- 『おもしろ課題』の刊行に寄せて
- 本書の使い方
- 第1章 場合の数を数える
- 道の数を数える 課題1〜2
- ★よりみち(その1)
- かける・たす 課題3〜7
- ド・モルガンの法則と篩(ふるい)の公式 課題8〜12
- 経路数のいろいろな性質 課題13〜18
- パスカルの三角形 課題19〜21
- 組合せの数 課題22〜30
- ★よりみち(その2)
- ★よりみち(その3)
- 二項定理 課題31〜34
- ★よりみち(その4)
- 第2章 面白い確率の話題
- ○×テストに挑戦! 課題1〜3
- 文化祭の売店のつり銭の話 課題4〜7
- 「ペテルスブルグの賭け」をゲームに 課題8〜9
- どうやって助かる?! 課題10〜14
- ★よりみち(その5)
- ガリレオの問題 課題15〜17
- 日本シリーズの優勝パターンを考える 課題18〜23
- くじ引きの不思議 課題24〜28
『おもしろ課題』の刊行に寄せて
「手づくり選択数学」シリーズの第2巻として,増島敬さんの本が出ることになりました。増島さんは,数学教育については私の先輩で,本書にも永年の実践経験から選び抜かれ,増島流に料理された題材が,たっぷり提供されています。これをそれぞれの現場で,生徒の傾向・特性と先生の持ち味を加味してアレンジすれば,おもしろくてよくわかる授業が展開できるに違いありません。
ところで今,学力低下が話題になっていますが,「学力」とはいったい何でしょうか。世間ではどうも「点数を取る力」あるいは「点数ですぐに測れる力」,言いかえれば知識量プラス計算力と思っている人が多いようです。しかし,この先の読めない時代に,文部科学省が育てたいと言っている「生きる力」とは,マニュアルどおりに動ける能力や習ったやり方をあてはめる力では間に合わず,
新しい状況を広い視野に立って分析し,自己責任で判断を下す力
でなければならないでしょう。そしてそれにつながる学力とは,何よりもまず
考える力
であるはずです。これを育てるためには,たくさんの公式を意味も証明もぬきで丸暗記させるとか,計算練習だけに過大な時間をかけることをやめ,適切な課題を与えて,生徒が興味をもって「考える」ように仕向けることが不可欠だと私は思います。そしてそのために,本書は絶好の手引きになるでしょう。
本書がシリーズの第1巻「おもしろ数学」と同様,保護者の方々を含む,少しでも多くの方々の目に留まり,その内容だけでなく考え方と熱意が多くの子どもたちに伝えられて,未来を担う若い人たちの知性の「質を高める」のに活かされることを,心から願っております。
2002年3月 大妻女子大学教授 数学教育協議会委員長 /野ア 昭弘
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