- はじめに
- T だれでもできる すぐできる 和楽器の指導
- 一 大逆転現象が起きた箏の授業
- 1 リコーダーより簡単!
- 2 これで安心! 楽器の準備
- (1) 近隣の学校から借りる
- (2) 柱は立てっぱなし
- (3) 龍頭にはちまき・七の糸を赤く
- (4) 誠心誠意、説明すれば、やんちゃにも伝わる
- 3 全六時間 歌あり、鑑賞あり、クイズあり、もちろん演奏も
- (1) 単元の指導計画
- (2) 事前準備は学習カードと画像
- 4 うまくいくポイント
- (1) まず歌う
- (2) 主に模倣によって学習する
- (3) 曲を短いパーツに分け、新しい課題への抵抗を少なくし、既習のパーツを繰り返し学習する
- (4) 学習カードを利用して、課題意識を継続させる
- 5 一時間目の授業
- (1) 模範演奏を見て、演奏のイメージをつかむ
- (2) 情景をイメージして歌詞唱する
- (3) クイズで分かる「箏は龍」!?
- (4) 一つの班を見本にして隊形作り
- (5) 構え方を知るために、各部の名称も覚える
- (6) 糸番号唱は音程をつけて
- (7) 一時間目は一行目だけ 欲張らない
- 6 二時間目の授業
- (1) 「ガ」行を鼻濁音で歌う
- (2) 前時の復習はテンポよく次々と
- (3) 糸番号唱、空弾き歌いで、弾かないうちにイメージトレーニング
- (4) 一時間に一つだけ技を教える
- 7 三時間目以降の授業
- (1) 意志の「む」の歌い方
- (2) 残りは最後の一行だけ
- (3) 合格した班は、斗為巾を使って
- (4) 大逆転現象とは
- 二 思い切って三学期は日本の伝統音楽に「どっぷりつかる」 箏〜鑑賞〜アンサンブル
- 1 いよいよ授業開始
- (1) 全部の弦にマーカーを、七弦は赤で
- (2) 男女の仲がよくなる! …男女混合グループ三〜四人に分ける
- (3) 準備片づけも、ゲーム感覚でやる気にさせちゃう!
- (4) 練習回数の確保! テンポよくローテーション、待っている間も一緒に練習
- (5) スモールステップでレベルアップ
- (6) 相互評価による検定で、技術向上
- (7) 上手になりたい…問題意識を持った頃こそ「鑑賞」
- (8) 箏だけで終わらせない! 〜教頭先生の尺八と合奏〜
- 2 生徒の感想から
- U 聴く観点が分かれば好きになる 伝統音楽の鑑賞
- 一 まず体験ありき 〜子どもが没頭する鑑賞の授業
- 1 一年生の三学期に「どっぷりつかる」
- (1) 授業の流れ
- (2) 聴き方を示すことで集中した実際の授業
- (3) 日本の音楽のよさを外国に紹介すると〜生徒のプリントより
- (4) 生徒が一時間集中して聴いたワークシート
- 二 三年生だからこそ、伝統音楽のよさがわかる!
- 1 「吉田兄弟かっこいい!!」
- 2 授業の流れ
- 3 実際の授業
- 4 生徒のまとめより
- 5 ワークシート
- V わらべうたも子守唄も民謡も料理しだいで熱中する
- 一 気になるあの子も大満足「わらべうた」で遊んじゃおう
- 1 気になるあの子が「わらべうた」で変わった
- 2 授業例
- (1) 鬼(決め)遊びで遊んじゃおう
- (2) 「ぴょんこ節」で遊んじゃおう
- (3) その子守唄で子守をしているのはだれ?
- (4) 肩叩きリズム&童謡パートナーソング
- 二 楽譜の見方が変わる「日本の歌」の指導 〜キーワードは「音楽を形づくっている要素」
- 1 「音楽を形づくっている要素」って何?
- (1) 〔共通事項〕って何?
- (2) 「共通教材」って何?
- 2 楽譜を見ることが楽しくなった〜「おぼろ月夜」の実際の授業
- (1) 新曲が歌えるようになる三つの指示
- (2) 三拍子感覚を身につけるリズム遊び
- (3) 「反復」を見破るリズム叩き
- (4) 歌詞内容を理解する「一字読解」
- (5) 「強弱」を見破る「赤えんぴつ」
- 3 楽譜から色々なことが見えるようになった〜「ふるさと」の実際の授業
- (1) 新曲は三つの指示で
- (2) 三拍子感覚はリズム遊びで
- (3) 「反復」探しはリズム叩きで
- (4) 歌詞内容は「一字読解」で
- (5) 「強弱」探しは「赤えんぴつ」で
- 4 「おぼろ月夜」と「ふるさと」の〔共通事項〕
- (1) 「おぼろ月夜」
- (2) 「ふるさと」
- 5 「音楽を形づくっている要素」を知った子どもたち
- 三 「自称音痴」の生徒が伸び伸び歌える民謡の授業
- 1 中学生にとって民謡は歌いやすい
- 2 まず、教師が歌って見せよう
- 3 個別評定(検定)をしよう
- (1) 局面を限定する
- (2) 二段階より数段階にすると挑戦したくなる
- (3) 一人よりも、二人か三人で
- (4) 最初の一組が来ないとき
- 4 導入の授業案
- (1) 教師の範唱を真似させる
- (2) オペラ歌いと民謡歌い、両方やってみる
- (3) お腹に力を入れる、パンチして「ヤーッ!!」
- (4) 手振りでこぶしをつける
- (5) こぶし検定
- (6) 一人一人が自信を持ったらみんなで歌う
- (7) 二時間目には一人が旋律、一人が合いの手
- 5 「世界の声」の単元で
- おわりに
はじめに
? え? 日本の伝統音楽の指導? 前の指導要領から入ってるでしょ?
A でも、まだやってない学校もあるでしょ? 楽器がないよー、時間がないよー、指導者がいないよー、とか言って。やっても、地域の人を呼んで聞かせるだけだったり、生徒にはちょっと触らせるだけだったり。
? だって、ほんとに時間がないんだよ。週一時間しかないんだもの。
A 大丈夫。他の内容もやりながら、和楽器もできる方法もあるんだよ。
? しかも、前の指導要領と何かちがうんでしょ?
A 平成一四年の中学校学習指導要領では、和楽器は、三学年間で一種類以上「用い」させればよかったんだけど、今回の指導要領では
「言葉と音楽との関係、姿勢や身体の使い方についても配慮すること」
となっているね。
そうそう、歌唱教材は、
「民謡・長唄などの我が国の伝統的な歌唱のうち、地域や学校、生徒の実態を考慮して、伝統的な声の特徴を感じ取れるもの」
とも書いてあるよ。
? 民謡の発声なんて、知らないよ。習ったことないし、教えられないよ。
A それも大丈夫。やり方を教えてあげるよ。
日本人なのに、日本の伝統的な音楽をできないとか、知らないとか、今までがおかしかったんだよ。
それに、やっぱり日本人だから、日本の音楽のDNAが入ってるみたいだよ。ちょっとやってみれば、すぐできるもの。生徒の方ができるのは早いし。
とにかく、すっごく簡単だし、生徒が意外とのってくるんだ。案ずるより産むが易しだよ。
さあ、難しく考えてないで、音「楽」なんだもの。PLAYしようよ。
日本でだって、
「管弦の御遊びせさせ給ひて」
なんて言うでしょ。楽しく遊ぼうよ。
さ、早く早く!
/西邑 裕子
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- 明治図書