- 中学校進路指導新重点ファックス資料集 2年
- 新教育課程時代の進路指導のために―本書編集のねらい―
- 1章 進路指導の計画例と資料の位置づけ
- 2章 学級活動2年/進路指導のファックス資料
- 1 夢を広げる進路計画〔目標をもった将来の生活設計〕
- 各事例の項目立て(2章〜4章)
- 1 活動のねらい
- 2 活動の構想と資料の位置づけ
- 3 ファックス資料活用のポイント
- 4 指導に生かす評価のポイント
- *ファックス資料
- ファックス資料1 私のこれから [将来の生活設計をしよう]
- ファックス資料2 進路計画の発表をしよう!
- ファックス資料3 「進路計画を立てよう!」のまとめ
- 2 将来の夢につながる学習をしよう〔学習の意義の理解〕
- ファックス資料1 ねむい目をこすりながら[どうして勉強なんて!?]
- ファックス資料2 僕の夢・私の夢/僕の長所・私の長所
- ファックス資料3 人生計画表
- 3 進路選択で知っておかなければならないこと〔進路学習の内容の理解〕
- ファックス資料1 A君から学ぼう[問題点を発見しよう!]
- ファックス資料2 みんなでA君を救え!
- ファックス資料3 進路選択で知っておかなければならないことのまとめ
- 4 自分を生かす資格・職業〔広い視野からの進路情報〕
- ファックス資料1 職業意識調査
- ファックス資料2 職業いろいろ
- ファックス資料3 私の未来予想図
- 5 得意教科をもっと伸ばし,不得意教科は克服しよう〔学習方法の工夫・改善〕
- ファックス資料1 こんな人はいないかナ?
- ファックス資料2 総力取材! ザ・〇勉強法
- ファックス資料3 苦手科目からの脱出!〜究極の克服法〜
- 6 上級学校は中学校とどこが違うか〔上級学校を知る〕
- ファックス資料1 もっと知りたい 上級学校 PART 1
- ファックス資料2 もっと知りたい 上級学校 PART 2
- ファックス資料3 マイ チェック カード
- 7 働く喜びを知ろう〔望ましい職業観,価値観の育成〕
- ファックス資料1 職場訪問の計画と記録
- ファックス資料2 職場訪問で学んだこと
- ファックス資料3 職場訪問報告会に参加して
- 8 君の選択,私の選択〔多様な価値観の理解〕
- ファックス資料1 私が仕事(職業)を選ぶ条件
- ファックス資料2 身近な人に私の考えを聞いてもらおう
- ファックス資料3 保護者と考える進路学習発表会
- 9 自分を生かす職業の選択〔将来の生活設計〕
- ファックス資料1 体験学習アンケート
- ファックス資料2 訪問先に電話をかけよう
- ファックス資料3 質問カード
- 10 私の個性再発見と進路〔将来の生活設計〕
- ファックス資料1 進路について考えてみよう
- ファックス資料4 評価カード(授業を振り返って)
- ファックス資料2 ライフプランを立てよう
- ファックス資料3 ライフプランについて考えてみよう
- 11 見通しをもって進路選択をしよう〔進路情報の理解・吟味〕
- ファックス資料1 なぜ高校を中途退学してしまう?
- ファックス資料2 自分自身を見つめ直そう
- 12 目標実現のための生活設計〔進路の目標に向けた生活の改善と計画的な準備〕
- ファックス資料1 進路計画を検討しよう
- ファックス資料2 1年間の反省と3年生になるための準備
- 3章 啓発的体験活動
- 1 上級学校の調査,訪問
- ファックス資料1 卒業生からの手紙
- ファックス資料2 事前学習表
- ファックス資料3 上級学校訪問のまとめ
- 2 生き方を学ぶボランティア体験
- ファックス資料1 1自分にできるボランティア活動/2小さなボランティア ヒント集
- ファックス資料2 事前計画表
- ファックス資料3 1小さなボランティアのまとめ/2発表会の計画案
- 4章 進路相談
- 1 保護者と一緒に考える進路
- ファックス資料1 進路相談資料1(保護者用)
- ファックス資料2 進路相談資料2(生徒用)
- ファックス資料3 進路相談カード(担任用)
- ファックス資料4 進路相談カード(生徒用)
- 2 進路計画へのアドバイス
- ファックス資料1 ライフプランを立てよう
- ファックス資料2 自己分析表
- ファックス資料3 進路相談資料(保護者用)
- ファックス資料4 進路相談資料(担任用)
新教育課程時代の進路指導のために―本書編集のねらい―
§1 「生きる力」をはぐくむ進路指導を目指す
いよいよ新しい学習指導要領による教育が動き始める。生徒一人ひとりに「生きる力」を育てる教育である。進路指導の役割もその重要性がますます大きくなってきている。
一人ひとりの生徒は,他の人には代えがたい個性をもち,多くの可能性を秘めている。彼らが自己理解を深め,自らの個性を伸ばし,豊かな自己実現を図り,21世紀を主体的に生きていく力を育成することが大切である。人間としての生き方について自覚を深め,自己を生かしていくことができるように,進路指導の一層の充実を目指さなければならない。
ところが,社会が急激に変化してきている今日の状況の下では,価値観が多様化し,社会全体の中から価値指標が無くなってきている。すなわち,モデルとなる生き方や,よりどころとなる価値観が見えなくなっているのである。
生徒にとっても,自らの人生をどのように設計し,どのように生きていくのか不透明な時代となっている。そのため,生徒の中には,「その時その時が楽しければそれでよい」という,刹那的な生き方が広まってきている。自らの目的意識を明確にして,その実現に向けてこつこつと努力を重ねるまじめさも欠落してきている。目先の楽しさに心を奪われ,将来を視野に入れた自らの生き方を考えようとしない者が増加してきていると言える。
さらには,生徒指導をめぐる課題も山積している。暴力行為(生徒間暴力,器物破壊,対人暴力,対教師暴力),いじめ,不登校,性非行の増加をはじめ,自主性,自発性に乏しいマニュアル型人間,指示待ち人間,社会的疎外感を抱く若者の増加,無気力,無責任の傾向,規範意識の欠落などの問題である。
このような社会背景や生徒の実態が存在するからこそ,生徒一人ひとりに対して,自らの個性を十分に理解し,自分なりの夢や希望や目標を大切にしながら,その実現に向けて自らの進路を切り拓いていくことができるような能力や態度を育成していくことが大切になってくるのである。
このことは,新学習指導要領が「現在及び将来の生き方を考え行動する態度や能力を育成することができるようガイダンスの機能の充実を図ること」「選択教科や進路の選択などに当たっては,ガイダンスの機能を充実する」と示していることや社会の一員としての自覚を深め,人間としての生き方の指導を図る観点から「ボランティア活動」の学習が入ったことなどと無縁ではない。
進路指導は,生徒が自らの生き方を考え,将来に対する目的意識を持ち,自分の意志と責任で自らの進路を選択決定する能力や態度を身につけることができるよう,指導・援助することである。
換言すれば,生徒一人ひとりが,自分の将来の生き方には多様な選択の可能性があることを理解するとともに,自らの能力,適性,興味・関心,性格,将来の希望などを生かして,将来にわたって,社会的な自己実現を図っていくことができるように指導・援助することとも言えよう。
このように進路指導をとらえるならば,正にそれは「生き方指導としての進路指導」であろう。
このことは,「生きる力」に言う「自分で課題を見つけ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力や豊かな人間性など」の育成と同一の方向性を示している。このことを理解し,毎日の進路指導の実践に当たっていくことが,結果として「生きる力」の育成につながることを確信したいものである。
§2 効果的な活用のために
本書では,「生きる力」の育成を目指す今次の教育課程の改善の趣旨が,十分に生かされるよう配慮して内容構成を一新した。
先生方には,本書の以下の特色を十分に理解され,進路指導の望ましい在り方を目指し,活用していただきたいと考えている。
○ 「生きる力」の育成を基盤にした進路指導の展開を目指した
○ 「ガイダンスの機能」,「ボランティア活動」など,新しい学習指導要領に取り入れられた趣旨を生かす展開とした
○ 三年間を見通した進路指導の展開を考慮した構成とした
○ 特別活動における進路指導,勤労生産・奉仕的行事での啓発的な体験活動及び個別指導としての進路相談,保護者や地域との連携など,進路指導の今日的な課題を重視した
○ 主として学級活動における進路指導の実践にすぐに役立つ資料集とした
各題材ごとの構成は,以上のような点を踏まえており,「指導のねらい」「活動の構想と資料の位置づけ」「ファックス資料活用のポイント」「指導に生かす評価のポイント」を柱とした指導の基本構想部分と,その指導を支える具体的な資料(ファックスしてそのまま授業に使用できる)とから成り立っている。ファックス資料は,生徒が興味や関心をもち,意欲的に学習活動に参加できるように配慮されている。
題材ごとに自分の学級,学年の実態を十分に踏まえて,基本構想部分を修正するとともに,ファックス資料をどのように効果的に使うかなどについて,先生方ご自身の創意工夫を期待している。
生徒が個性を生かし,自らの生き方を探求し,生きる力を体得して豊かに社会的自己実現を図っていく上で,本資料が有効に機能するものと信じている。
編者 /渡部 邦雄
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- 明治図書