学力向上フロンティアスクールの実践5
わかる・できる算数科の習熟度別指導

学力向上フロンティアスクールの実践5わかる・できる算数科の習熟度別指導

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少人数・習熟度別指導はこの指導案で効果的に進められる。

学力向上フロンティアスクールの研究指定を受けた東京都大田区立入新井第一小学校が3年間にわたり行ってきた実践研究、特に算数の少人数指導のあり方についての成果をまとめた。特に有能な算数のプロがいなくてもできるように、準備から過程までも記述している。


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ISBN:
4-18-561619-8
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 116頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

本書の刊行に寄せて /伊藤 説朗
まえがき
◆第T章◆ この研究の特色
第1節 学校の特色
第2節 授業を支える背景
(1) 算数科での少人数指導を成立させるために
(2) 研究組織
第3節 個々の学びを確実にするために
(1) 算数に対する教師の基礎・基本
(2) 評価
(3) 確実に身に付けさせたい算数科の基礎・基本
◆第U章◆ 授業を進めるにあたって
第1節 少人数指導担当の役割(年度・学期当初)
(1) 年間指導計画の作成
(2) 算数科の固定時間割の作成
(3) 学期ごとの指導予定表の作成
(4) 評価
第2節 単元の指導計画作成にあたって
(1) 確実におさえるべき基礎・基本を精選する
(2) コースを設定しレディネステストを作成する
(3) ガイダンスを実施し,コースの調整を行う
(4) 各コースの授業の計画をたてる(補充問題と発展問題)
第3節 少人数担当と他教員による協力体制
(1) 児童の情報交換を行う
(2) 学習進度を確認し,途中でのコース変更に対応する
(3) 通知表への関わり
◆第V章◆ 少人数指導,T・T指導による実際の指導
第1節 児童が取り組みたいと思うような問題の提示
(1) 第3学年「ぼうグラフ」
(2) 第5学年「小数のかけ算(2)」
第2節 自力解決学習と適切な指導と助言
(1) 第4学年「広さを調べよう」
(2) 第5学年「百分率とグラフ」
第3節 目標達成のための授業形態
(1) 第3学年「あまりのあるわり算」チャレンジコース
(2) 第6学年「6年間のまとめ」〜図形領域〜
第4節 児童による適切なコース選択
(1) 第6学年「比べ方を考えよう」
(2) 第4学年「折れ線グラフ」
第5節 既習事項を知識として有効に活用する力
(1) 第3学年「かけ算のひっ算(2)」チャレンジコース
(2) 第2学年「100より大きい数をしらべよう」
(3) 第6学年「分数のたし算とひき算」じっくり(倍数・約数)コース
第6節 T・Tの有効活用
(1) T・T講師との打ち合わせ
(2) T・Tでの指導形態
(3) 第1学年「たしざんとひきざん」ちょっとまっててのない授業
(4) 第2学年「たし算とひき算」
第7節 知的障害心身障害学級(五組)の取り組み
終わりに:中学校との連携

まえがき

 3年間東京都と大田区の研究指定校として,学力向上を図るために,研究主題「自ら考え,自ら学ぶ力の育成」−「わかった・できた」ことが実感できる授業−を設定し,算数の少人数授業を中心に据えて,通常学級と心身障害学級の教員がともに研究を進めてまいりました。

 研究を進めるにあたって,次の3つの柱を設定しました。

 〇算数の少人数・習熟度別授業(個に応じたきめ細かな指導を行う)

 〇「学習相談」(学習者の自立と授業改善を目指す)

 〇フレンドシップ・サポート・プログラム(学習意欲が高まるような学年・学級づくり)

 これらに取り組むことによって,個々を認め合い,友達も自分も大切にする学級経営づくりとともに,算数の少人数授業・習熟度別授業の充実を目指しました。

 学力向上を支えるためには,教科学習のみではなく豊かな人間形成も重要な力として考え,フレンドシップ・サポート・プログラムに取り組みました。算数の習熟度別コース選択の授業が支障なく実施できたのは,この力の成果も大きかったと確信しています。

 算数では,「考え方」を大切にし,数直線や図式化を使って考え方の過程をノートやプリントにそのまま残し,後で振り返って活用することができるようにしました。ノート指導や家庭学習にも,全校で共通理解のもとに計画的に進め,保護者にも理解と協力を得ながら取り組み始めました。今後の成果が期待されます。

 学習相談では,児童が自ら「わからないところ」を認識し,勇気をもって「ここの部分を教えてください」と個人指導を申し込むことにより,教師対児童が1対1で指導を受けることができました。1人の児童のつまずきを知ることにより,授業改善に役立て学級全体の児童に「わかった・できた」ことが実感できる授業の実践に近づくことができました。

 少人数・習熟度別授業,学習相談,フレンドシップ・サポート・プログラムの実践は,自分に正面から向き合ってくれる先生の誠実さ,優しさ,熱意などを,子どもたちが身近に感じ取ることができ,学習意欲を高めるきっかけになりました。

 「算数好き。だって図をかいたりして考えるから楽しい」「自分の思ったことが発表できて,わかるから楽しい」との児童の言葉を心の支えに,今後も一層精進してまいる所存です。

 3年間の研究を進めるにあたりまして,東京都教育委員会,大田区教育委員会を始め多くの方々からのご指導をいただきました。特に,この2年間は東京学芸大学名誉教授・伊藤説朗先生,東京大学大学院教授・市川伸一先生,臨床心理士・早川和子先生には温かいご指導をいただきました。この度,伊藤説朗先生と明治図書のお力添えで研究の取り組みを本という形に残す機会に恵まれました。これを励みとして,教職員一同一層研究を深めてまいります。


   東京都大田区立入新井第一小学校 校長 /西川 満智子

著者紹介

伊藤 説朗(いとう せつろう)著書を検索»

 昭和15年(1940)年年12月東京都に生まれる。

 昭和47年(1972)年に高校教員を退職し,東京教育大学(現在の筑波大学の前進)大学院教育学研究科に入学し,再び数学教育の勉強を始める。昭和52(1977)年に同大学院博士課程を単位取得退学し,熊本大学教育学部に講師として就職する。昭和54(1979)年に文部省初等中等教育局調査官に転職し,小学校算数科の教育について実証的な研究を行う。そして,昭和59(1984)年に東京学芸大学に助教授として転勤となり,平成2(1990)年に同大学教授に昇任,平成16(2004)年に退官,名誉教授となる。

 平成4年3月に「数学教育における構成的方法に関する研究」という論文をまとめ,この研究により筑波大学から教育学博士の学位を取得する。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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