- まえがき
- 第1章 英語『書くこと』の指導の原則
- §1 指導の原則その1: とにかく『書く』活動を多くする
- §2 指導の原則その2: 面白いテーマを用意する
- §3 指導の原則その3: 生徒の英文を理解してあげる
- §4 指導の原則その4: be動詞と一般動詞の使い方を指導する
- §5 指導の原則その5: 『誰が』『どうしたのか』を指導する
- ライティング力をアップさせる特別授業@(中学1年生)
- 『つまらない』ってなんて言うの?
- 第2章 『書くこと』の活動アイデア15
- [1] 3コマ漫画で自己表現(中学1年生)
- 〜This is not a .../It is a...を使って〜
- [2] 私の町を紹介しよう(中学2年生以上)
- [3] 教科書本文を利用して(中学3年生)
- 〜日本文化の紹介〜
- [4] 暗唱させた文で対話文を作る(中学3年生)
- 〜題材を利用して〜
- [5] Team−Teachingでの『書くこと』の授業はこうして(中学3年生)
- 〜石碑を英語で説明する〜
- [6] もし,ポールバニヤンが…だったら(中学3年生)
- 〜教科書の題材とからめて〜
- [7] 1枚の写真でライティング(中学1年生)
- 〜学校行事(生活)を英語で説明〜
- [8] 修学旅行記(中学3年生)
- 〜英語文集を創ろう〜
- [9] 「ある日の出来事」を4コマ漫画で…(中学3年生)
- 〜生い立ちの記:4コマ漫画編〜
- [10] 対話文づくりで『書<こと』の活動(中学2年生以上)
- 〜「外国人との対話」と「電話での会話」〜
- [11] 中学3年最後のテストは先生への手紙(中学3年生)
- 〜言葉は人と人とを結ぶもの〜
- [12] 物語教材を4コマ漫画にする(全学年)
- 〜読んだものについての概要や要点把握〜
- [13] 統合的コミュニケーションへの道(中学3年生)
- 〜ListeningからWritingへ〜
- [14] 紙上ディベートその1(中学3年生)
- 〜まずは自分の意見をもつことから〜
- [15] 紙上ディベートその2(中学3年生)
- 〜相手の意見に的確に反論する〜
- ライティング力をアップさせる特別授業A(中学3年生)
- できるだけ長い英文を書いてみよう! 〜パワーアップライティング〜
- 第3章 『書くこと』の作品の評価法
- 〜「量」から「質」へ〜
- §1 定角テストでの評価
- §2 普段の授業での評価
- §3 自己評価カードによる評価
- 第4章 『書くこと』の活動メニューと指導事項
- 付録@ 授業ですぐに使えるワークシート集
- [パターン@] テーマを与えて書かせるワーワシート!
- [パターンA] 絵を描かせ,英文で説明するワーワシート!
- [パターンB] クイズをつくるためのワークシート!
- [パターンC] 誌上ディベートで使えるワークシート!
- [パターンD] 3コマ漫画,4コマ漫画で,楽しく英作文!
- [パターンE] うそつき英作文で使えるワークシート!
- [パターンF] 対話文用ワークシート!
- 付録A 統合的コミュニケーション能力への道
- あとがき
まえがき
野口芳宏氏は言う。
活動があって,指導がない。
これは,音読指導の場面での指摘であるが,「書くことの指導」でも「聞くことの指導」でも,なんにでもあてはまる。
かつて私は,「Listening指導を取り入れた授業展開の試み」をテーマに実践発表をした。1991年,2月のことである。
その時,私は「活動」と「指導」とを明確に区別して発表した。
よく,「聞くことの指導」といいながら,実際は,「聞くことの活動」で終わったりする。
例えば,つぎのような授業展開は完全な「聞くことの活動」であると考えている。
― 【場面1】 ―
ある英文を聞かせる。
その後,教師が英語で質問する。
生徒は,ノートに答えを書く。
指名し答えさせる。
また,次のはどうであろうか?
― 【場面2】 ―
ある英文を聞かせる前に,「聞き取りのポイント」を提示する。
その後,英文を聞かせる。
聞き取りのポイントの確認をする。
こちらは,先ほどのものよりは少しはマシである。でも,まだ「活動」の域からでない。しかし,同じ「活動」であっても,こちらのほうは「学習活動」になっている。(「学習」というのは,自覚的な目的と意図を持ち,それに向けて挑戦していく行動を意味する−野口芳宏『教室ツーウェイNo.49』明治図書)
つまり,教師が「聞き取りのポイント」を示すことによって,生徒は,そのことだけを聞き取ろうと,目的をもって聞き取ろうとする。
この「聞き取りのポイント」が,生徒の学習活動を保証するのである。
しかし,いつでもどこでも,「聞き取りのポイント」が用意されるとは限らない。
そこで,私は次のような「活動」を行った。
― 【場面3】 ―
生徒に「テープを聞いてメモを取りなさい」と指示をする。
テープをながす。
内容について日本語で質問する。
生徒に答えさせ,どのくらい正解していたか挙手にて確認する。
「聞き取りのポイント」は示さない。
その代わり,「メモ」を取らせる。
この違いは何か?
「メモ」を取ることによって,生徒自らが「聞き取りのポイント」を追い求めるわけである。
つまり,大事なところを「メモ」するようになる。
この「活動」を続けていくうちに,必ず生徒は変わる。
メモを取ること2ヵ月。
リスニング力が県平均を越えた。
さて,「指導」はというと,「メモの取り方」ぐらいである。教えたのはこれだけである。
― 【メモの取り方】 ―
@ 「誰が」でてきたか,書かせる。
A その人が「したこと」,または,関係のある事柄を,線を使ってつなげていく。
これだけで,生徒のリスニング力はアップするのである。
これが,「指導」である。
「活動」と「指導」とを明確に区別し,「指導」の方法を示したことが問題提起であった。
それまでは,リスニングの指導が見えなかった。
これは,私が新任3年目の時(1991年)に発表したのであるが,若かったせいもあり,否定的な意見・批判が出てきた。Communicativeに欠けていると言う点である。しかし,Classroom Englishや,絵を見せてのOral Introductionなどの後のT&FやQ&Aは,「指導」ではなく「活動」なのである。
しかし,時代は,今,リスニングの指導には,「メモ」が欠かせなくなっている。1993年の関ブロ大会でのリスニングの指導には,「メモ」の必要性がとかれている。
本書は,『書くこと』の指導にメスを入れたものである。
生徒の何を指導すれば,よりよい英文になるのか,誰にでもできる方法とコツを示すものである。
第1章では,「『書くこと』の指導」について,一定の原則を見いだした。
第2章では生徒の作品も載せながら実際の「『書くこと』の活動」を紹介した。
第3章では,「『書くこと』の評価」,第4章では「『書くこと』の活動と学習指導要領」,そして付録として「コピーすればすぐに使える“ワークシート”」,及び,最近手に入れた方法を,紹介する。
1997年10月 /瀧沢 広人
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- 明治図書