- まえがき
- T 保健体育科と体育分野の目標・内容
- §1 保健体育科と体育分野の目標の重点
- §2 体育分野の内容の特徴
- (1) 内容構成の考え方
- (2) 各運動領域の内容の特徴
- U 体育分野の指導計画上の留意点
- §1 運動領域と種目の選択履修
- (1) 運動領域の選択履修
- (2) 運動種目の選択履修
- §2 年間指導計画上の配慮事項
- (1) 授業時数
- (2) 各運動領域の授業時数の配分
- §3 第3学年における弾力的取扱い
- (1) 授業時数のとり方
- (2) ねらいと内容の選択
- V 武道のねらいと内容
- §1 特性とねらい
- §2 学習内容の重点
- (1) 技能に関する内容
- (2) 態度に関する内容
- W 柔道のねらいと内容
- §1 特性とねらい
- §2 学習内容
- §3 学習指導の進め方
- §4 指導計画上の留意点
- §5 年間指導計画例
- X 柔道の指導事例
- ねらい/内容/学習指導の進め方/指導計画/展開例/指導のポイント
- 事例1 受け身や体さばきの段階的な指導
- 事例2 投げ技の基本的な技能の指導
- 事例3 固め技(抑え技)の基本を習得させる指導
- Y 剣道のねらいと内容
- §1 特性とねらい
- §2 学習内容
- §3 学習指導の進め方
- §4 指導計画上の留意点
- Z 剣道の指導事例
- ねらい/内容/学習指導の進め方/指導計画/展開例/指導のポイント
- 事例1 基本動作の習得に重点をおいた指導
- 事例2 しかけ技の基本を身に付けさせる指導
- 事例3 応じ技の段階的な指導
- 事例4 試合における攻防の仕方を習得させるための指導
- 事例5 興昧を持たせる稽古の仕方の指導
- [ 相撲のねらいと内容
- §1 特性とねらい
- §2 学習内容
- §3 学習指導の進め方
- §4 指導計画作成上の留意点
- \ 相撲の指導事例
- ねらい/内容/学習指導の進め方/指導計画/展開例/指導のポイント
- 事例1 相撲の基本動作を中心とした初歩的な段階の指導
- 事例2 攻め技の基本を身に付けさせる指導
- 事例3 投げ技やひねり技の基礎を身に付けさせる指導
- ] ダンスのねらいと内容
- §1 特性とねらい
- §2 学習内容
- §3 学習指導の進め方
- ]T ダンスの指導事例
- はじめに
- 各学年のねらい
- 初歩的な段階の単元例
- やや発展的な段階の単元例
- 発展した段階の単元例
- 事例1 日常動作を中心としたダンスの指導
- 事例2 いろいろなテーマから中心となる感じを捉えた指導
- 事例3 簡単な作品のつくり方の指導
- 事例4 楽しく踊るフォークダンスの指導
- 事例5 運動会につなぐ郷土の民踊とフォークダンスの指導
まえがき
改訂の中学校学習指導要領は,平成元年3月15日に告示され,平成5年度から全面実施されることになっている。
今回の中学校保健体育科の改訂に当たっては,生涯スポーツと体力の向上をともに重視する立場から,運動の楽しさや喜びを味わう能力や態度を身につけるとともに,心身の鍛練ができるような目標,内容とする。また,生徒の能力・適性に応じた指導が一層効果的に行えるようにする。さらに,保健分野については,生涯を通じて健康で安全な生活を営むために必要な基本的知識を理解させ,その生活を自主的に実践できるような能力や態度を育成することを基本方針とした。
この基本方針に基づいて多くの改訂がなされたが,その主なものは次のようである。体育分野では,運動領域の構成を5領域から7領域に分化させたこと,格技として指導してきた柔道,剣道,すもうを武道領域としたこと,個性の伸長を図る教育の充実のため,運動領域や運動種目の選択の幅を一層拡大するとともに,第3学年における授業時数を従来より週当たり1時間多くしたことなどであり,保健分野では,思春期における心身の変化,特に心の健康を明示したこと,また,交通事故の防止,喫煙,飲酒,薬物乱用をはじめとして食事,運動など生活行動と健康の関係や疾病構造の変化などの問題を重視したことなどである。
これらの基本方針や具体的改訂事項をみてみると,今後の保健体育の指導において研究,工夫を要する点がある。体育分野では,各運動の特性や学習内容をどのように考え,おさえたらよいか,運動の楽しさを身につける学習はどのようにするか,運動領域や運動種目の選択はどのようにさせたらよいかなどの問題がある。保健分野についても,各指導事項の重点はどのようにおさえるのか,生徒の健康・安全な生活をガイドできるような知識や能力はどのように学習させるのか。また実験,実習,見学などは授業にどのように取り入れたらよいか,などの問題がある。
これらの問題の解決のためには,学校の実情や生徒の実態に即した指導計画や指導法などについて教師の創意と工夫による努力に期待しなければならない。この努力を実らせるためにも,教育現場で毎日熱心に研究されている先生方の授業展開についての考え方や方法を参考にし,検討していくことは大変有意義なことであると思われる。
本書は以上のような趣旨のもとに編集されたもので「体操・体育に関する知識・保健分野の指導」「器械運動・陸上競技・水泳の指導」「球技の指導I」「球技の指導U」「武道・ダンスの指導」の5巻にまとめ,各巻ごとに特性やねらい,学習内容,学習過程,指導計画,指導事例を具体的に取り扱っている。指導事例では,指導上の問題点を取り上げ,それを解決するための授業展開例を重点とした。本書の内容は各執筆者の創意工夫を尊重したので,今後の学習指導の改善工夫に参考になると思われる。本書が学習指導の研究工夫の手がかりとなり,保健体育科の充実した授業が実現されるようになることを期待したい。
本書の出版に当たり,多大の労を煩わした明治図書の各氏に対し,深く感謝の意を表する次第である。
平成3年8月 編者
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- 明治図書