- はじめに
- T 学習集団に鍛える4月からの指導ステップ
- 1 質の高い学習集団とは?
- 2 サッカーJ1・清水FCに学ぶリーダーの役割
- 3 出会いの日に1年間の種をまく
- (1) 1年間の学級の目標を示す―学級のリーダーとしての姿を示す―
- (2) 担任に対する信頼感を植えつける
- (3) 出会った子ども同士がすぐに仲よくなる技
- (4) 心を育てる種をまく
- 4 学習集団を育てるための指導ステップ ―4つの視点―
- 5 話し方は,こうして鍛える
- (1) 話し方の未熟な子ども,何が問題か?
- (2) 一文の長さは17文字
- (3) スピーチでの一文の意識化
- (4) 一文を意識すると作文も変わる
- (5) 基本的な話し方を教える
- (6) 聞く力はこうして高める
- (7) 音読力を高める
- (8) 毎月,名文を暗唱させる
- 6 ノートの書き方は,こうして鍛える
- (1) ノートは何でもいいのか?
- (2) 学年別使用ノート一覧
- (3) ノートの基本的な書き方を鍛える
- (4) 算数での基本的なノート指導
- (5) ノートの視写速度を上げる
- 7 ?の目を育てる
- (1) 教師が面白がる
- (2) 辞書を使う
- 8 自主学習(自学)をシステム化する
- (1) 自学との出会いを演出する
- (2) 自学の練習を教室で行う
- (3) 全員が自学を提出するための方法
- (4) 自学をバージョンアップする
- 9 学習習慣は,こうして身につけさせる
- (1) 教科書チェックシステム
- (2) ワークテストを再生利用―切りプリ???―
- (3) 毎日の◯◯の日コーナーで鍛える
- 10 算数の表現力を育てる
- (1) 説明できない原因は何か?
- (2) 良い表現をまねる
- (3) ペア発表で続きを考える
- (4) 数直線を使いこなす力を育てる
- 11 こうすれば全員が学習作文を書ける ―キーワード作文―
- (1) 何のために学習作文を書くのか?
- (2) 文字数を指定する(10分間で200文字以上)
- (3) キーワードが書くヒントに!
- U 学習集団を支える学級づくり
- 1 あいさつができるクラスはこうして育てる
- (1) 支店長になるための条件とは?
- (2) 一流のホテルマンになる条件とは?
- 2 温かな言葉づかいのできる子どもを育てる ―言葉の力の授業―
- 3 気配りのできる子どもを育てる
- V 学習集団を鍛え上げる算数授業
- 1 「問い」のある授業が子どもの学力を高める
- (1) 「問い」を引き出す教材開発
- (2) 「問い」を引き出す課題提示の工夫
- (3) 「問い」を引き出す発問の工夫
- 2 「問い」のある算数授業例
- (1) これは同じ仲間なの?(3年「三角形」)
- (2) できるけど,できない?(3年「あまりのあるわり算」)
- (3) 人気者はだれ?(3年「表とグラフ」)
- (4) これって角なの?(4年「角」)
- (5) カステラの半分は何本?(4年「分数」)
- (6) 分配法則はドット図で(4年「式と計算」)
- (7) 電卓で小数を楽しもう(5年「小数」)
- (8) 平行を見つけよう(5年「四角形」)
- (9) 紙テープで円を作ろう(5年「円」)
- (10) 北海道VS.佐渡ペットボトルの旅(6年「速さ」)
- (11) ばらばらなゲーム回数は比べられるの?(6年「平均」)
- (12) 複合図形の体積は式で表せるの?(6年「体積」)
- (13) 次はどっちの角?(6年「比」)
- おわりに
はじめに
多くの学校で,「学力向上」をめざしたさまざまな手立てが講じられている.
例えば,「スキルタイム」と称して10分程度のプリント学習を毎日実施している学校がある.また,百マス計算を実施し,計算力を向上させようとしている学校もある.
いずれの手立ても,それなりの効果はある.しかし,これらの手立てで向上させることができるのは,ペーパーテストの点数のみである.算数で考えれば,「表現・処理」「知識・理解」面の力である.「関心・意欲」「数学的な考え方」の力は,先の手立で向上させることはできない.結果が向上しただけで,学力が向上したと考えるのは早計すぎる.
本当に学力の高い学級とは,どのような学級であろうか? 算数を例にすれば,「関心・意欲」「数学的な考え方」「表現・処理」「知識・理解」が,バランスよく向上している学級である.バランスよく向上した学級の子どもたちは,教師から出された問題に「問い」を感じ,進んで解決していくことができる.さらに,その問題が解決すると,「もっとほかの数字でもできるのかな」「三角形はできたけど,四角形でもできるのかな?」と,場面を子ども自らが発展させて考えていくことができる.
さらに,本当に学力の高い学級は,生活面でも質の高い学級だと考えている.あいさつや返事,言葉づかいなどがきちんと身についている学級である.また,子ども同士が仲がよく,気配りのできる学級である.
このような学級こそ,質の高い学習集団である.このような学級は,4月からの計画的な指導ステップなくして育てることはできない.その指導ステップを,本書で明らかにしていきたい.
この本を夏休みにあらためて、読んでみました。
なるほど、ということがいっぱい。
算数授業を通して、
学級集団をどのように鍛えていったらよいのか、
そのステップがわかりました。