シリーズ/課題学習・選択教科としての数学授業に使えるソフト2コンピュータで支援する生徒の活動数学科・図形分野での新しい展開

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図形ソフトがもたらす数学科・図形分野の新しい展開/カブリで支援する生徒の図形活動/コンピュータの支援を受けた生徒の活動/新しい教材他。


復刊時予価: 2,563円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-566505-9
ジャンル:
算数・数学
刊行:
対象:
中・高
仕様:
B5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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コンピュータで支援する生徒の活動―数学科・図形分野での新しい展開―
1章 図形ソフトがもたらす数学科・図形分野の新しい展開
1 「“学び”をつれてきた道具」
2 コンピュータで支援する生徒の活動
3 図形ソフトは生徒の活動をどのように支援するのか
4 ダイナミックな図形ソフト,ダイナミックな生徒の活動
2章 カブリで支援する生徒の図形活動
1 カブリ・ジオメトリーとは
2 コンピュータが作る図形の世界:ドラッグ・モードで図形を動かす
3 観察・実験から図形の定義・定理へ:生徒による再発見
4 コンピュータの中でのユークリッド幾何の作図活動
5 カブリの作図による図形の基本的な性質の学習
3章 生徒の活動を支援する新しい授業の実践
1 作図による図形の性質の確認と理解
2 図形の性質の発見から証明へ
3 定理から定理へ:定理の関連的扱い
4 コンピュータを使った授業における興味・関心の評価
5 生徒の活動を中心にした課題学習
4章 コンピュータの支援を受けた生徒の活動の実際
―ダイナミックな図形ソフトの効果と課題―
1 動的図形ソフトでの生徒の活動
2 実践事例にみる生徒の活動
3 動的図形ソフトについての教師の意見
4 動的図形ソフトの図形教育への影響
5 観察・実験を出発点とした図形の学習の実現の有力な手段としての動的図形ソフト
5章 カブリを使った新しい教材
1 教科書の問題からの新しい課題
2 ナポレオンの定理
3 三角形の重心・内心・外心
4 ビビアニの定理
付録
1 基本的な機能と操作の説明
2 ソフトはどうやって手に入れるの
3 教材作成のための参考資料

はじめに

 数学が中学校時代に好きだったという人の多くが,図形の問題を解いているときに, 補助線を見つけるのがおもしろかった,あるいは,補助線を見つけて,問題を一気に解決したときの喜びを思い出す人がいます.一方,不得意な人は,図形について紙に描かれている図からその図形以外には何も見えてこないということがあるようです. 図形の学習には, 図の中から,はじめは見えなかった図形の性質や関係を見つけたり,自分でその性質を組み立てていく喜びがあります.しかし,いままでの紙と鉛筆や作図道具を使った図形の学習では,そのような喜びや満足感を持てるような生徒は限られていました.それに対し,コンピュータの支援により,図形を動的に扱う環境が教室の中で実現されるようになると,そのような図形の楽しい経験や学習が数多くの生徒に開かれるようになると思います.そして, 図をいろいろな観点でとらえたり,連続的にとらえることで,さらには観察や実験を通して定理や性質の意味をとらえることができるようになることで,図形の学習が今まで以上に豊かなものになると思います.このことの実現のために私たちが今まで行ってきた研究と実践の成果をこの本の中で報告しています.

 図を作図し,その図を動的に扱うことができるソフトは,作図ソフトとか作図ツールなど様々な名称で呼ばれています.私たちは,作図だけでなく図形学習全体を支援するという意味を表すために,図形ソフト,または,動的な図形ソフトと呼ぶことにしました.また,生徒の活動を支援しているということを明確に表すために,本書のタイトルが付けられています.

 現在日本では,愛知教育大学の飯島康之先生が開発されたGeometric Constructor(GC)をはじめ,本書で使っているCabri Geometry(カブリ),そして,スケッチパッドなど多くの図形ソフトが,使われるようになっています.

 筑波大学の能田伸彦教授と中山和彦元教授がフランス,グルノーブル大学からCabri Geometryを日本に持ち帰られ,グルノーブル大学との共同研究を始めて10年になります.カブリも研究授業だけでなく,普通の授業の中でも使われるようになってきていると感じられるようになりました.そこで,今回は再度,カブリを利用した,動的な図形の環境での学習を整理し直して,図形を動的に扱ったことで,生徒の活動がどのように変わるか,どのように今までと違った課題の出し方があるかなどについてまとめました.ほとんどの章には例題や実践例を載せました.そして,1つの章だけをとって読んでも,実際の授業に利用していただけるようにしました.各章の内容は以下のようになっています.

 1章は,図形学習の新しい展開の基本的な考え方を示してあります.

 2章は,カブリの特徴を通して,動的な図形ソフトでどのような活動ができるかを具体的に示しています.さらに,教科書で扱われている基本の課題を動的にアプローチする方法を説明しました.

 3章は,中学校での五つの実践の事例を報告しています.

 4章は,3章での実践をもとに, 生徒の反応,先生の反応を分析し,動的な図形ソフトの効果と課題を示しています.

 5章は,教科書にはない場面での教材のコレクションを行いました.生徒が自分で知識を創る体験をしてほしいということを考えて課題を集めてあります.

付録では,カブリの使い方を説明しています.基本的な操作手順,さらに,事例を載せたウェブページの紹介,図形の教材のための参考文献も掲載しました.

 また,3章や5章は課題学習の題材としても使えるものが入っています.

 最近は,コンピュータ室だけでなく,電卓にもCabri IIが搭載されるなど,普通教室や家庭の学習にも,図形ソフトが使えるようになっています.私たちは,このようなテクノロジーが道具として,コンパスや定規と同じように,そこにあって当たり前になるように,テクノロジーを使っているという意識なしに,日常的に授業でも生徒の学習でも使えるような展開を目指しています.計算では,電卓などのテクノロジーが実生活では日常的に使われ,学校の授業の中でも使われるようになっています. 図形ソフトも図形学習の道具として気楽に使われ,図形学習のおもしろさを多くの子どもたちに体験してもらえるようになることを期待しています.

 明治図書の立花氏には,このような機会を提供いただき,図の多い本書の編集に,多大なご苦労をおかけし,大変お世話になり,深く感謝いたしております.


   /清水 克彦 /垣花 京子

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      明治図書

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