- <序> 生きる力を育むシステム
- 大分大学教授 /柳井 智彦
- 第1章 自学の効能と意義
- §1 中学校英語科自学システム
- 1 自学メニューを作る
- 2 自学帳をチェックする
- §2 アンケート結果より
- §3 力をつける自学
- 1 中学3年学年末のライティングの力
- 2 学習塾と入試と英検
- §4 心の絆を作る自学
- 1 コメントの重要性
- 2 働く姿を見せる
- 第2章 新・自学のシステム
- §1 自学の始め方
- 1 1年生から始める場合
- 2 2年生から始める場合
- 3 3年生から始める場合
- §2 自学テーマを分類
- 1 Category A まとめ,構造理解,意味理解
- 2 Category B 暗記(B-1)と自己診断テスト(B-2)
- 3 Category C パターンプラクティス
- 4 Category D 情報収集と自己表現
- 5 Category E 通信
- §3 生徒が自学をする際の注意事項
- 1 Category Aの学習をする際の注意
- 2 Category Bの学習をする際の注意
- 3 Category Cの学習をする際の注意
- 4 Category Dの学習をする際の注意
- 第3章 授業と自学をどう関連づけるか
- §1 授業改善に貢献する自学
- 1 板書を簡略化する
- 2 教科書の使い方を考える
- §2 英語の力をつけるための授業と自学
- 1 力をつける1年の学習と自学
- 2 力をつける2年の学習と自学
- 3 力をつける3年の学習と自学
- §3 個性・創造性を伸ばすCategory C,Dの学習と自学
- 1 個性・創造性を伸ばす1年のCategory C, D
- 2 個性・創造性を伸ばす2年のCategory C, D
- 3 個性・創造性を伸ばす3年のCategory C, D
- 第4章 自学を進めていく際の教師の工夫
- §1 自学の機能をアップさせ,教師の負担を軽くするための工夫
- 1 ノートに関する工夫
- 2 自学のやり方に関するちよっとした工夫
- 3 チェックをする際の工夫
- 4 その他の工夫
- §2 こういう場合はどうするか
- 1 自学がなかなか軌道に乗らない場合
- 2 自学帳を出していた生徒が出さなくなった場合
- 3 自学帳を全く出さない生徒がいる場合
- 4 自学帳が出過ぎて困る場合
- §3 自学の勧め
- 付録1 受験に向けた自学メニュー
- 付録2 1996年3月実施 自学に関するアンケート(設問3〜6)
- あとがき
<序>生きる力を育むシステム
中学校教師であることに,最高のしあわせを感じている人がいる。著者の田尻悟郎氏である。英語を学ぶことに,生きていく張りを感じている子どもがいる。田尻氏の生徒たちである。
「英語科自学」という学習−支援システムの導入によって,今,山陰の小さな町で熱いドラマが進展している。
本書を参考に自学の実践を始めると,誰にでもそのドラマを共有することが可能になる。ドラマの内容は,「基礎・基本の定着」「個性・創造性の発揮」そして「生きる力の獲得」の3つである。何よりも,中学校という舞台の上で,生徒と教師の心の絆ががっちりと結ばれる。
「英語科自学」は,いわゆる「自由勉強」とは異なる。「自由に勉強してきなさい」では子どもは途方に暮れる。しても断片的,断続的になりやすい。
「英語科自学」には「自学メニュー」がある。教師がそれを作成し,何をどのように勉強したらいいのか,方向性を示す。ただし,生徒にはメニューの中のどれを選ぶかという自由度が与えられる。
田尻氏は,メニューの中身を次の5つの「カテゴリー」に分類した。それぞれのカテゴリーには複数の「テーマ」が列挙される。生徒は自分の興味・必要性に応じてその日のカテゴリーやテーマを選択するのである。
[自学メニュー]
A 理解 (テーマ1,テーマ2,……,テーマn)
B 暗記 ( 〃 )
C 練習 ( 〃 )
D 表現 ( 〃 )
E 交信 ( 〃 )
教師は,生徒の自学のようすを観察し,異なるテーマ・カテゴリーへのチャレンジ,より基本的なカテゴリーへのバックなどをアドバイスする。しかし,やがて生徒は自分で自身の学習をコントロールできるようになる。
自学による最大の成果はカテゴリーDに現れる。学んだ事柄を応用し,自分の言葉で表現するカテゴリーである。そこには生徒一人一人の個性や創造性がしなやかに現れる。本書には,どのように支援していけば個性・創造性を無理なく引き出していけるのか,その秘訣が書かれている。
勉強はするのだけれども成績は芳しくないという生徒がいる。学習のどこに問題があり,どのように改善していけば基礎・基本が定着するのか,本書に1つの解答が書かれている。
英語が苦手な生徒に,どのようにすれば学習の手ごたえを感じさせることができるのか,生きていく気力をわかせることができるのか,本書にそのヒントがある。
ある研究会で,私は小学校での自学実践を紹介した。その会に田尻氏がいた。「ゾクゾクする話でした」と言う。それから4年あまり,改良に改良を重ねた末に「田尻式自学システム」が,30代の教師によって世に問われる。
髭をたくわえた田尻氏の口元からは,ネイティブスピーカー並の英語が出てくる。授業はテンポといい,活気といい絶品である。何より生徒の表情がいい。
私は田尻氏が生徒の自学帳に書いた赤ペンのコメントを数多く目にした。赤ペンを通しての生徒への「いとおしさ」が,彼の「システム」をがっしりと支えている,といつも感じる。
大分大学教授 /柳井 智彦
これから社会に出て行く中学生には、ぜひ身につけてもらいたい力で。
なので、投票お願いします。
TZさん
https://native-eigo.com/709
体的に論じた本書が品切れなのはまことに残念です。出版されて20
年以上が経ってはいますが、今でも学ぶべきところが古びず、むし
ろ「アクティブ・ラーニング」が叫ばれる今だからこそ読み返され
るべき一本だと思っております。投票とは別にでも、復刊をご検討
下さることを期待申し上げます。
コメント一覧へ