- まえがき
- 第1章 算数の文章題について
- 文章題解決の魅力と数学的な考え方
- 文章題解決の基本パターン
- 文章題解決に役立つ7つの小道具
- 第2章 低学年の文章題を解くコツ
- 1年
- なんばんめ
- たし算
- ひき算
- 2年
- たし算とひき算
- かけ算
- 1000までの数
- 体積
- >>活用問題 たし算・ひき算・かけ算
- 文章題で注意させたいポイント 低学年
- トピック 類似問題をつくってみよう@
- 第3章 中学年の文章題を解くコツ
- 3年
- 時刻と時間
- わり算
- 長さ
- 逆思考
- 2段階計算
- あまりのあるわり算
- 小数
- 4年
- ( )を使った式
- 倍の考え方
- 逆思考
- 2けたでわるわり算
- 小数と整数のしくみ
- 計算の関係
- 集合
- >>活用問題 かけ算・わり算
- 文章題で注意させたいポイント 中学年
- トピック 類似問題をつくってみようA
- 第4章 高学年の文章題を解くコツ
- 5年
- 小数のかけ算・わり算
- 分数のたし算・ひき算
- 倍数・約数
- 割合
- 単位量あたりの大きさ
- 変わり方のきまり
- 6年
- 分数のかけ算・わり算
- 平均とその利用
- 速さ
- 比とその利用
- >>活用問題 小数・分数の計算
- 文章題で注意させたいポイント 高学年
- トピック 類似問題をつくってみようB
- 第5章 古典的な文章題を解くコツ
- 植木算
- 差分算
- 消去算
- 流水算
- 通過算
- 差集算
- 仕事算
- 鶴亀算
まえがき
算数の文章題解決と聞くと,寒気がする,それほど嫌いだという人は少なくないだろう。小学生を対象とした調査でもその嫌われ度は明らかになっている。なぜこんなにも嫌われてしまうのか,その理由は文章題解決の楽しさや面白さを味わった経験がないからではないだろうか。やってみて楽しい,面白いという気持ちを抱いた経験のある人ならば,そのように嫌うことはないだろうから。楽しむためのきっかけづくりが大切なのだ。
新しい教育課程では,読解力や表現力,活用力の育成が重要とされているが,文章題解決にはこのどれもが深く関係している。文章を読んでその内容をつかみ,それに相応しい算数の手法を使って解決するわけであるから,読解力は必須である。これが身に付いていないと,取り組もうとすることもできない。本書では読み方についても述べているので参考にしてほしい。
また,問題解決には様々な手法を使って取り組むことになるが,その際,様々な表現を使うことになる。その表現が解決に適していると,その解決がスムーズにできたり,解決を発表したとき友達によく分かってもらえたりするものである。したがって,解決に役立つ表現を身に付けることによって,文章題解決が上達するだけなく,表現力を養うこともできる。
さらに,活用についてであるが,文章題解決そのものが日常事象の問題解決に学習したことを活用していくという役割がある。したがって,文章題解決は活用力育成のための最適な場面と言っても過言ではない。しかしながら,活用というとき,自分が活用していることを自覚していない場合が少なくない。活用しているという意識をもつことで,活用の意義が分かり,さらには算数のよさに気づくことができるのである。その意味で,活用が分かるようにする文章題解決の学習指導を提案したい。
文章題解決では,これが決め手となる手法が分かれば,もう解決は80%以上終了していることになる。そのような理由から,本書では,その手法を7つに限定して取り上げている。手法は様々あるけれど,算数の学習で多く使われる7つについてその活用例を示している。したがって,これら以外に役立つ手法がないというわけではない。これらのみを身に付けていればあらゆる文章題が解決できるというものでもない。これらの手法,つまり,小道具を確実に身に付け,その上で,応用した道具を自らつくってみるようにしてほしい。それが実は文章題解決の醍醐味でもあるのだから。
また,その小道具を使うことで,こんな問題が解決できたというように,小道具の活用を中心とした文章題解決の学習指導を行うこともお薦めしたい。子どもたちの中から,「こんな小道具が使えたよ」「これでもうまくいったよ」という声が聞こえるように,そのような機会をぜひともつくりたいものである。
小学生にはぜひ文章題解決の醍醐味を味わってほしい。そのような願いから本書の執筆を決意した。小学生の文章題解決力を育てるために,教師の役割は重要である。特に,経験の少ない先生方が,教科書の内容に一工夫するために本書を活用してほしい。文章題解決というテーマで考えたとき,1年生から6年生までを通して見ることにより,現在担当している学年でどのような文章題解決力の育成が必要か分かるようにしたいと考えた。小学校の先生方の中には,ご自身算数が苦手だとか,文章題解決の学習指導に自信がないなどと思われている方もいらっしゃるだろう。本書では,そのような方々に読んでいただけるよう,できるかぎり平易な表現を心がけたので,さっと読み通して,必要なときに読み返してもらえると幸いである。
文章題解決は面白いから,「もっと解決してみたいな」「自分でつくって友達に問題を出してみよう」などという言葉が学級のあちこちから聞こえてくるような,そのような場が生まれればよいと考え,本書を執筆した。本書だけでそのような理想の姿が実現できるとは思われないが,その姿に少しでも近づくよう,子どもたちの身近にいらっしゃる先生方にその意図を伝え,少しでもお役に立つことができればこの上ない喜びである。最後に,本書の企画出版にあたり,お世話いただいた明治図書出版編集部木山麻衣子氏に感謝の意を表す。
/松尾 七重
7つの道具を使って考える、という方法で、子どももずい分、スムーズに文章題を読解できるようになったと感じます。
受験を控えているライバルのお母さんたちには教えたくない程、これは役立つなと感じた本でした!