- はじめに――「志水流○つけ法」で数学科授業の活性化を!
- いいこといっぱい!志水流○つけ法
- 第1章 初めてやったよ!○つけ法
- @ いつでもどこでもできる
- A 一石三鳥
- B 初めての〇つけ
- コラム 「『なるほどなぁ』を,口癖にしたい!」
- C ドキドキ始めた
- D 「声かけ」がポイント
- コラム 「声かけVocabulary」
- E いつもポケットに赤ペンを
- F 少しでもたくさんの〇がつけたくて
- G “全員”を大切にする
- H とにかくやってみる
- I 見える,そして伝わる
- J 朝の学習で,他の教科でも
- 第2章 やってよかった!○つけ法
- @ 生徒が変わる!〇つけ法
- A 教師が変わる!〇つけ法
- B 声かけが大切!〇つけ法
- C スピードで集中力が高まる!〇つけ法
- D テストの平均点アップ!〇つけ法
- E 生徒の実態に合わせて授業ができる!〇つけ法
- コラム 「授業力アップ 志水塾 本大会」
- 第3章 ここで使おう!○つけ法
- 1年
- 「正の数・負の数のわり算」―習熟場面での〇つけ―
- 「文字の式(式の値)」―自力解決場面での〇つけ―
- 「文字の式(式をひく)」―習熟場面での〇つけ―
- 「比例と反比例」―自力解決場面での〇つけ―
- 2年
- 「連立方程式」―習熟場面での〇つけ―
- 「一次関数」―自力解決場面での〇つけ―
- 「図形の調べ方」―練習問題場面での〇つけ―
- 「図形の調べ方」―自力解決場面での〇つけ―
- 「図形の調べ方」―発展学習場面での〇つけ―
- 3年
- 「平方根」―習熟場面での〇つけ―
- 「二次方程式」―習熟場面での〇つけ―
- 「図形と相似」―自力解決場面での〇つけ―
- コラム 「研究授業に〇つけ法を」
- コラム 「少人数指導ゆっくりコースでは」
- コラム 「復唱法って?」
- 第4章 ○つけ法を習得しよう
- @ 〇つけ法習得のトレーニング
- 1 〇つけ法基礎トレーニング
- 2 〇つけ法シミュレーショントレーニング
- 3 〇つけ法トレーニングワークシート
- コラム 「〇つけ法は授業の瞬間である」
- A 〇つけ法実技研修体験者の声
- 1 〇つけ法習得トレーニングを終えた感想
- 2 〇つけ法習得トレーニングでの正答の生徒に対する
- 声かけの例と声かけを受けた感想
- 3 〇つけ法習得トレーニングでの誤答の生徒に対する
- 声かけの例と声かけを受けた感想
- コラム 「出前方式と教卓方式」
- コラム 「〇つけ法の研修会での感触のよさ」
- 第5章 志水流○つけ法とは
- @ 志水流授業論 数学の授業力アップをめざして
- 1 授業力とは
- 2 「志水流〇つけ法」の効果
- 3 〇つけ法とは
- 4 〇つけ法の基本方針
- 5 〇つけ法のよさ
- 6 〇つけ法が短所になってしまう例は?
- 7 〇つけ法のきっかけ
- A 〇つけ法の考え方
- 1 〇つけ法とは
- 2 〇つけ法の効果
- 3 〇つけ法をする授業場面
- 4 〇つけ法をやってみよう
- 5 〇つけ法のちょっとしたコツ
- 6 〇つけ法のまとめ
- コラム 「他の生徒のヒントになる『声かけ』」
- B 〇つけ法 Q&A
- おわりに
まえがき
「志水流〇つけ法」で数学科授業の活性化を!
中学校数学科版:「〇つけ法」の単行本の登場です。
「志水流〇つけ法」は,机間指導の技法です。(以下,〇つけ法と示す。)
〇つけ法は,子どもの意欲・態度を伸ばします。〇つけ法は,自力解決を促します。〇つけ法は,形成的評価を促します。そして,完全習得学習を目指しています。などなど,良いところがたくさんあります。
近年,〇つけ法を現場への指導技法として紹介,普及してきました。
単行本としては,「続・算数授業づくりのマニュアル」(1995)あたりから紹介しており,「こうすればもっとよくなる算数授業」(2003)など数冊の中で数ページにわたって紹介しています。そして,「算数科『〇つけ法』で授業が変わる・子どもが変わる」(いずれも明治図書)が昨年(2004)に刊行されたという訳です。この本は,6月に発刊して1か月した7月には再版になりました。著者の私がびっくりするほどの速さで再版になりました。それだけ現場が待っていてくださったということの証でしょう。深く感謝しております。
紹介したこれらの本は,タイトルを見てもわかるように,小学校の算数科向けのものでした。〇つけ法は中学校の数学科でも可能な指導技法です。その証拠に,私の顧問する中学校では〇つけ法を実施しています。授業では机間指導するのですから,教師の意識次第で取り入れることは可能だということです。だから,〇つけ法の中学校版の本を出版したかったのです。そして,ようやくまとめることができました。
今回の中学校版の編集の意図は,できるだけ敷居を低くするという方針で臨みました。小学校と比べて中学校では,まだまだ〇つけ法を実施している教師は少ないと予想されます。ですから,〇つけ法に対する知識・理解をもってもらうことから始めました。
・〇つけ法とは何か
・どのようなメリットがあるのか
・どうすれば〇つけできるのか
などについて,詳しく書きました。
それらは,章立てをみていただければわかります。
第1章「初めてやったよ!〇つけ法」,第2章「やってよかった!〇つけ法」で,〇つけ法とは何かについて述べました。
次に,第3章では,具体的な授業の場面において,どこで〇つけ法を使えばよいかについて述べました。
そして,第4章で,〇つけ法の技能を磨くためのトレーニング方法を述べました。
最後に,〇つけ法の根幹となる志水流の授業理論と考え方を第5章で述べました。あえて最後の章としました。
気楽に,しかも手軽に使える本となったと思っております。
この本の編集は,次の3人の先生が担当してくれました。
神谷和宏先生(刈谷市立刈谷南中学校),小林美記代先生(刈谷市立雁が音中学校),山内良仁先生(一宮市立萩原中学校)です。深く感謝しております。もちろん,原稿を書いていただいた先生方にも感謝しております。みんなで創り上げた本です。
中学校の本の編集は,小学校の見本がありますから,案外早く編集作業を終えることができました。それでも,実際には,昨年の5月頃から構想を練り上げ,7月に原稿依頼をして,それをまとめてきました。約1年かかっています。最後に,何度も原稿を推敲していた3人の姿が思い浮かびます。ご苦労さまでした。
現在,私の考え方を実践してもらうために「授業力アップセミナー 志水塾」を開催しております。そこでは,〇つけ法と復唱法をベースとしています。このセミナーは,平成15年1月から始まり,その後,全国7か所で計14回行いました。このセミナーでは,中学校の教師対象にも〇つけ法の実技講習を行っています。また,私が関係した講習会だけでも昨年7月には石川県教育センター,8月には広島県三次市教育委員会主催で中学校数学科教員向けの〇つけ法講習を実施しました。皆さん喜んで実習をされました。他の地区でも中学校教師向けに実施したという報告が入っております。今や,〇つけ法は理念ではなく現場での実践,さらには現職教育のレベルまできております。
〇つけ法は,簡単に効果が出てきます。ところが,実践すると,その奥の深さに驚かされます。瞬間の判断と行動が求められるからです。これこそ,人間が教育する証の方法です。実に魅力的な方法です。コンピュータにはできません。〇つけ法は少人数指導にも,とても有効です。即時評価と即時指導ができるからです。ぜひ,〇つけ法を身につけられることを願っております。授業が変容していきます。
なお,「志水流〇つけ法」と「志水流」としたのは,〇つけという言葉があまりにも身近であるために誤解を招くことがあるからです。特にテストの〇つけと誤解されることがあります。理念は全く違うものです。なお,普段は,「志水流」とつけていません。
最後になりましたが,明治図書の石塚嘉典次長に出版のGOサインを出していただき,励ましていただきました。ありがとうございました。
平成17年6月吉日 愛知教育大学 /志水 廣
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