- はじめに
- CHAPTERT 担任だって新人だって怖くない! 新しい音楽授業づくりの提案
- @ 音楽のプロじゃなくても音楽授業のプロにはなれる!
- A 音楽の授業では何を目指すの?
- B 音楽科 学習指導要領 改訂のポイントを押さえよう
- (1) 歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞に分けて内容が示された
- (2) 〔共通事項〕が示された
- (3) その他の改訂ポイント
- (4) これからの音楽授業のあり方
- CHAPTERU 授業力をアップする7つの原則
- ―これだけは身につけたい基本&レベルアップのコツ―
- @ これだけで音楽授業がグンと変わる!2つの原則
- (1) 「教授行為」を,役割や機能別に分ける発想を持とう
- (2) 音楽授業における教授行為を知ろう
- A 音楽授業がレベルアップするプロの技!5つの原則
- (1) 指示したことには必ず評価をする
- (2) 音楽を通した働きかけを多くする
- (3) 一時に一事の法則で,短く的確な言葉を用いる
- (4) ポイントを焦点化して指導する
- (5) 順序性を明確にして指導する
- B 音楽授業でプロ教師になるためのトレーニング法
- (1) 「子どもの状況を把握する力」を伸ばすトレーニング法
- (2) 「推論する力」を伸ばすトレーニング法
- (3) 「見通しを持った判断をする力」を伸ばすトレーニング法
- (4) 教授行為の技術・ネタを身につけるためのトレーニング法
- CHAPTERV 楽しい音楽の授業をつくるとっておきの実践アイデア
- @ 4月が肝心!成功する「音楽科授業開き」のアイデア
- (1) 楽しい音楽授業の3原則:「笑い」「全員性」「音楽の心地よさ」
- (2) 4月の音楽授業で心がけたいこと
- その1 音楽ゲームで「共有」体験!
- その2 キーワードは「つながる」
- その3 子どもの意識改革
- A 活動別 楽しい音楽授業をつくる実践アイデア
- 〈歌唱〉の授業アイデア
- (1) 響く歌声づくりのコツ
- (2) 呼吸法と歌う姿勢の指導のコツ
- (3) 歌唱指導の効果的な指示
- (4) 「斉唱」から「合唱」へつなげる指導
- (5) 歌唱指導のミニネタ集
- 〈器楽〉の授業アイデア
- (1) 打楽器指導
- その1 主な打楽器の奏法と遊びのネタ
- その2 子どもがのってくる打楽器指導のポイント
- (2) 鍵盤ハーモニカ指導
- その1 最初の指導
- その2 指づかい
- (3) リコーダー指導
- その1 導入期
- その2 ある程度音を覚えてからの指導
- (4) 合奏指導
- その1 指導するまでの準備のポイント
- その2 指導の順序
- その3 全体練習のミニネタ集
- 〈音楽づくり〉の授業アイデア
- (1) 即興で楽しめる音遊び
- (2) ボイスアンサンブルとボディパーカッション
- (3) 子どもがよろこぶオリジナル絵かき歌
- (4) 曲づくりのコツ
- その1 歌をつくってみよう(メロディーライティングのコツ)
- その2 伴奏をつくってみよう
- (5) 様子をイメージした音楽づくり
- 〈鑑賞〉の授業アイデア
- (1) 鑑賞の授業で心がけること
- (2) 耳に全神経を集中させるよう仕組む
- (3) 聴き分ける・聴き比べる活動を仕組む
- (4) 情景等を思い浮かべて聴く活動を仕組む
- (5) 「音楽を形づくっている要素」を聴き取る活動を仕組む
- (6) 鑑賞の幅を広げさらに興味関心を高める活動を仕組む
- (7) 聴いて知覚・感受したことを表現させる活動を仕組む
- その1 子どもたちが能動的に聴くための工夫あれこれ
- その2 鑑賞指導で子どもに表現させるポイント
- B スタートで差をつけよう!指導案作成の具体的プラン
- (1) 指導案に関するびっくりするような事実
- (2) 「音楽科の教育内容」と「子どもの実態」を関連づけた書き方の例
- (3) 「指導上の留意点」書き方のコツ
- 付録・年間指導計画作成例 第1学年〜第6学年
- おわりに
はじめに
私は現在大学で,先生の卵である学生たちを教えていますが,それ以前は18年間小学校教師をしていました。音楽専科も担任も経験しました。1年生〜6年生までの全学年の児童や,小学校と同じ敷地内に併設されている幼稚園の子どもたちも指導してきました。
その現場経験の中で,「楽しい音楽授業は,信頼関係のあるクラスづくりにつながり,それによって他教科の指導もうまくいく効果がある」ということを何度も何度も実感してきました。「よいクラスかどうかは,子どもたちに歌わせてみるとよく分かる」という先生もたくさんいらっしゃるほどです。
それほどまでに重要な意味を持つ音楽授業なのですが,これに苦戦されている先生もたくさん見受けられます。正直いって私も,うまく授業ができなかったことが何度となくありました。しかし失敗にくじけず,反省しながら挑戦を続けると,微力な私でも少しずつ音楽授業のコツのようなものが分かってきました。
私がつかんだものは,「音楽指導のネタ」はもちろんのこと,「4月の授業開きにこそ成功の秘訣があること」や,「教師の言葉かけ・パフォーマンスのコツ」……等々,数え上げたらきりがありません。これら私が獲得したコツや方法は,自分で考え出したものもありますが,勤務地の先輩方の授業やアドバイス,あるいは「音楽授業づくりの著書や論文」(本書でも多数紹介します)に学び,それを実践してみて体で覚えたことも数多くあるのです。やはり,授業実践に真正面から向き合い,子どもたちと同じ土俵で音楽活動をすることによってのみ,教師は成長し楽しく充実した授業ができるようになるのでしょう。
そこで今回,私の拙い実践の中から,実際に成功した音楽授業の方法やコツを選び出し,著書という形でご紹介することにしました。
本書をつくるにあたって,念頭に置いたことは,次の3点です。
@ これ1冊で,歌唱・器楽・音楽づくり・鑑賞,どんな活動においても楽しい音楽授業がつくり出せる「ネタ集」のような本にすること。
A 指導案の書き方,授業研究の方法,授業開きのコツ,よい音楽授業をするためのトレーニング方法等,音楽活動を支える教育技術のポイントを提示すること。
B ピアノが弾けない先生でも音楽授業ができるように配慮すること(本書の楽譜にはコードネームをつけ,ギター等でも授業ができるよう工夫しました)。
「大切だと分かってはいるんだけど,音楽授業づくりにまで手が回らない」とおっしゃるお忙しい担任の先生,「音楽はどうも苦手で……」とおっしゃる音楽経験の少ない先生,「学生時代あまり音楽授業を見てないのでイメージがわかない……」とおっしゃる新人の先生。このような方々にこそ読んでいただきたい,いわば,「少しの工夫で音楽授業が楽しくなる!ヒント集!」といったコンセプトで本書を著してみました。
ささやかな内容ではありますが,楽しく充実した音楽授業をつくりたいと願っておられる先生方のお役に立つことができれば望外の喜びです。
2010年4月 /高見 仁志
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- 明治図書
- 具体的な音楽の授業内での手立てがあって良かったが、もう少し多くてもいいと思う。2015/4/11だいきち