- ■はじめに
- ■本書の読み方・使い方
- 初 級 編
- @ミラクル・ホース ふしぎな音のホースであそぼう
- Aミニムチ・パッチン 厚紙でつくる小さなムチ
- Bクイーカ 空き缶でめずらしい打楽器をつくろう
- C空き缶カリンバ チョーチョーかんたん指ピアノ
- D歌う筒 ラップの芯(筒)で声が変わる?
- Eクラベス(拍子木) 角材と丸木でつくる拍子木
- Fグラスハープ ワイングラスが癒しの響き
- Gサンポーニャ ストローでつくる南米の笛
- Hペーパー・ホイッスル 紙が笛になる・風になる
- Iシェーカー 空き缶のマラカスづくり
- Jギロ 牛乳パックでギロをつくる
- Kマラカス ペットボトルでマ・ラ・カ・ス
- Lボンゴ 植木鉢でつくるボンゴ
- Mパンフルート その1 1本の竹でつくるパンの笛
- Nアゴゴ・ベル 空き缶でつくるベル二つ
- O指太鼓 ラップの芯の指太鼓
- 中 級 編
- @スラップ・スティック 角材でつくるカスタネット
- Aカホン 段ボール箱の太鼓,板でつくる太鼓
- Bレコレコ(ギロ) 竹でギロをつくろう
- Cカラカラ ほうきの柄でつくる竹の鈴
- Dカタカタ 竹の音具で歩こう
- Eバードコール ボルトでつくる小鳥笛?
- Fレイン・スティック ラップの芯の雨の音
- Gバンブー・スティック 竹でつくろうささらの仲間
- Hツリー・カスタ 板でつくる,いっぱいのカスタネット
- Iバンブー・ブロック 竹製のウッドブロック
- Jでんでん太鼓 缶のふたやテープの芯でつくってあそぼう
- Kカリンバ アイスの棒のカリンバづくり
- Lスティック鈴 空き瓶のふたでつくる鈴
- Mブンブンゼミ フィルムケースのせみづくり
- Nビリンバウ 空き缶でつくる竹の弓
- Oホイッスル サンバで竹笛ホイッスル
- P小鳥笛 竹を使って小鳥笛
- Q一弦琴 一本弦の琴づくり
- Rカズー 竹でつくる歌う笛
- 上 級 編
- @鳴子 木でつくる鳴子
- Aディジュリドゥ ラップの芯や竹でつくる長いラッパ
- B板ささら 小板でつくる板ささら
- Cパンフルート その2 竹の小さなパンの笛
- Dケーナ 竹でつくるボリビアの楽器
- E篠笛 細い竹でつくる篠笛
- F尺八 竹や塩ビ管で尺八づくり
- Gさんしん お菓子の空き缶でつくる三味線の仲間
- ■音具(手作り楽器)制作のその後
- ■【参考】作業の道具類
- ■おわりに
はじめに
生活の中で出る様々な多くのゴミ。例えば種々の空き缶や空き瓶,ペットボトル,プラスチックの容器,壊れた電化製品,建築廃材,あるいは生活廃水などによる水質汚染や排気ガスなどによる大気汚染,さらに騒音(音のゴミ)などなど,私たちのまわりには多くの多種多様なゴミが存在します。存在するというよりも,ゴミは次から次にとめどなく出てくるのです。私たちの生活がこうして続く限り。
冒頭に少し暗いことを書いてしまいました。しかしそういったゴミや,私たちの身の回りにある様々なものを利用して,手作りの楽器を作ってみんなで音あそびができたら,きっと楽しいでしょうね。マイナスの条件をプラスに換える,それが発想の転換ということでしょうか。
別に作るための設計図があるわけではありません。私が接した子どもたちの多くは,「こんな音の出るものを作りたいな」と思ったことで材料探しを始めたり,空き缶を見て「この空き缶で楽器を作ってみよう」と考えたり。そうして最終的には,それらを楽器=音具(おんぐ)として,しっかりと形にしていくのです。
子どもたちと一緒に,(時には保護者も含めて)手作り楽器の制作に取り組んだことがありました。本当にもう夢中で作業をする子どもたちを,私はそこでよく見かけたものでした。それと同じく,いやそれ以上かもしれません。お母さんお父さん方もかなり真剣に取り組みます。
目的を持って何かを作るために作業すること自体が,とてもわくわくするものですが,このように手作り楽器はなおさらのこと,子どもたちばかりではなく,大人も充分わくわくドキドキ,楽しいものになるに違いありません。
作った後も,まだまだ取り組みは続きます。以前こんなことがありました。ある音楽祭の会場で,150個くらいだったでしょうか,子どもたちの手作り楽器を展示したことがありました。会場には「作品に手をふれないでください」と何か所も書いてあるのですが,訪れた人の中には手作り楽器を見ているだけではなく,実際に手にとって音を出し始めた人たちが多く,それも子どもたちよりも大人の方が夢中になっているのです。その様子を見て私は,「音具は大人にとっても,つい手に触れて音を出してみたくなるもの」だということに気づいたのでした。何十年か昔のことです。
このように文句なしに楽しめる「手作り楽器=音具づくり」に,これからご一緒に取り組んで行きましょう。本書が,手作り楽器に取り組む人々の活動の手助けとなり,ひいては子どもたちの創造的で感性豊かな心の育みにつながることができれば望外の喜びです。
2006年2月 松戸にて /谷 中 優
-
- 明治図書
- 著者でございます。以前から私の所属団体などでこども向きの手作り楽器や子守歌・童謡等のワークショップを継続しています。特に最近になって本書が必要になりました。2021/5/3