教育新書121
いじめの構造を破壊せよ

教育新書121いじめの構造を破壊せよ

好評25刷

あなたのクラスに、いじめをなくすシステムはありますか?

いじめは教師だけがなくすことができる。いじめをいち早く発見し,いじめをなくすのは教師の仕事。いじめを発見するシステムづくりを説く。


紙版価格: 1,056円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
978-4-18-681109-4
ジャンル:
学級経営
刊行:
25刷
対象:
小・中
仕様:
新書判 256頁
状態:
在庫僅少
出荷:
2025年4月21日

もくじ

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「いじめ」は教師だけがなくせる
T 差別を見のがさない
一 子供集団には教育力がある
二 グループ分けで一人の大切さを教える
三 その瞬間に解決する
四 教師だけが解決できる
五 「差別」を見つけ、それと闘う
六 席がえの時のひやかしも見のがさずに
七 「詰め」をしっかりと
八 まず、いじめの場面をえぐり出す
九 学年初めにいじめの発見
U いじめ、親は訴える
一 ある母親の訴え
二 先生がかわった
三 続・ある母親の訴え
四 新しい担任は子供の心をつかんだ
五 法則化教師は次々手を打った
V 教師だけがいじめをなくせる
一 中学での「いじめ」へのアドバイス
二 先生のご努力は分かりますが
三 まじめだけでは問題を解決できない
四 問題を解決するには方法が必要
五 いじめの責任は教師にある
六 「いじめ」との闘いは四月から始まる
七 「いじめ」をなくすシステムをつくる
八 いじめをなくす「学校のシステム」
九 「学校のシステム」を広げる
十 時には子供集団に解決させる
十一 向山学級での実践
十二 いいクラスは男女仲がいい
十三 教生の授業
十四 実習生の授業のざわつきの原因
十五 プロの仕事
十六 プロの指導はドラマを生む
W 教師、いじめとの闘い
一 少しひねた子供
二 授業での逆転現象
三 呼び名にも男女差別の意識を
四 昔、書きかけた原稿
五 新聞記事
六 かつての教え子に会う
七 五色百人一首大反響
八 私の三十数年昔の体験
九 向山洋一、教師五年目新年度の日記・再録
X いじめとの闘いをどこまでも
一 ある転入生の日記
二 通知表に文句あり
三 先生聞いて
四 「いじめ」がなくなれば、子供は、あどけなくなる
五 大切に育てられた子供はかわいくなる
六 差別構造をこわす三つの基本
七 向山学級の授業
八 自分の仕事をかみしめて
あとがき

「いじめ」は教師だけがなくせる

 「いじめ」は、教師だけがなくすことができる。

 「いじめ」を、いちはやく発見し、「いじめ」をなくすのは、教師の大切な仕事である。


 「いじめ」によって、多くの子供が傷ついた。

 「いじめ」によって、生命を絶つ子さえ出てきた。

 「いじめ」の事件が新聞報道された時の学校の発表は、ほぼ決まっていた。

 「いじめを知らなかった」である。

 こんな答が許されるだろうか。

 確かに「いじめ」は、分かりにくい面をもっており、子供の中では発生しつづける。

 多くの「いじめ」は、いつの間にか消えていきもする。

 しかし、子供が自らの生命を絶たざるを得ないほどの「残酷」で「長期」にわたる「いじめ」を、教師が知らないなどと、言えるのであろうか。

 こんな馬鹿げた発言を、教育界は許してはならないのである。

 「いじめを知っていて、あれこれ手を尽したがどうにもならなかった」という言い訳なら話は分かる。

 「いじめ」は、それを発見してから先も、大きな問題なのだ。

 お説教の一回や二回でなくなるものではない。

 下手なお説教をすると、「いじめ」は、よけいひどくなる。


 私は、いくつかの「いじめ」の相談をうけてきたが、実にすさまじいものだった。

 毎日「なぐられ」「こづかれ」しているのである。

 それを教師は知らない。知る努力もしてない。

 「いじめ」を発見するシステムが学校にはなく、かつ「いじめ」を発見しようとしている教師も少ない。

 子供が登校拒否をしてさえ気がつかず、多くの場合、担任が登校拒否の子を訪れるのは数日後である。

 特に中学がひどい。

 私の知る限り、早い教師で二日目、遅い教師は登校拒否が始まって一週間しても何もしてない(むろん、中には立派な中学教師もいると信じているが……)。

 「いじめ」による「登校拒否」が始まったのに、二日以上何もしなかった(知らなかった)という教師には、罰則を与えた方がいいとさえ私は思う。

 そのように思うほど、「いじめ」にあった子供はかわいそうだ。

 「いじめ」を解決できるのは、教師だけなのに、その自覚もなく、何もしてないのである。

 「いじめ」は、それを発見してさえ、なお解決は大変なのである。


 すばらしいクラス、知的な授業のあるクラスには「いじめ」はない。

 むろん、小さな「いじめ」は、どこでも発生するが、すばらしいクラスは、そんなのは解決していくのである。

 授業が面白くないクラス、クラスのまとまりがないクラス(それは、勉強不足の教師のクラスといってもいいが……)、そういうクラスでは「いじめ」が生まれ、「いじめ」がクラスの中を支配する。

 教師の力量が低ければ低いほど「いじめ」が生まれ、それにふりまわされるのである。

 だから「どんなにひどいクラスのいじめ」でも解決は本当は簡単だ。担任をかえればいい。力のある教師が担任すれば、三日で解決する。


 さて、本書は、若くして教育熱心な教師が、自分の力量形成をねがいつつ、同時に「いじめ」に対応していくための方法を書いたものである。

 本書が、心ある教師の役にたち、クラスの中から、「いじめ」が少しでもなくなれば幸いである。

 「いじめ」をなくすのは、教師の共同の課題である。

 「いじめ」をなくすための努力は、教師自身の力量をつけていく過程と全く同じことである。


  一九九一年九月十五日   /向山 洋一

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      明治図書
    • 「いじめの構造は教師にしか破壊できない」
      分かっているけど,実践できないこともある。
      辛いとき,悩んだ時,そばにおいておきたい。
      読み返すたびに学びがある。
      戦うしかないと,強い気持ちになれる。
      そんな,必読の一冊です。
      2006/5/19おでんくん
    • この本で向山先生が「いじめの構造は教師にしか破壊できない」とおっしゃていることにすごく感動しました。
      この本に書いてあることは当たり前のようですが、ここまではっきり書いてある本はないのでは?と思った本でした。
      2006/5/15アルク
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