- はじめに――図工だからできること〜めざせ!“みんなちがって みんないい”〜
- T さあ,図工の時間をはじめよう!
- 低学年
- 1 ウロコがすてきな こいのぼり…はさみを使って切って切って (1年)
- 2 カラフルかたつむり…色を思いっきり楽しみたい! (1年)
- 3 わたしは ぼくはケーキ屋さん…食べたい!気持ちで作りたい (2年)
- 4 おしゃれなかいじゅう…色ともようで遊んじゃおう (2年)
- 5 玄関のウエルカムかざり…学校を楽しく飾ろう (2年)
- 中学年
- 1 草むらのジャングル…想像の世界で遊ぼう (3年)
- 2 コリントゲーム…楽しみながらくぎ打ち名人になろう (4年)
- 3 飛び出すカード…手作りで気持ちをプレゼント (4年)
- 4 はりこのおめん…ちぎってちぎってはってはって“世界でひとつ” (4年)
- 高学年
- 1 夢のマイアイランド&マイハウス…わたしの世界を作っちゃおう!わたしの世界で遊んじゃおう! (5年)
- 2 お話の絵「むく鳥のゆめ」「八郎」…物語の世界にひたりたい (5年)
- 3 5の○ワールドを作ろう! 絵画バージョン …みんなの夢を合わせてでっかい紙にでっかい世界を (5年)
- 4 5の○ワールドを作ろう! 工作バージョン …ひとりひとりの「これが好き!」をみんなの中で生かしたい (5年)
- 5 11才・12才の自画像…鏡の中の自分の心を見つめて (6年)
- 6 心の森〜心の中をみつめたら〜…子どもの数だけ表したいことがある (6年)
- 7 等身大・組体操の絵…みんながいる・わたしがいる (6年)
- 8 わたしの時を刻む…好き!で暮らしを飾りたい (6年)
- 図工の時間じゃなくっても
- 1 季節のおくりもの…みんなで作るから楽しい12ヶ月のかざり (全学年)
- ショート教材
- 1 紙コップのパックン人形…パパッと作っておしゃべりしよう (全学年)
- 2 コルクdeマイ・バッジ…ちょこっと作ってすぐおしゃれ (全学年)
- 3 ルームプレート・しおり作り…作って使おう! (全学年)
- 4 チャレンジ・ザ・切り紙…○年生ならではの技に挑戦! (全学年)
- 5 まちがいさがしゲーム…みんなを楽しませてあげよう (全学年)
- 6 「○○な気分」…気分に合った色や形の構成を楽しむ (全学年)
- 7 お魚レリーフ…カッターで白い紙の陰影を楽しむ (4・5・6学年)
- U みんなが楽しい図工の時間にしたいな!
- ―障害のある子どもにとって「楽しい」「ねうちのある」時間をどう創る?―
- V 素朴な疑問 Q&A
- Q1 絵を描く時は,画用紙の白を残さずに塗った方がいいのですか?
- Q2 えのぐを使うと必ず「水びたし」「色がにごる」「紙がやぶれる」子どもがいます。なぜでしょう?
- Q3 絵を描く時,いつも同じ4つ切り画用紙だとマンネリになってしまいます。違う種類を使いたいのですが,どんな時にどんなものを使えばいいでしょう?
- Q4 どんな時にどんな描画材や用具を使えばいいのか悩みます。
- Q5 えのぐで彩色する時,色の作り方のコツや,気をつけた方がいいポイントは?
- Q6 例をあげて説明するとみんな同じような作品になってしまいます。どんな例のあげ方をするといいですか?
- Q7 子どもにわかりやすく説明するためのポイントは何でしょう?
- Q8 「いい教材」ってどんなものでしょう?
- Q9 「いい教材」を見つけるコツは何でしょう?
- Q10 アイデアが浮かばず困ってしまう子どもがいます。どんなアドバイスをすればいいでしょう?
- W 困った!こんな時にはこんなアドバイスはいかが?
- 1 なかなか制作が進まずに気分が疲れてきた時に
- 2 イライラして作品をぐちゃぐちゃにしてしまいそうな時,やる気が出なくていいかげんに作ったり描いたりしてしまう時に
- 3 制作の中だるみを防いで作品のグレードアップをめざしたい時に
- X さらに楽しい図工にするために
- 1 あったら便利コーナー 手作り補助教材編
- 2 あったら便利コーナー 道具編
- 3 切るときポイント
- 4 くっつけポイント
- 5 彩色ポイント
- 6 塗装ポイント
はじめに
図工だからできること 〜めざせ!「みんなちがって みんないい」〜
子ども達が大好きで,楽しみにしている教科,それが図工です。好きな絵や工作を作っていると,ワクワクして元気が出たり,心が落ち着いたりするものです。
図工はまた,ひとりひとりががんばれば,金子みすゞさんの詩の一節の「みんなちがって みんないい」を,目に見える形で実現できる教科でもあります。
図工では「正しい答えはひとつだけ」ではありません。ひとりひとりが個性と,持っている力を精一杯出し切ることができれば,それぞれの良さを持った,それぞれに違う作品が,子どもの数だけ生まれます。
みんなが,楽しく,いっしょうけんめい作ることで,図工の力がつき,心が活性化するだけでなく,さらに大きな「みんなちがって みんないい」の世界まで,作品を通して実現することができる。
作った子どもや,それを見た人達が,作品にふれることで「みんなちがって みんないい」がどんなことなのかわかり,自分もみんなもその大切なひとりなんだということに気づくことができる。
そんな可能性を秘めた魅力ある教科が,図工科だと思うのです。
「図工の授業の中で,『みんなちがって みんないい』に近づきたい。」
「そこから,作品だけではない子どもそのものの『みんなちがって みんないい』に近づいていきたい。」
目標は大きく,実現はまだまだなのですが,少しずつでも近づけることを願って,日々授業をしています。
とにかく聞いてみよう!
では,その目標に近づくために,教師として力をつけるために,有効な方法は何でしょう。それは,「とにかく訊ねる。聞いてみる。」ことだと思います。
同僚に,先輩に,友達に,どんどん聞いてみましょう。
「〇年の教材で,やって成功!だったものは何?」
「子どもは,どこを楽しんでいた?」
「つまずきやすいのはどんなところ?」
「遅い子のフォローはどうしたらいい?」
聞きたいこと,知りたいことは,たくさんあると思います。
ひとりでは経験しきれない,よかったこと,悪かったこと,いろいろな情報を,聞けば教えてもらえることでしょう。そして,すべては無理でも,その中の「これは!」と思うものを,取り上げてまねしていけばいいのです。
どんどん聞いて,どんどんまねして,その中で,だんだん自分流のやり方が見つかってきます。
まずは聞いて,まずはやってみることからはじめてください。
仲間を作ろう!
もうひとつ大切なのは,「仲間を作る」ことです。
仲間がいれば,「聞いてみる」ことができるし,子どもだけでなく自分自身についても,ひとりでは気づかなかった「いいところ」や,「がんばるべきところ」に気づかせてもらえます。いろんな見方や考え方にふれることで,より多角的に,全体的に子どもや子どもの作品を見ることができるようになるでしょう。
また,他の人にそうしてもらえるだけでなく,自分もまた違った視点を提供して,誰かの役に立つこともできます。
普段の会話の中から,サークルを通じて,気の合う,信頼できる仲間が作れれば,ずっと長く自分を支えて鍛えてくれる,力になってくれることでしょう。
わたし自身も新任の頃から,今日に至るまで,たくさんの方々に教えていただいて,支えていただいてきました。この本の内容も,それがあってこそのものです。
最後になりましたが,本書の出版に対しお世話になりました富山大学の竹井史先生,大切な先輩,仲間,家族である,山本みずえさん,稲葉文子さん,梶原祐子さん,兼本照也さん,明治図書編集部の石塚嘉典さん,編集の労をとって頂きました鈴木嗣子さん,そして支えてくださったみなさまに,心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
2004年1月 /大重 裕紀子
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- 明治図書