ることも思いやり
- 断る行為も,成長に必要であることを伝えるための語り
- 思いやりの心がチームを強くする
- 教室を,一丸となって成長する場にするための語り
- 第13節 「命の大切さを伝えたいとき」のお話
- いじめは,心の死である
- いじめを未然に防止するための語り
- 物にも新しい命を吹き込む
- 物の大切さを伝えるための語り
- 奇跡の存在
- 子どもたちが前向きに力強く生活するための語り
- 命は,愛で育つ
- 生き物の命の大切さを伝えるための語り
- 第14節 「自主性を育てたいとき」のお話
- 自分がつくった鎖を抜こう
- マイナスの思い込みから断ち切らせるための語り
- プラス1の努力
- 自分から取り組む意欲を高めさせるための語り
- 頼まれごとは試されごと
- 想像力を働かせ,行動する意欲を高めさせるための語り
- 型を壊そう
- 新しいものを生み出す意欲を高めさせるための語り
- 第15節 「あなたの素晴らしさを感じさせたいとき」のお話
- 七転び八起き
- 全員,何度も立ちなおる強さをもっていることを確認するための語り
- 一人ひとり違っていい
- 一人ひとり違うからこそ価値があることを伝えるための語り
- 一人ひとり違っていいA
- 一人ひとり違うからこそ価値があることを実感させるための語り
- 道
- 未来を前向きに捉えさせるための語り
はじめに
子どもたちに価値ある話をするのは,教師としての仕事です。
子どもたちに価値ある語りを聞かせるのも,教師としての仕事です。
忙しい毎日の中で,このことが忘れ去られてきているように感じています。私は,1年の大半を全国の学校に行っています。たくさんの授業を参観したり,たくさんの飛込授業を行ったりしています。このような生活を10年以上も続けています。
そんな中で,多くの先生から,
「菊池先生の話は,子どもたちの中にストンと落ちていきますね」
「子どもたちが,菊池先生の話を食い入るように聞いていました」
「子どもに届くあの語り方は,どうやって身につけたのですか?」
「教師のパフォーマンス力は大事ですね。ポイントは何ですか?」
といった感想や質問をいただくことがあります。嬉しい「ほめ言葉」です。
現職として教壇に立っていた33年間と,その後の10年間で身につけたコミュニケーション力を,今回は『菊池省三 365日の良いお話 小学校』という形で,菊池道場の仲間とまとめてみました。
本著の特色として以下の3点を挙げたいと思います。
1つ目は,双方向のコミュニケーションを意識したということです。今までの教師の話し方について書かれた教育書は,どちらかというと一方通行の「スピーチ」型が中心でした。
本著は,双方向のコミュニケーションを強く意識しました。具体的な子どもたちとの「やりとり」を入れて,「会話・対話」型を中心としたのです。それによって,教室内のリアルな語りの様子や雰囲気が再現されていると思います。
2つ目は,語る話の中に力のある資料や具体例を入れているということです。価値ある生き方をされた先達の言葉や,言い伝えられている名言や格言を入れているということです。
話の構成にも工夫を凝らし,それらの言葉が「お説教」にならないようにもしています。子どもたちの心に強く残る話の内容になっているはずです。
3つ目は,教師のパフォーマンスを意識して,その在り方を示しているということです。コミュニケーションは,言葉だけではありません。教師が語るときの,表情や口調,体の動きなども細かく示しています。
教師の非言語の在り方,つまりパフォーマンスは,子どもたちの感情を大きく左右します。それらによって伝わり方が大きく変わるのです。
本著の内容を参考に,先生方が実際に語るときの参考にしていただきたいと思います。
この小学校版は,菊池道場千葉支部の植本京介先生を中心に8名の先生方に執筆していただきました。実際に教室で子どもたちに語り,その事実をもとに文字を起こし,何度もその原稿の検討を行っていただきました。
それだけに,どの話も安定性があり,力のあるものになりました。その量は,内容をテーマ別に15節に分けて総数が60話になっています。執筆していただいた先生方に心から感謝しています。ありがとうございました。
本著が,先生方が目指す「最高の教室」に近づく語りの「最高の教科書」になることを,執筆者全員が願っています。
子どもたちに価値ある話を,自信をもって語っていただきたいと思います。
2025年1月 菊池道場 道場長 /菊池 省三
一方方向での話をイメージすることが多い。
実際に書店に並んでいる関連本を見ても、
わかりやすく話すための工夫などがメインである。
しかし、本書は、子どもと教師の双方向のやりとりに加え、子ども同士での対話をしくむタイミングなども、イメージしやすく、自分自身の教室での実践につなげやすいと感じた。