- まえがき
- T 〈インタビュー・スキル〉が不可欠になってきた
- /堀 裕嗣
- 一 「総合的学習」で〈インタビュー〉が大活躍する
- 二 〈インタビュー〉には二つの形態がある
- 三 〈インタビュー・スキル〉が「総合的学習」を機能させる
- U 〈インタビュー〉の典型的授業をつくる
- /小木 恵子
- 一 インタビュー五つのポイント
- 1 一問一答──これがインタビュー?/ 2 おもしろ発見!──クラスの人物紹介文を書こう/ 3 インタビュー五つのポイント
- 二 〈目的を〉明確にする
- 1 人気キャラクターで意欲を喚起する/ 2 〈目的〉を明確にイメージさせる
- 三 〈相手に関する情報〉を持つ
- 1 いきなりじゃあ、質問できないよ/ 2 〈相手に関する情報〉を得よう〜自己PR書き込みシート〜
- 四 〈相手の反応〉を予測する
- 1 インタビュー「取材コンテ」を書こう!/ 2 質問を絞り込もう/ 3 質問は中心から部分へと絞り込んでいこう
- 五 〈マジックフレーズ〉で場をなごませる
- 1 お礼の言葉や感謝の気持ちが必要だ!/ 2 〈マジックフレーズ〉は魔法の言葉/ 3 いよいよインタビューだ!
- 六 〈成果〉を交流してたたえ合う
- 1 クラスメイトの人物紹介を書こう!/ 2 〈成果〉を交流してたたえ合おう
- V 「総合的学習」を支える二十の〈インタビュー・スキル〉
- /堀 裕嗣
- 一 〈インタビュー・スキル〉には五つの系列がある
- 二 〈インタビュー〉を設定する
- 【技術1】 正式には〈手紙〉で依頼・お礼をする
- 【技術2】 〈電話+FAX〉で確実に依頼・お礼をする
- 【技術3】 細かな連絡は〈メール〉で行う
- 【技術4】 徹底して時間を守る
- 三 〈インタビュー〉で話し聞く
- 【技術5】 〈マジックフレーズ〉でよい関係をつくる
- 【技術6】 〈ボディランゲージ〉で潤いを持たせる
- 【技術7】 核心を/ 簡潔に/ 感じよく話す〜表現力3K
- 【技術8】 頷いて/ 相槌を打ち/ 賞賛して聞く〜傾聴三動作
- 四 〈インタビュー〉でメモを取る
- 【技術9】 〈発想メモ〉で思考を広げる
- 【技術10】 〈取材コンテ〉で計画を立てる
- 【技術11】 〈取材メモ〉を確実に取る
- 【技術12】 〈整理メモ〉は直後にまとめる
- 五 〈インタビュー〉で質問する
- 【技術13】 一時に一事を質問する
- 【技術14】 大きなことから小さなことへと質問していく
- 【技術15】 軽いことから重いことへと質問していく
- 【技術16】 オウム返しが新情報を生み出す
- 六 〈インタビュー〉の事前情報を集める
- 【技術17】 〈質問紙〉で情報を得る
- 【技術18】 〈情報読み〉でネタを集める
- 【技術19】 図書館検索で情報を集める
- 【技術20】 インターネット検索で情報を集める
- 七 〈インタビュー〉の授業をつくる
- W 〈インタビュー・スキル〉を鍛える授業づくり
- A 〈場の設定法〉系列の授業づくり
- 一 依頼状の特性を知る /堀 裕嗣
- 1 欠点例文でポイントを発見する/ 2 四つのポイントに従って書く
- 二 電話でしっかりと敬語を使う /小木 恵子
- 1 電話の相手は見えない/ 2 まず、「できなさ」を実感させる/ 3 「敬語」と「マジックフレーズ」を使うとこんなに違うよ/ 4 メモだけで、すらすら話せるようになろう
- B 〈話法〉系列の授業づくり
- 一 「表現力3K(核心を/ 簡潔に/ 感じよく)」を培う /板橋 友子
- 1 どうやってインタビューすればいい?/ 2 インタビューの話題を考えよう/ 3 自分のインタビューぶりはどうだろう?/ 4 プロのインタビューから学ぼう
- 二 傾聴三動作を意識させる /中村 貴子
- 1 トレーニングで体感させる/ 2 〈話し手〉の気持ちを実感させる/ 3 よい聞き方とは
- C 〈メモ活用法〉系列の授業づくり
- 一 〈取材コンテ〉をつくる /小木 恵子
- 1 インタビューの目的を明確にさせる/ 2 インタビューには準備が必要だ!/ 3 相手の反応を予測して「取材コンテ」を書こう/ 4 「メモの技術」を使って〈インタビュー取材コンテ〉をつくる
- 二 効果的なメモでインタビューを聞き取ろう /對馬 義幸
- 1 インタビューでは〈メモ〉が必要だ/ 2 〈メモ〉を取るにはコツがいる/ 3 〈メモ〉を取ってみよう
- D 〈質問法〉系列の授業づくり
- 一 面接ロールプレイで「取材コンテ」を練り直そう /藤澤 賢治
- 1 質問を考えよう/ 2 よい質問を選び出そう/ 3 関連質問で肉付けしよう/ 4 ロールプレイを通してよい構成か確かめよう
- 二 〈1A3Q〉で核心に迫ろう! /藤原 友和
- 1 「バラバラ質問」は効率が悪い!/ 2 「よくない点」を見抜く/ 3 つっこみ質問をするコツは「意図の自覚」である/ 4 「大きなことから小さなこと」に並べ替えてやってみる/ 5 これが〈1A3Q〉だ!
- E 〈資料活用法〉系列の授業づくり
- 一 〈情報読み〉で理想のホテルをゲット! /中村 貴子
- 1 情報処理能力の必要性/ 2 身近なネタで勝負/ 3 〈条件〉に見合うホテル・行きたいホテル
- 二 インターネット検索では、枠づけを教師が与える! /石川 晋
- 1 インターネット検索を習熟させる/ 2 郷土ゆかりの作家を調べる
- X 〈インタビュー・スキル〉を高める授業づくり
- 一 グループインタビュー /大内 哲夫
- 1 〈グループスピーチ〉とは/ 2 〈個別連鎖型グループスピーチ〉と〈小集団検討型グループスピーチ〉/ 3 目的を明確にしたインタビュー/ 4 〈グループインタビュー〉とは/ 5 〈グループインタビュー〉で受信した情報の発信
- 二 「爆笑エピソード」を聞き出す──授業参観インタビュー── /藤原 友和
- 1 「誘導トークバトル」で〈対話力〉アップ!/ 2 「爆笑エピソード」を聞き出す・作戦タイム!/ 3 改めて「お願いします」の申し込み/ 4〈パイロット・インタビュー〉で「間合い」をつかむ/ 5 爆笑インタビュー続出! 「授業参観インタビュー」
- 三 アンケートインタビュー――試行錯誤から見えたこと―― /田中 幹也
- 1 「総合的な学習の時間」での試行錯誤/ 2 どうすればよかったか/ 3 練習は国語科で
- 四 代表質問で生徒総会を盛り上げる /森 寛
- 1 中学校の「生徒総会」とは/ 2 「シナリオ」にない質疑応答をめざす/ 3 「ターゲット」を絞る/ 4 やりとりを想定し、質問内容の文言を定める/ 5 〈目的〉を明確にする/ 6 「ユーモア」を忘れずに/ 7 いざ、生徒総会本番!/ 8 暖かみのある「文化だより」に変わった
- あとがき
まえがき
〈インタビュー〉という言語活動が注目されている。要因の第一は、言わずと知れた「総合的な学習の時間」の導入である。おそらく、「総合的学習」のカリキュラムの中に、〈インタビュー〉がまったく位置づけられていないという学校は、皆無なのではないか。そのくらい、〈インタビュー〉はポピュラーな学習活動となった。
しかし、私は〈インタビュー〉学習の現状について、まともに〈インタビュー〉の仕方を指導している教師がほとんどいないのではないか、という認識を持っている。
読者のみなさんは、次のような〈インタビュー〉の授業をしていないだろうか。
「それでは、訪問先の〇〇さんに質問することを、班ごとに話し合って決めてください。では、話し合い、始め!」
この指示とともに、子どもたちが一斉に話し合いを始める。これを訊こう、あれを訊こうと、班ごとに次々と質問事項が挙げられている。教師は机間巡視をしながら、こんなことも訊いてみたらどうだい? と助言する。一五分も経つと、各班ごとに五つ〜六つくらいの質問がワークシートに箇条書きでまとめられる。
「はい、それじゃあ、プリントを提出してください」
子どもたちが、班ごとにプリントを提出する。教師は次の日までに、質問事項が足りなくて時間を持て余す班はないか、失礼なことを訊こうとしている班はないか、意味のないことを訊こうとしている班はないか、チェックすることになる。文言が失礼だったり、わかりにくかったりしているものには赤を入れる。次の日にはプリントが返され、それに基づいて子どもたちが質問事項を清書する。そして、子どもたちは何の疑問も持たずに本番に臨むのである。
さて、こうした授業で、子どもたちは〈インタビュー〉に関して何を学んだのだろうか。答えは簡単だ。何も学んでいないのである。子どもたちは質問を考えろと言われて、質問を考えた。どういう質問がよい質問で、どういう質問が悪い質問なのかもわからないままに、である。どんな情報を訊き出すことが有益なのか、〈インタビュー〉の目的は何なのか、子どもたちの中にはこういった基準もない。従って、教師が赤を入れた箇所については、何のこだわりもなく修正してしまう。〈目的意識〉もなければ〈方法意識〉もないのであるから、それもまた当然である。
なぜ、このような授業になるのか。これも答えは簡単だ。
多くの教師が、〈インタビュー〉が大変高度な言語活動であることを意識していない。
〈インタビュー〉は、入念な準備と高度な技術と、そして豊かな言語感覚とがあって初めて成立する言語活動なのである。このことを多くの教師がわかっていない。
本書は、〈インタビュー〉を支える様々なスキルを二十に整理して提案している。本書が、生き生きとした〈インタビュー〉活動を展開させたいと願う教師にとって、少しでも役立つならば望外の幸せである。
二〇〇二年四月二十五日 「研究集団ことのは」代表 /堀 裕嗣
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- 明治図書