- はじめに
- 1章 理解度確認の必要性と進め方
- §1 算数科の基礎・基本の定着ときめ細かな評価
- 1 算数科の基礎・基本
- 2 基礎・基本を定着させるきめ細かな評価
- 3 理解度確認の必要性
- §2 理解度確認の5分間テストの作成の仕方
- 1 授業のねらいの重点化
- 2 評価基準の設定
- 3 学習問題の作成
- 4 学習問題と類似の問題で5分間テストを作成
- §3 確認5分間テストの活用
- 1 授業での活用の仕方−1
- 2 授業での活用の仕方−2
- §4 朝学習・宿題の「繰り返し学習」への確認テストの活用
- 2章 算数科4年理解度確認5分間テスト
- ◆1 大きな数
- [理解度確認テスト]
- 大きな数@(千億の位までの数の読み方,書き方)
- 大きな数A(千兆の位までの数の読み方,書き方)
- 大きな数B(兆の位に及ぶ数の仕組みや書き方の理解)
- 大きな数C(十進位取り記数法をもとに,数の相対的な大きさの理解)
- 大きな数D(数の大きさを数直線で表す)
- 大きな数E(整数を10倍した数の表し方)
- 大きな数F(整数を10でわった数の表し方)
- 大きな数G(0〜9の10この数字で,どんな数でも表せることの理解)
- 大きな数H(十進位取り記数法の理解)
- ◆2 円と球
- [理解度確認テスト]
- 円と球@(円についての理解)
- 円と球A(円の直径についての理解)
- 円と球B(コンパスを使って円をかくことを通し,円の中心,半径についての理解の確認)
- 円と球C(コンパスを使っての作図の技法)
- 円と球D(円,中心,半径の用語の理解 コンパスを使って円をかくこと,コンパスを使って長さを測りとること)
- 円と球E(直径,半径についての理解とそれを用いた問題解決)
- 円と球F(円の直径,半径の理解を活用しての模様づくり)
- 円と球G(球についての理解)
- 円と球H(球の用語の理解と球の直径についての理解)
- ◆3 わり算の筆算1
- [理解度確認テスト]
- わり算の筆算1@(何十,何百÷1位数の計算の仕方)
- わり算の筆算1A(何百何十÷1位数の計算の仕方)
- わり算の筆算1B(わり算の場面の理解,式で表す,何十÷何の計算の仕方)
- わり算の筆算1C(2位数÷1位数(あまりなし)の筆算の仕方)
- わり算の筆算1D(式を立てる,2位数÷1位数(あまりありで,各位ともわり切れない)の筆算の仕方)
- わり算の筆算1E(3位数÷1位数の計算の仕方,確かめの仕方)
- わり算の筆算1F(3位数÷1位数の筆算の仕方,確かめの仕方)
- わり算の筆算1G(3位数÷1位数(商が首位に立たないときを含む)の筆算の仕方)
- わり算の筆算1H(ある数がもとにする大きさの何倍か,何倍かにあたる数と倍を表す数からもとにする大きさを求める,暗算の仕方)
- ◆4 わり算の筆算2
- [理解度確認テスト]
- わり算の筆算2@(2位数÷2位数の除法で,わる数の一の位を切り捨てて商の見当をつける問題)
- わり算の筆算2A(2位数÷2位数で過大商を立てたとき,仮商修正が1回ある問題)
- わり算の筆算2B(2位数÷2位数の除法で,仮商修正が2回以上ある問題)
- わり算の筆算2C(2位数÷2位数の除法で,仮商修正がある問題のまとめ)
- わり算の筆算2D(3位数÷2位数=1位数になる問題)
- わり算の筆算2E(3位数÷2位数で,仮商修正が1回ある問題)
- わり算の筆算2F(3位数÷2位数=2位数になる問題)
- わり算の筆算2G(3位数÷2位数=2位数になる問題)
- わり算の筆算2H(除法について成り立つ性質を理解する)
- ◆5 折れ線グラフ
- [理解度確認テスト]
- 折れ線グラフ@(折れ線グラフを正しくよみとる[知識・理解])
- 折れ線グラフA(資料を折れ線グラフに表すことができる[表現・処理])
- 折れ線グラフB(折れ線グラフのよみとりから,資料の特徴や傾向を考える[数学的な考え方])
- 折れ線グラフC(折れ線グラフに関心をもち,折れ線グラフに表すよさに気づくとともに活用しようとする[関心・意欲・態度])
- ◆6 三角形
- [理解度確認テスト]
- 三角形@(格子点におかれた二等辺三角形,正三角形の分類)
- 三角形A(二等辺三角形,正三角形の定義)
- 三角形B(コンパスを用いた二等辺三角形,正三角形の作図)
- 三角形C(角の大きさが等しいという二等辺三角形,正三角形の性質)
- ◆7 角
- [理解度確認テスト]
- 角@(半直線が回転することによる角の成り立ち,直角と回転角の関係)
- 角A(分度器による角度の測り方)
- 角B(180°より大きな角の測り方の工夫)
- 角C(分度器による角の作図,三角定規の角の測定)
- ◆8 小 数
- [理解度確認テスト]
- 小数@(小数の意味や表し方・用語)
- 小数A(小数の仕組み,小数を順序数としても考える)
- 小数B(相対的な大きさで,小数を考える)
- 小数C(いろいろな単位をもとに小数(単名数)で表す,小数の大小を判断する)
- 小数D(繰り上がりのない小数のたし算の筆算,0.1を単位にして考えると,整数と同じように筆算ができる)
- 小数E(繰り下がりのない小数のひき算の筆算,0.1を単位にして考えると,整数と同じように筆算ができる)
- 小数F(小数第一位から一の位へ繰り上がるたし算の筆算の仕方)
- 小数G(一の位から小数第一位に繰り下がるひき算の筆算の仕方)
- 小数H(小数のたし算かひき算を活用する文章題,作問)
- ◆9 がい数
- [理解度確認テスト]
- がい数@(概数を用いる目的に応じて,何桁の概数を用いたらよいかの判断をすること)
- がい数A(概数を用いる目的に応じて,何桁の概数を用いたらよいかの判断をすること)
- がい数B(いろいろな数を四捨五入して,ある位までや上から何桁のような概数にすること)
- がい数C(四捨五入した整数の範囲を求めたり,数直線上で表したりすること)
- ◆10 面 積
- [理解度確認テスト]
- 面積@(周りの長さと広さについての関係)
- 面積A(面積の定義とその単位1平方センチメートル(1cm2)の書き方,面積のいくつ分の表し方)
- 面積B(面積の公式の求め方と長方形,正方形の面積の公式の言葉と使い方)
- 面積C(長方形,正方形の面積を求める計算)
- 面積D(長方形や正方形が組み合わされた形(出っ張っている)の面積を求める計算)
- 面積E(長方形や正方形が組み合わされた形(引っ込んでいる)の面積を求める計算)
- 面積F(面積から長さを求める問題の計算(面積の公式を使って□を使った式を作る))
- 面積G(1m2,1q2の単位の関係)
- 面積H(面積のまとめの問題)
- ◆11 分 数
- [理解度確認テスト]
- 分数@(1mを等分してできる部分の大きさを分数で表すこと)
- 分数A(1lを等分した分数の大きさを表すこと)
- 分数B(数直線上に分数を表すこと)
- 分数C(分数の大小比較ができること)
- 分数D(長さやかさの場合において,量を仮分数に表すこと)
- 分数E(真分数と仮分数の用語を理解し,大小比較ができること)
- 分数F(長さやかさの場合において,量を帯分数に表すこと)
- 分数G(帯分数を仮分数に,仮分数を帯分数に表すこと)
- 分数H(真分数,仮分数,帯分数の用語を理解し,大小比較ができること)
- ◆12 式と計算
- [理解度確認テスト]
- 式と計算@(加法と減法の2段階の場面で,問題の場面を( )を用いて一つの式で表す)
- 式と計算A(加法と減法の2段階の場面で,( )を用いた式の計算を正しく行う)
- 式と計算B(乗法または除法と,加法または減法の2段階で,問題の場面を( )を用いた一つの式で表す)
- 式と計算C(乗法,除法と加法,減法の2段階の場面で,( )を用いた式の計算を正しく行う)
- 式と計算D(加法と減法の2段階の場面で,( )を用いた式と用いない式の計算を正しく行う)
- 式と計算E(加減乗除の混合した問題の場面を一つの式で表す)
- 式と計算F(加減乗除の混合した式の計算を正しく行う)
- 式と計算G(加減乗除が混合し,( )を用いた式の計算を正しく行う)
- 式と計算H(立式の意味を理解し,問題の場面と正しく結びつける)
- ◆13 かわり方
- [理解度確認テスト]
- かわり方@(伴って変わる2つの数量の関係(和が一定)を表に書く。昼と夜の時間の関係,読んだページと残りのページの関係)
- かわり方A(伴って変わる2つの数量の関係(差が一定)を表に書く。サイコロの目の数調べ)
- かわり方B(伴って変わる2つの数量の関係を言葉や式で表す。正三角形の数と辺の数の関係,正方形の数と辺の数の関係)
- かわり方C(伴って変わる2つの数量の関係を式で表す。画用紙の枚数と代金の関係,横の長さと面積の関係)
はじめに――確かな学力の定着・維持・向上の実践――
私たち教師の仕事は,子どもが現在の生活を充実して送ることができるようにするとともに,将来の自分の生き方に希望と目標をもって元気に,明るく,前向きに学んでいくことができるよう援助していくことにあります。
その一つの考え方が,これからの子どもたちに求められる力としての〔生きる力〕を個に応じて一人一人の子どもに育むことだと思われます。
〔生きる力〕の中身については,中央教育審議会答申(平成15年10月7日)に関連して,文部科学省はホームページで構造的に示しています。
〔生きる力〕は,各教科,道徳,特別活動,総合的な学習の時間の学習や体験を通し,学校の全教育活動の中で,意図的,計画的,継続的に育成されていくものです。
本書では,〔生きる力〕を知的側面から捉えた「確かな学力」を定着させ,維持し,向上させることに着目し,重視して編集いたしました。
私たちは,「確かな学力」を定着させるためには,毎日の授業の中で「P→D→C→A→C」によって「指導と評価と援助の一体化」を実現することが大切だと考えました。具体的には,次のようなことを1時間(ひとまとまり)の授業の中で堅実に実践していくことが必要だと考えました。
(図省略)
一般的に,授業の前に@Plan(授業の設計と準備)が行われます。授業の中で大切にしたいものがADo(工夫した授業展開),BCheck(子どもの反応の点検・把握),CAction(個に応じた援助の実施)で,教師が指導(子どもが学習)したら,その反応を捉え,子ども一人一人に応じた援助の手だてを講じて,子どもが学習や体験を通してなるべく次のような変容が起こるようにしていきたいと考えました。算数科を例に考えます。
◆学習が嫌い―――→◯学習が好きになる
◆自分から学習しない―→◯進んで学習する
◆考えるのが苦手―――→◯工夫して考えたり調べたりする
◆よく分からない―――→◯よく分かるようになった
◆うまくできない―――→◯確実にできようになった
◆文章題など問題が解けない――→◯文章題などが解けるようになった
◆学習したことが次の学習に生かせない――→◯学習したことが生かせるようになった
◆学習したことが役立つと思っていない――→◯役立つことに気づくようなった
これらのことを実現するためには,ADo,BCheck1,CAction 即ち「指導と評価と援助」の一体化を進める必要があります。特に,これらの一連の営みに加えて,DCheck2(援助の効果の確認)を行い,教師は子どもの学習の進展状況を見届けて自らの教材研究,授業力の振り返り,改善につなげていくようにします。このことは即時的に,子どもの学習が順調であれば子どものよい点や進歩を自覚させて自信を高めるようにし,とまどいやつまずきがあればそれを乗り越えられるように援助の手立てを講じて学習が成立するようにしていきます。
このように,DCheck2(援助の効果の確認)は,大切な段階です。この援助の確認の方法には,ノートや学習シートの観察,発言や話し合いの観察など様々にありますが,今日の授業で学習したことが分かっているか,出来るようになっているかを簡便に確認する方法として,「確認5分間テスト」の活用を考えたのです。「指導→即評価→即援助→即確認」ということです。
幸いにして,既に先導的な授業を工夫している学校現場の多くの方々に協力を得ることができ,本書が誕生しました。読者の皆様の改善へのご批判ご指導を切にお願いする次第です。
最後になりましたが,ご多用な中から豊かな体験に基づく玉稿を賜りました諸先生方に心からお礼を申し上げます。有り難うございました。また,私たちの曖昧模糊とした発想を素敵な本に整理し,構造化して発刊の道筋を作っていただいた明治図書編集部の安藤征宏氏に特に名を記して感謝の意を表します。
平成17年4月 編者 /小島 宏
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- 明治図書