- はじめに
- 第1章 教室の中での子どもたち
- 1.座席表を活用する
- 1話 座席表への記録スタート
- 2話 第一歩がじっとみること
- 3話 記録はじっくり腰をすえて
- 4話 きっかけは座席表のアルファベット
- 5話 座席表をもって自由に意見交流
- 2.子どもの持ち物の出すサインを読む
- 6話 「机の引き出しの片づけをいっしょにしよう。」
- 7話 教師の目は節穴?
- 3.「教室」は語る
- 8話 「出席番号順にテスト用紙を出すのですか。」
- 9話 教室のゴミから情報をキャッチ
- 10話 放課後の教室は語る
- 4.自分の授業が見えてくるか
- 11話 発言に助けられた
- 12話 絵画はうったえる
- 13話 参加者の目がとらえる
- 14話 「沖縄で『りんご?』ばかだ!」
- 15話 算数の思い出
- 16話 本当に子どものことを考えて指名していたのか?
- 17話 あなたは授業をやっていますか?
- 5.子どもの声に耳を傾ける
- 18話 「先生だけずるいなあ。」
- 19話 子どもの声を聞いてルールを作ろう
- 20話 ぼくの先生が一番!
- 21話 「今、流行しているテレビ番組は?」
- 22話 「いじめられている。」という言葉に思う
- 23話 「せんせい、せんせい、あのね」
- 24話 「話したい」という人間の本能、活用していますか?
- 25話 「糊は、お父さんが会社で満タンにしてくれるの。」
- 26話 「忘れました。」を生かせ!
- 27話 弁当を作ってくれてありがとう
- 28話 「一体、誰のための会なのですか。」
- 29話 「ぼくも、参加したかった。」
- 30話 「理科の通知表がいいやつがまぜろ!」
- 31話 「できるようになったことを通知表に書いてください。」
- 32話 一律な「やればできる。」は、無責任
- 6.子どもの声に気を配る
- 33話 「先生はみんなが好きだ。」
- 34話 誤解!「先生の誕生日には、プレゼントを贈れ!」
- 35話 要注意!!「先生は好きだなあ 嫌いだなあ。」
- 36話 禁句!「ちょっと忙しいから。」
- 37話 教師の固定的な枠でみていませんか?
- 7.教師は一人ではない
- 38話 子どもたちはなぜ保健室に集まるのか
- 39話 「歯科に行くので早退します。」
- 40話 用務員さんの協力
- 41話 はだかのつきあい
- 42話 教師の常識は、非常識!?
- 43話 子どもの理解が子どもを束縛する!?
- 44話 子どもの行動は、理解しにくいもの
- 45話 子ども情報としての通知表
- 46話 指導要録のどこから見るのか
- 47話 子ども身体情報は、全職員の耳に!
- 48話 専科の先生から、情報を聞こう!
- <おまけのトーク@>自分を磨く
- 第2章 保護者が背後にいる子どもたち
- 1.保護者の信頼を得る学級通信
- 49話 保護者とつくる学級通信
- 50話 学習内容も通信のネタに
- 51話 通信で「ほめ」を何倍にも
- 2.保護者とのさりげない会話
- 52話 家庭訪問で「男の先生でよかった。」と言われたら
- 53話 様々な情報から、教師の取組みに反省を!
- 54話 「実は、ぼくはいじめられていたんだ!」
- 55話 「ご飯たきを忘れたら、一家でご飯はたべません。」
- 56話 「いっしょに、日課を確かめましょう。」
- 57話 社交辞令的な会話にご用心!
- 58話 贈り物から、教師不信になった子ども
- 59話 「うちの子は、太る体質なのです。放っておいてください。」
- 60話 万引きした子どもへの対応
- 61話 一言添えたプレゼント
- 62話 「お花をありがとう。」
- <おまけのトークA>教師を必要とする「子ども」
- 第3章 地域の中で、本音を出す子どもたち
- 1.足でかせぐ子ども情報
- 63話 「学校ではきちんとしているの。」
- 64話 「間違ったら叱られる!」
- 65話 「何がいじめなの?」
- 66話 地域にもたくさんの教師がいる
- 67話 「職業は命です。」
- 68話 地域の店は情報の宝庫
- 69話 地域のお年寄りに運動会のプログラムを配布
- 70話 「まずは、お上がりください。」
- 71話 教師批判の情報の芽はどこにもある!
- 2.新聞の投書欄から見える!
- 72話 個性を認め、いじめをなくそう!
- 73話 「積極的だといいですね。」
- 74話 ランドセルの色がいじめにつながる?
- 3.卒業したら本音が出る
- 75話「先生、『いじめ』知らなかったでしょう。」
- 76話「遅れて来た者は、運動場1周!」
- <おまけのトークB> 支援や援助はもっと具体的に!
- 第4章 こんな教師になりたい なりたくない
- 1.反面教師から学ぶ
- 77話 「どうして早く言わなかったの?」
- 78話 子どもたちの思いを受け止めていますか?
- 79話 「先生の悪口を言った人は誰なの?」
- 80話 大失敗!給食も食べさせずに保健室で一人ぼっち
- 81話 「一日中、機械の前に座っている労働者と比べたら。」
- 82話 笑顔で教室への第一歩を!
- 83話 就業時間厳守は最低条件!
- 84話 教師の出番とは?
- 85話 先生はみんなを平等に
- 86話 叱られたのは分かるけど。
- 2.こんな教師になりたい
- 87話 「心にとどく授業」していますか?
- 88話 ぼくが教師になったわけ
- 89話 あいさつの機会も子ども理解に
- 90話 「あの時間は私の担当ですから。」
- 91話 さりげない会話も大切だ!
- 92話 みんな楽しい給食時間
- 93話 先生って忙しい?
- 94話 「今までのことは、まったく問いません。」
- 95話 「遊びの中で、子ども理解に努めます。」
- 96話 「掃除をさぼるのなら、そこに立って見ていろ!」
- 97話 教え子の結婚披露宴のスピーチで
- 98話 他の学級の教師に子どもの善行を伝える教師
- 99話 担任している子どもで教育を語ろう
- あとがき
はじめに
「学校に宿直制度があった頃には、夜遅くまで鍋をつつき合い教育談義に花を咲かせたものだよ。それに比べると、最近の若い者は初任者の研修が行き届いているからかもしれないが、わからないことを聞くこともしない。大学を出て研修をうけただけで立派な教師になったつもりでいるのか。」
退職近いS先生の話です。
酒が入っているので、いつもよりグチッぽくなっていますが、新卒の私はS先生の話を聞くのが好きでした。
官制や民間の研修会は数多く実施されています。それは、教師としての資質を高めるために、私たちは様々な研修会に参加することだけでよいのでしょうか?
もちろんそれも大切なことなのでしょうが、自分自身の実践をもう一度謙虚に見直すことこそ、今、私たちに一番必要なことではないでしょうか。
そういう意味で、先輩、同僚と交わり、子どもを目の前にした教育実践の場こそ一番の研修の場として重視しなければならないと思います。
今さらながら、S先生の言葉が重みを持ってきます。
「先生の学級の絵は、どうやって描かせたのですか」「うちの学級のAくんは、最近反抗的なのですが。」「社会科の授業にこどもが今ひとつのってこないのですが、よい資料はありますか。」「国語のこの単元をすこしばかり研究していますので、時間が許せばご指導していただけないでしょうか。」仕事をしながら、放課後お茶を飲みながら、先輩や同僚の先生方からいろいろなことを学び合うことができます。
あるいは、子どもたちに「今日の授業は、よくわかったかな?先生自身の勉強に役立てたいから感想を書いてください。」というように子どもたちにモニターをしてもらうこともできます。
学校という場は、求める者にとっていくらでも学ぶ場を保証してくれます。
現在、教育現場では「生きる力」を育む教育実践が模索されています。
教師はこれまで以上に、子ども理解についてふところの深さと広い守備範囲が求められています。そのためには他の教師と子ども情報を交流し合い、保護者との情報交換を密にし、地域にも目を向けていかなければなりません。
本著は活字という方法を利用することによって、全国の教師と主に子ども観について交流あうるというねらいがあります。
1頁に1つの話題で、エピソードを交えながら書いていきました。
「こういうように子どもは考えるのか。」「自分ならこんな指導をするな。」など、紙面上で会話していただければ幸せです。
教育研究というものは、すべては現実の教育問題の解決のためにあります。
「子どものことをもっと好きになろう!」ではありませんか。
私たちは現職の小学校教員の身分で、兵庫教育大学大学院(教育方法コース)での2年間の研修の機会に恵まれました。
ご承知のように、兵教大は新構想大学で、教育現場で自らの教育実践を通した課題を抱えた教員が多数やってきます。
2年後に担任する子どもたちの顔が見えるような研究を目指してきました。
私たちはそれぞれの研究テーマを追究するかたわら、1週間に1度の講義の合間をぬい、今までの教育実践をレポートの形で交流してきました。
今回、明治図書の樋口雅子編集長のご高配で、このような形で出版させていただく機会に恵まれ、サークル員一同喜んでいます。
書名からプロット案まで度々ご指導していただき、心より感謝しています。
兵庫大教育実践サークル “ばってん”一同
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- 明治図書