- はじめに
- 第1章 英語授業を楽しくする10のヒント
- §1 ペアにせよ! 〜ペアにする→4人組にする→班にする〜
- §2 活動に変化を与えよ! 〜形態の変化・質的な変化〜
- §3 生徒に英語を話させよ! 〜「英語の発言カード」をつくる〜
- §4 教室にモノを持ち込め! 〜モノやイラスト,ビデオ〜
- §5 遊びやユーモアを取り入れよ! 〜英語ゲームやジョークネタで明るい英語授業を〜
- §6 スピード,緩急のある授業をせよ! 〜時には畳みかけ,時にはスローテンポで!〜
- §7 生徒の活動を多くせよ! 〜Less teachers'・talk, more students'・activities〜
- §8 教師の説明を少なくせよ! 〜説明が長くなったら生徒に活動を〜
- §9 授業のリズム・テンポを意識せよ! 〜空白の時間をつくらず,段取りをよくしてテンポよく〜
- §10 教師が授業を楽しもう! 〜つまらない授業は教師が盛り上げる!〜
- 第2章 英語力がつく楽しい授業スキル
- §1 ジャンケンの活動を取り入れる 〜英語授業におけるジャンケンは効果大である〜
- §2 BGMを用意しよう 〜リズムにのって活動ができる〜
- §3 英単語ビンゴは生徒に大人気! 〜ビンゴはいつの世代の子どもも楽しさを感じる〜
- §4 落ち着きのないクラスの授業開始法@ 〜小テストで始める〜
- §5 小テストもテンポよく行う! 〜嫌なテストもテンポよく行う〜
- §6 落ち着きのないクラスの授業開始法A 〜音読で始め,個人指名する〜
- §7 QA指名カードでテンポよく! 〜誰がさされるのかわからない緊張感〜
- §8 スーパージャンケンで生徒を指名する! 〜楽しい雰囲気の中での代表決め〜
- §9 全員に答えさせたい時にはマジカルリスニングで
- §10 音読後の内容理解を深める 〜Turn over your books!〜
- §11 単語指導の一場面でこんなハプニング! 〜下ネタユーモア〜
- §12 レッスン1が終わると,レッスンテスト 〜レッスンテストで達成度を教師が把握〜
- §13 TFクイズの説明はユーモアで引きつけて
- §14 音読大会は,こうする! 〜友達の発表を聞くことは意外と楽しいものだ〜
- §15 英語劇に挑戦@ 〜中学1年生:アリス劇〜
- §16 英語劇に挑戦A 〜招待状を作る〜
- §17 英語劇に挑戦B 〜英語劇の効果〜
- §18 指名無し音読はこう行う 〜教師が指名しないでも生徒が立って音読する〜
- §19 指名無し音読成功のポイント 〜成功の秘訣はなにか? どこがポイントか!〜
- §20 指名無し音読の実際 〜1時間目〜
- §21 スピーチの授業 〜スピーチは誰でもできる〜
- §22 スピーチの実際はこのように 〜指名なしでスタート〜
- §23 内容理解をどうする!? その1 〜簡単! 紙1枚でできる質問づくり〜
- §24 内容理解をどうする!? その2 〜1つは英語で質問を作りなさい〜
- §25 内容理解をどうする!? その3 〜柳井智彦氏の追試〜
- §26 話す力をつける一言 〜繰り返しを利用〜
- 第3章 英語を楽しくする環境づくり
- 1 校内英語弁論大会を開く
- §1 授業で英弁大会について,生徒に伝える
- §2 定期テストとスピーチを結びつける
- §3 クラスでスピーチ大会
- §4 クラススピーチ大会の集計
- §5 クラススピーチ大会の結果発表
- §6 校内スピーチ大会に向けて
- §7 校内英語弁論大会実施
- §8 校内英弁大会をやるにあたって
- 2 英語一口掲示板
- おわりに
はじめに
楽しい授業がしたい。
私は数々の場所でそう語ってきました。
それは私の新卒の時からの夢でもあります。
新卒の時は,楽しいネタで勝負していました。
OHPを使ったり,提示カードを使ったり,楽しい授業を演出してきました。
それでも4〜5年がたつと,授業の内容で勝負するようになってきました。
どのようにしたら,生徒に楽しく,力を付けることができるようになるのか考え,授業を工夫してきました。
さらに,何年かたつと,今度は,子どもを生かした楽しい授業を考えるようになりました。
教師の1人芝居でなく,生徒を巻き込んだ楽しい授業です。
そのために,生徒を活動させることから始めました。
そして,今言えることは,「生徒の活動がある授業……それが楽しい授業をつくるのである」ということです。
このことに気づいたときには,「ぜひ,全国の他の先生にも伝えたい!」と思いました。
ある時,音読で何となくつまらなそうに生徒がリピートしていました。
その時,とっさに考えたことは,隣同士,机を向かい合わせ,ペアで音読をさせることでした。
そして,「隣の人とジャンケンをしなさい」と指示をしました。
生徒はジャンケンをするだけで,楽しい笑みを浮かべました。
その後,「ジャンケンで勝った生徒は,ケン。負けた人は,由美のせりふを読みなさい」のように役割を決めてやったのです。
すると,今までつまらなそうに音読をしていた生徒から笑みがこぼれ,楽しそうな表情に変わった時には,「しめた!」と思いました。
この時初めて,楽しい授業というのは,教師が演出するだけではなく,生徒の活動の中からも楽しさというのは,引き出すことができるのだなあ……と思ったのです。
また,先日,中学2年生で,to不定詞の学習をしました。
導入は,Where did you go last Sunday?という英文から入りました。
生徒に質問していきました。
その中の1人の男の子は,照れながら,
「I went to am/pm.」(私はam/pmに行きました)
と言いました。
その周りでは,数人の女の子,男の子が笑っていました。
どうしてかというと,その子は,女の子とそこでデートの待ち合わせをしていたのです。
私は,そんなことを知らずに,
「Why?」
と投げかけると,教室は盛り上がりました。
私は,クラス中の笑いに,
「え! なんで????」
と聞いてみました。
そしたら,女の子と待ち合わせをしていた……というのです。
なんとも,中学2年生にしては,純情というか,変に隠すこともなく,みんなに知られることが嬉しそうにしている男の子を見て,私は,
「Oh, to meet your friend?」
と言うと,その生徒は,
「Yes!」
と言ってきました。
他の生徒は,
「Girl friend!」
と言ってきました。
私は,
「Girl friend???」
と言うと,その生徒は,
「じゃあ,いいや,Yes!」
嬉しそうにしていました。
私は,大きな声で,
「To meet your GIRL friend???」
と,声をあげました。
生徒たちは盛り上がっていました。
もちろん,この日の文法のまとめの英文は,
I went to am/pm to meet my friend.
(私は友達に会いにam/pmに行った)
になったことは,当然のことです。
たったこれだけのことですが,生徒を巻き込む楽しさが,生徒を活動させる中にはあると実感したのです。
さて,本書は,「英語授業を楽しくするコツ」を紹介しています。
私はよくいろんな先生方から,
「どうしたら,楽しい授業ができるのでしょうか」
「楽しい授業は,先生の人柄でしょうか……」
「笑いのある授業はどうしたらできるのでしょうか……」
と尋ねられることがあります。
そんなときに,やはり一言では説明できず,いろいろと言ってはみるもののうまく伝わらないような気がしていました。
そこで,本書にまとめようと思ったのです。
すぐにでも,心がけ次第で,授業が楽しくなるポイントを示していこうと思ったのです。それを第1章に書きました。
第2章は,楽しい授業の実際のアイデアやネタを紹介することにしました。
第3章は,「楽しい学習環境」ということで,校内英語弁論大会の様子と,英語一口掲示板についてアイデアを提供しようと思いました。
楽しい授業は,いろんなところに見え隠れしています。
本書を執筆している中でも,多くのアイデアが浮かんできます。
思い出されてきます。
とはいえ,まず授業を楽しくさせるには,教師の長い説明よりも,生徒に活動させること である,と思っています。
それもテンポよく,スピーディーに行うことです。
また,同じことを繰り返していては生徒は飽きるし,マンネリはつまらないものになります。
そこで登場してくるのが,「変化」というキーワードです。
ぜひ,最後までお読みいただき,授業でそのまま活用,また応用させ,発展してお使いいただければと思います。
/瀧沢 広人
本書籍の中で、瀧沢先生は英語活動と構成的グループエンカウンターの関係について書かれています。
私も瀧沢先生の実践を真似させていただきながら、学級の雰囲気がよくなることを実感してます。
音読と言う学習が生徒間のふれあいになるのです。
「スーパージャンケン」もシンプルな活動ですが、英語の授業以外にも使えるのでお勧めです。
ビギナー教師でなくても、勉強になる一冊です。