- はじめに
- ♪序章 「音楽遊び」を授業に生かす
- 音楽は人と人のつながりの中にある
- この本での「音楽遊び」とは?
- 遊んでみよう 楽しんでみよう
- ♪第1章 体の音で音楽遊び
- 1 手拍子まわし―その1―
- 2 手拍子まわし―その2―
- 3 手拍子まわし―その3―
- 4 体の音ってどんな音?
- ♪第2章 わらべうたで音楽遊び
- 1 なべなべ
- 2 茶つみ―その1―
- 3 茶つみ―その2―
- 4 おちゃをのみにきてください
- ♪第3章 リズムを使った音楽遊び
- 1 リズム打ちを大勢で
- 2 リズム・カードで―その1―
- 3 リズム・カードで―その2―
- 4 リズム・カードで―その3―
- 5 リズム・カードで―その4―
- ♪第4章 歩いて止まって音楽遊び
- 1 音が止んだら―その1―
- 2 音が止んだら―その2―
- 3 紙筒でポン!
- 4 すれちがうときに―その1―
- 5 すれちがうときに―その2―
- 6 お散歩して戻る
- 7 宝探し
- 8 あの世の音楽
- ♪第5章 声を使った音楽遊び
- 1 お名前は?
- 2 蚊になって
- 3 不思議なハーモニー
- ♪第6章 拍子で楽しく音楽遊び
- 1 バチまわし
- 2 ボールまわし
- 3 拍子打ちリレー
- 4 穴埋めリズム
- 5 重なったら終わり
- ♪第7章 楽器や音具を使った音楽遊び
- 1 鈴のリレー―その1―
- 2 鈴のリレー―その2―
- 3 楽器でリレー―その1―
- 4 楽器でリレー―その2―
- 5 竹筒で音階
- 6 たんぼのカエル
- 7 電話でお話
- 8 時計屋さん
- 9 雨降り
- ♪第8章 踊りで楽しく音楽遊び
- 1 ゴムで踊る
- 2 バチで踊る
はじめに
教師になりたての頃のことです。5年生の授業のときに,集中しない子どもを注意して逆にこんなことを言われたことがあります。「音楽なんて,勉強して何の役に立つんだよ? 高校の入試にだってでないし,大人になってつき合いでカラオケさえ歌えれば,十分じゃないか!」
彼は音楽科という教科を否定したのです。これはもう,大ショックでした。私は一言も彼に言葉を返すことができませんでした。そして,音楽の教師でありながら音楽科の必要性を説明できない自分自身を,とても情けなく感じました。
それ以降,常に彼の言葉が私の頭の隅にあります。「どういう授業をすれば,彼が『音楽って大事だな。学校には音楽の授業がなくちゃいけないな』と思うのだろう?」――これが私の課題になりました。
あれから二十数年経ちました。未だに私はこの課題を追いかけています。明確な答えはまだ出ていませんが,「音楽科のよさは,人間の感性や心情に働きかける力の強い『音楽』というものを通して,仲間とさまざまにかかわり合えるということではないだろうか?」と思うようになりました。仲間とかかわって楽しく活動する経験を積み重ねていけば,子どもたちの音楽を愛好する気持ちを強めることにつながるのではないかと思うのです。
そうして自分なりに工夫し,実践しているのがこれらの音楽遊びです。この中には,私自身が考えたもの,受講したいろいろなワークショップからヒントを得たもの,子どもたちが創作したものなどが含まれています。今回,明治図書の木山麻衣子氏から「コミュニケーション力をポイントにした音楽遊びを」というおすすめがあり,よい機会だと思ってまとめてみました。
どれも,不思議なほど子どもたちが熱中して楽しみます。ぜひ一度,教室で実践してみてください。
筑波大学附属小学校教諭 /熊木 眞見子
教科書に掲載されている曲を使った遊びも取り上げられていて、この本のお陰で、クラスの子どもたちは「音楽が一番好き!」と言ってくれます。(笑)