- まえがき
- 第1章 だからギターなのである
- 1 すべてのジャンルの音楽を
- 2 ギター VS ピアノ
- 3 ウィーン少年合唱団 「好きな作曲家は?」
- 4 ギターが切り開く子供の可能性 〜特殊学級での実践から〜
- 第2章 ギターを買おう
- 1 こんなギターがおすすめ
- 2 練習を始める前に
- 3 ギターの基本 〜これだけはおさえよう〜
- 第3章 ギターで演出する音楽授業 ―基礎編―
- 1 簡単な曲を簡単な伴奏で
- 2 Fコード登場
- 3 カポと上手につき合う
- 4 マイナーコードを覚えよう
- 5 メジャーコードとマイナーコードで
- 6 全校生の前で
- 第4章 ギターで演出する音楽授業 ―応用編―
- 1 ギターで発声練習を
- 2 クラシカルな下降進行をおしゃれに
- 3 合奏曲にプラス1パートの工夫を
- 4 詞のイメージを大切にした伴奏アレンジを
- 5 ラテン系のリズムとギター
- 6 日本の響きとギター
- 7 ロックンロール専用リフを覚えよう
- 8 即興表現を楽しもう
- 第5章 ここでもギターは大活躍
- 1 結成! ビートルズクラブ
- 2 ギターで演出 学級づくり
- あとがき
まえがき
1981年のヒット曲「もしもピアノが弾けたなら」(作詞 阿久悠)が流行った年から16年たちました。
16年たった今,この曲の功罪をちょっと考えてみたいのです。
当時,この曲が爆発的にヒットしたのは,多くのピアノを弾けない人々の心をつかんだからなのでしょう。私も,ピアノをほとんど弾けません。だから,この曲に対する一種の憧れのような気持ちはよく分かります。
私の周りを見ると,ピアノを弾けない先生の方が,ピアノを弾ける先生よりも圧倒的に多いようです。ですから,教育現場においても,この曲に憧れる気持ちは,無意識のうちに広がっていると言っていいでしょう。
けれども,この「ピアノに憧れる気持ち」が問題なのです。ピアノに対する憧れが,音楽授業の形式(version=バージョン) に対して固定観念をもたらしていないでしょうか。つまり,「音楽の授業はピアノを使って行うのが最も望ましい」という固定観念です。
当然のことですが,ピアノだけが楽器ではありません。ピアノは,数ある楽器の中の一つにすぎません。ピアノが弾けなくても,楽しい音楽授業はできるのです。
そこで,お薦めなのが,ギターです。
もし,これから練習を始めるとしたら,ピアノとギター,どちらの演奏が簡単でしょうか?
それは,断然ギターでしょう。
上級テクニックになれば,話は別で,一概にどちらが簡単だとは言えません。けれども,ある程度のレベル,つまり子供たちの歌の伴奏をしたいという程度のレベルでしたら,ギターの練習を始めたほうが近道です。詳しくは本書の中で述べますが,ギターは基本的には左手でコードを押さえ,右手にピックをもちズンジャカやればそれで伴奏はOKなのです。
それに,値段を比べてみてください。もちろん上をみればピアノもギターもきりがありませんが,2〜3万円も出せば一般的なギターが手に入ります。しかも,持ち運びができるので,家で練習して翌日子供たちの前で演奏することが可能です。バスを使った遠足に持っていくこともできます。音楽の授業以外でも,いろいろな場面でギターは活躍してくれます。
ピアノは弾けないけれどギターなら少々かじったことがあるという方は,すぐに手にとって本書をお読みください。きっと次回の音楽授業が待ち遠しくなることでしょう。
また,本書では,これからギターを始める方のために,ギターの選び方から練習の方法についても述べました。ギターを練習して子供たちの歌のギター伴奏をやりたいという方にも,ぜひお読みいただきたい本です。
そして,本書は,ピアノが弾ける弾けない,ギターの経験があるなしにかかわらず,音楽を楽しみたいすべての人に捧げる本です。ギターが弾けると,こんなに楽しいことがあるのです。その瘟感竄ぜひ多くの読者の皆様と分かち合いたいと思います。
前半は,小学校下学年向けの実践を中心に,ギターの基礎的な知識や技能を中心に書きました。後半は,小学校上学年向けの実践を中心に,応用編という形にしてあります。前半は佐藤幸司が,後半は佐藤浩一が主に担当しました。(ちなみに,私たちは大学時代からの友人です。兄弟ではありませんので,念のため。)
ギターを持って子供たちの前に立つと,
「先生,カッコいい!」
という声が聞こえます。
みなさんも,ギター片手にかっこいい音楽授業のニューバージョンを楽しんでみてはいかがでしょうか。
/佐藤 幸司
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