- まえがき
- T なぜ変わった 目標の示し方
- 1 一層明確になった生活科固有の特色
- 2 なぜ入った「知的気付き」?
- 3 新指導要領ではどうなっている?「知的気付き」
- 4 どこにある? 目標の示し方が変わった理由
- 5 一、二年で育ちを考えるのはちょっと大変!?
- U 内容が一緒になったら実践はどうする?
- 1 八内容が一緒になったからどうする?
- 2 どこにある?「と」でつながれた意味
- 3 ここが変わった! 指導要領の内容の示し方
- 4 好感持てたダイレクトな出し方
- 5 内容よりもまずは遊びから出るものを
- V つくりやすくなった? 実践の具体的なイメージ
- 1 具体的な施設名がなくなったプラスとマイナス!?
- 2 教科書の作り手とユーザーの意識変革
- 3 新たに示された“など”とのかかわりの意味は?
- W 子どもって自然に?合科していくもの
- 1 含まれている「教育の原点への問いかけ」?
- 2 考えたい、子ども自身が合科していくプロセス
- 3 とにかく子どもがすることに関心を持ってほしい
- X 「総合的な学習の時間」の関連をどうとらえるか
- 1 新しい生活科の特色・その3
- 2 どうする 最近ふえている手に負えない子らへの対処!?
- 3 大きい「まったくもう」と「どうしたの」の違い
- 4 総合に生かしたい「生活科の現状と課題」
- 付録 新小学校学習指導要領“生活科”本文資料
まえがき
生活科は平成元年の学習指導要領の改訂によって誕生した。その生活科が今回初めて改善されることになった。
このことは、生活科のもつ教育理念やこれまでの実践が評価されることを意味する。すなわち、その教育理念やこれまでの実践の成果が不適切であれば、生活科は消滅の方向をとるか、あるいは大きな転換を余儀なくされるかである。また、世紀の教育の在り方の視点に立って、望ましいものであれば、より一層の充実・発展が求められることになる。
今回の改善は端的に言って後者である。特に、生活科の貢献は、子どもたちに意欲と自信を持たせたことが大きいと評価された。それは「厳選」を最重点課題とする今回の改善の中で、授業時数の削減もなく、生活科の特質をより一層明確にすることが求められたことにも明らかである。
改善された新しい生活科については、平成年月に告示された学習指導要領の「生活」に明らかである。しかし、そこに示されていることは「結果」である。学習指導要領として示されるまでに、調査や情報収集があり、生活科の今後の在り方についての審議や協議が重ねられている。学習指導要領に示されたことは、そうした背景や経緯などが補われてより適切に理解できるであろう。
対談者である吉田豊香さんは、生活科教育に対して極めて真摯な方である。それだから、今回の対談においても“ここ”というときの追及は厳しく、そして執拗だったように思う。それだけに、率直な話し合いができたと思っている。
また、明治図書の樋口雅子さんは視野の広い方である。いろいろな方向から質問や意見の矢が飛んでくる。これによって、より広い視点からの話し合いができたと思っている。
21世紀へを支えるのは、知力と情意力と実践力のバランスのとれた人間像である。また、その教育の在り方は、体験の重視、個性の重視、家庭や地域との連携であり、子どもの主体的な学びをつくることである。生活科はそれを最もよく反映している。
本書には、生活科の改善の背景や経緯が語られている。本書が多くの人々に読まれ、これからの生活科教育を展開するのに役立つことを願うものである。
平成11年3月 /嶋野 道弘
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- 明治図書