新学習指導要領の指導事例
新中学校数学科・重点指導事項の実践開発

新学習指導要領の指導事例新中学校数学科・重点指導事項の実践開発

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「重点指導事項」指導のアイデアと授業構成を提案

今次学習指導要領が示している内容のうち、特に重点を置いて指導すべき事項を抽出し、指導展開案を提示。また、数学科で育てるべき能力、数学的に見る目を育てる方策についての事例、年間指導計画等、これからの数学科の授業設計を提案する。


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ISBN:
978-4-18-570910-1
ジャンル:
算数・数学
刊行:
2刷
対象:
中学校
仕様:
B5横判 168頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
T 「改訂学習指導要領」中学校数学科
1 「改訂学習指導要領」(平成20年3月28日告示)とその「解説」
2 「改訂学習指導要領」数学科の目標のとらえ方
「数学的活動を通して」について/ 表現する/ 実感する/ 活用する
3 数学科の内容(指導事項)の確認−移動内容を中心に−
指導事項として明記されている内容/ 「第3 指導計画の作成と内容の取扱い」に示されている内容/ 中学校数学科の内容の構成
U 中学校数学科「重点指導事項」をどう考えるか
1 中学校数学科の内容の骨格
2 数学科における「基礎・基本」
前回改訂時の「基礎・基本」に関する議論
3 数学科「重点指導事項」の一つの考え方
4 「重点指導事項」として新たに考慮すべき要件
基礎的・基本的な知識・技能としての「重点指導事項例」
「社会的自立」と「つまずきの解消」という観点
まとめ
V 「重点指導事項」の教材研究
―指導のアイディアと授業構成
第1学年
「数と式」
@正の数・負の数 〔正の数・負の数の意味と計算の仕組みを理解し,基礎・基本の定着と言語力の育成を図る〕
A文字 〔数学的活動を通して文字の式を学ぶ意義を実感させる〕
「図 形」
@作図 〔図形領域のつながりを実感させる作図指導〕
A空間概念 〔図形に対する直観的な見方や考え方を育む〕
「関 数」
@関数の意味・比例反比例 〔変化,変量に目を向け,意外性を感じ取る授業〜比例定数が負の問題場面〜〕
A関数の利用〔身の回りの事象に関数を活用する〕
「資料の活用」
@分布と代表値 〔資料を適切に表現し,読み取る力を育む〕
第2学年
「数と式」
@整式の四則 〔整式の四則を学びたくなるような学習の展開を工夫する〕
A文字式の利用・証明 〔「文字の理解」と「推測すること」で文字式の証明を楽しもう〕
「図 形」
@多角形と角 〔図形の性質を関連付けて理解し,実感する力を育む〕
A証明 〔図形の論証の基礎となる「三角形の合同」の証明の仕方を,イメージを大切にしながら記憶に残す〕
「関 数」
@関数の利用・実験式 〔体験・操作活動の重視と,表,式,グラフの関連付けを意識した授業の展開〕
A連立方程式と関数(グラフ) 〔グラフを通して連立方程式の解の意味を深く理解する〕
「資料の活用」
@確率とその意味 〔順列・組み合わせ等を活用して表現する力を育む〕
第3学年
「数と式」
@平方根 〔平方根を用いて表現する力を育てる指導法の工夫〕
A二次方程式(解の公式) 〔図形と関連付けることを通して「解の公式」の理解を深める〕
B式の展開と因数分解 〔数学的な見方や考え方を育む〜発展的課題の解決を生かして〜〕
「図 形」
@円周角 〔観察・操作・実験による新たな円の性質の発見とその証明〕
A三平方の定理 〔「図形をみる目」「活用する力」を伸ばす指導の工夫〕
B相似 〔相似な図形の観察を通して相似比,面積比,体積比の関係を実感する力を育む〕
「関 数」
@二次関数と変化率 〔身の回りの事象の理解〜関数は「速さ」をとらえること〜〕
Aいろいろな事象と関数 〔表,グラフ,式を関連させることを通して既習の式に表現できない関数の存在を知る〕
「資料の活用」
@標本調査とその利用 〔資料を批判的に分析する力を育む〕
W 能力に関する重点指導事項
―数学的活動と活用する力
1 数や図形などをよく観察したり,数や図形などの性質を見いだしたり,発展させたりする力
2 数学的に表現したり,判断したり,洞察したりする力
3 予測や推測を生み出しそれらを確かめたり,よりよい予測や推測をしたりする力
4 データに基づいて正しく推論する力
5 数学の必要性などを実感する活動
6 実生活や社会で数学を利用する活動
7 数学的な表現を用いて,根拠を明らかにし筋道立てて説明し伝え合う活動
8 数学的活動の過程を振り返り,レポートにまとめたり発表したりする活動
X 授業時間増に対応した年間指導計画
1 年間指導計画作成の考え方
2 第1学年
3 第2学年
4 第3学年
あとがき

まえがき

 「改訂学習指導要領」が平成20年3月28日に告示され,次いで「解説」(「中学校学習指導要領解説 数学編」文部科学省 H20.9.)も刊行された。移行期間中,生徒が使う補助教材(移動及び追加指導内容等に遺漏なく対応できるよう作成されることになったもの)も来年度(H21.)から使用できるようになるとのことである。

 本書は,これに加え移行期間中また全面実施時に向けて,中学校数学科の指導環境を整備し,授業設計の充実を図るとともに,特に重点を置いて指導すべき事項及びその指導展開の工夫に関する提案を試み,生徒の確かな学力に繋がるようにと願って編集されたものである。

 本書は5つの章で構成している。第T章では,今次学習指導要領の強調点を確認し,どのようにすればよりよい実践へと結び付けられるか考えておくべきことを述べている。第U章では,中学校数学科で指導事項として掲げられている内容そのすべてが義務教育段階で学習すべき基礎的・基本的な内容であることを前提とし,これまでの精選,集約(あるいは厳選)を経て,なお重点的に指導を要する事項=重点指導事項についての考え方を述べている。

 第V章では,「改訂学習指導要領」中学校数学科で示している内容のうち義務段階ということを視野に,また,(高等学校等上級学校での数学学習を含め)系統性に配慮し,かつまた,特に生徒につまずきがみられる内容等,指導の仕方を改善するなどして重点指導事項を抽出し,実践の展開案を提示している。なお,本章の項立てを,1 なぜ重点指導事項なのか,2 どのように授業を改善するか,3(この実践に)どのようなよい点があるか(含展開例),4 さらに研究を進めるために,としたのはその筋道が分かるようにと考えてのことである。

 第W章では,中央教育審議会「答申」(H20.1.17.)で要請されていること,そして,「改訂学習指導要領」数学科で求めている数学学習を通して育てるべき能力を見定めこれを伸ばすとともに,数学的にものを見る目を一層鋭くするための方策について,いかなる事例でどのようにすればよいかその展開の概略を添えて述べている。そして第X章は,上記実践を見通しをもって進められるよう各学年の年間指導計画(案)について述べたものである。

 とかく,移行期は準備期と考えられがちである。しかし,今ある生徒にこれは通用しない。これを肝に銘じ,本書を,抜かりなく適切な数学科指導実践を実現するための書として役立てていただければ幸いである。


  平成20年11月   /根本 博

著者紹介

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茨城大学教授

前文部科学省 初等中等教育局 主任視学官

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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