- はじめに 「美術だーいすき!」って言われたい。そのために。
- 1 「先生,何も思いつきません。」
- ―美術の時間に見られる生徒たちの発想システム―
- 1 「先生,何も思いつきません。」の重み
- 2 「思いつく」の構造
- 3 発想の3つの手順
- 4 壁を越えるための支援
- 5 「思いつく」ための授業展開
- [授業実践] 「先生,何も思いつきません。」対策@ 「私の国の記念切手〜MY WORLD STAMPS〜」
- [授業実践] 「先生,何も思いつきません。」対策A 「メイとサツキのソックスデザイン」
- 2 「えーっと。なんだっけ。」
- ―美術の時間における「言語活動の充実」―
- 1 生徒たちの環境にある「言葉では伝えきれない何か」
- 2 「えーっと。なんだっけ。」が私の美術教育の基本
- 3 「言語」を「言語以外の表現」に移し変える授業
- [教材の窓@] ガラストマト(絵本の挿絵を描く)
- 4 トランスクリプション(表現転写)の4つのパターン
- [教材の窓A] 音楽を描こう(CDデビューをしよう)
- 5 五感を言語で表現すること
- [教材の窓B] 手の温もりを伝える Re:デザイン
- [教材の窓C] 木のにおいを嗅いでごらん
- [教材の窓D] 剪画(切り絵)でつくる光と影
- 6 「言語活動の充実」を美術の単元で展開する
- 7 「プレゼンテーション」による授業実践
- [授業実践] 「えーっと。何だっけ。」対策 「私は旅行プランナー〜秘密の旅行計画〜」
- 3 「別に画家になるわけじゃないし。」
- ―美術授業から大作が生まれるとき―
- 1 言われちゃったよ。「別に画家になるわけじゃないし。」
- 2 ならば「画家になりたい」って言わせてやろうじゃないか
- 3 次の作品につながるような教材づくり
- [教材の窓E] 名画に侵入〜森村泰昌さんの作品から〜
- [教材の窓F] コラージュとドライポイント〜横尾忠則さんの作品から〜
- 4 授業の次の展開を放課後に
- 5 次の展開ができる生徒たちとできない生徒たち
- 6 考えても見つからない理由だから
- [教材の窓G] 絵画を版画に作り換える
- [教材の窓H] 「自分の作品」を「自分の作品」に登場させる
- 7 「寄り添う」ことで,次の展開の作品が生まれる
- [授業実践] 「別に画家になるわけじゃないし。」対策@ 「頭に泳ぐ魚を捕まえよう」
- [授業実践] 「別に画家になるわけじゃないし。」対策A 「ドリッピング(色彩の洪水)」
- [教材の窓I] 「自画像」の指導について
- 4 「先生,掃除機がほしいです。」
- ―私たちの「場」をつくる―
- 1 作品制作も自分の「場」をつくることが大切
- 2 お客様アーティストが続かない理由
- 3 掃除からはじめます
- 4 続けられる掃除
- 5 ここが私たちの場所だ。仲間だ
- [教材の窓J] 文化祭ステージ背景画
- 6 もう一つの要因
- 7 地域との連携
- 8 地域連携の実践
- [授業実践] 「先生,掃除機がほしいです。」対策@ 「トロフィーを作ろう」
- [授業実践] 「先生,掃除機がほしいです。」対策A 「私のまちの看板作り」
- 5 「ありがとう。」
- ―この最高の評価。―
- 1 評価とはなんだろう
- 2 原石は磨けば輝く。のでしょうか
- 3 強い光で輝くために
- 4 自分たちの展覧会を作る
- 5 「美術だーいすき!」と言われるために
- おわりに 「えーっ。もう終わり?」って言われたい。そのために。
はじめに:「美術だーいすき!」って言われたい。そのために。
「美術だーいすき!」って言われたい。
美術教師である私にとって,最大のシタゴコロです。生徒たちに笑顔で,この一言を言ってもらうために,怒涛のごとくワークシートを作り,新しい「あの手,この手」を考えてきました。本書は,その私のシタゴコロを満たすための「あの手,この手」を少しご紹介したものです。
私の勤務した中学校,高等学校での美術教育の実践のお話が中心なのですが,シタゴコロ満載のために,その実践は美術の授業時間を大きく超えて「放課後」へ,そして,美術室を大きく飛び出して「地域」へと美術教育の実践広がっていってしまいました。今回ご紹介する“3STEPで変わる「魔法」の美術授業プラン”は,生徒と美術教師(私のことです)が一緒になって飛び出していった美術教育実践の「足あと」と言えるものです。
また,これまでうまくいった実践もあれば,残念な結果になったものもあります。多方面から褒めていただいたものもあれば,厳しくご指導をいただいたものもあります。これまで,「美術だーいすき!」って言われたい一心で紆余曲折してきた美術の授業実践を,もう一度,私自身がやり直せるなら,こんなプロセスを通ると「近道」じゃないかな。という方法をまとめました。いわば,私自身への「アドバイス」と言えるのかもしれません。
本書を手にとってくださったすべての皆さんが,「美術だーいすき!」と心から感じていただけることを願いつつ,お話を始めたいと思います。
2010年5月 /清田 哲男
ただ内容は、「授業の設計図」に加え、ポイントも丁寧に解説されており、授業がマンネリ化していると感じていた自分にはとても参考になった。
「こんな授業が受けたかったな」という実践にあふれている。