- まえがき
- 第T章 器械運動とコーディネーション能力
- なぜコーディネーション運動か?
- コーディネーション運動のポイント
- 第U章 つまずき克服のためのコーディネーション運動のアイデア
- 1 マット運動
- A 前転(回転技)
- 発展技にチャレンジ!(開脚前転・跳び前転)
- つまずき克服コーディネーション運動
- クマさん歩き/木馬ジャンプ
- コロコロゆりかご/ぎっこんバッタン
- 大きなゆりかご/みんなでゆりかご
- 股のぞき転がり/ヒコーキ転がり
- ボール転がり/ジグザグ転がり
- 前転がりボールキャッチ/前転ジャンプ
- 手押し車前転/大股歩き前転
- あご出しあごしめ/台の上から前転
- B 後転(回転技)
- 発展技にチャレンジ!(開脚後転・伸膝後転)
- つまずき克服コーディネーション運動
- 後ろ向き歩き/動物後ろ歩き
- くも歩き/後ろにばったん
- V字バランス/掃除機とお母さん
- だるまさんゴロゴロ/ジャガイモゴロゴロ
- ゆりかご/ごろりんアンテナ
- ごろりんボール渡し/ごろりんボール投げ
- 壁けりロケット/げんこつ後ろ転がり
- 腕組み後ろ転がり/ゴム段ごえ後ろ回り
- C 側方倒立回転(回転技)
- 発展技にチャレンジ!(ロンダート)
- つまずき克服コーディネーション運動
- 焼きいもゴロゴロ/バランス遊び
- ジャガイモころりん/片足バランス
- ペンギン歩き/かえるの足打ち
- 正座でジャンプ/川跳び
- マリオネット/四つんばいケンケン
- 跳び箱横跳び越し/円盤まわり
- ばんざいスキップ/足変え逆立ち
- 側転ゴム段あそび/側転向きかえ
- シンクロ回転
- D 倒立(補助有り)
- こんな技にもチャレンジ!(首倒立・頭倒立)
- つまずき克服コーディネーション運動
- 首振り歩き/ぐるぐるよーいどん
- かかしバランス/閉眼ウォーク
- アザラシ歩き/レッグスジャンケン
- 三点バランス/フープくぐり
- 手押し車/バランスボール
- 片足ハンカチ拾い/クッション跳び越え
- 壁登り逆立ち/足チョン壁逆立ち
- 逆立ちバッタン/首倒立でいろいろポーズ
- 学習カード
- 2 跳び箱運動
- A 開脚跳び・かかえ込み跳び(切り返し技)
- 発展技にチャレンジ!(開脚水平跳び・斜め開脚跳び・屈伸跳び)
- つまずき克服コーディネーション運動
- 手足走り/手足走りジャンケン
- くも歩き/うさぎ跳び
- 両足跳び/ケンケンポーン
- 馬跳び/腕立て突き放し
- バービー運動/またぎ越し
- 踏み越し/ステージに跳び上がり
- またぎ乗りロケット発射/つなげてドンジャンケン
- マットを跳び越そう/ダンサーリズム跳び
- 学習カード
- B 台上前転(回転技)
- 発展技にチャレンジ!(首はね跳び・頭はね跳び)
- つまずき克服コーディネーション運動
- ゆりかご/アザラシ歩き
- 腕立て回り/前転
- ブリッジ/かえる足打ち
- かえる倒立/壁登り倒立
- 壁倒立/ずりずり前転
- 手押し車前転/重ねたマットで前転
- つなげて回ろう1/つなげて回ろう2
- 間で回ろう/ステージで回ろう
- 学習カード
- 3 鉄棒運動
- A 転向下り・踏み越し下り・こうもり振り下り(下り技系)
- 発展技にチャレンジ!(ひこうき下り・横跳び越し下り)
- つまずき克服コーディネーション運動
- 平均台跳び越し/Y字登り
- 振り登り/パラシュート下り
- つばめパラシュート下り/遠くへパラシュート
- 前振り跳び下り/平均台またぎ
- こうもり振り/こうもり下り
- 地球回り/こうもりジャンケン
- B 逆上がり・ひざかけ上がり・ももかけ上がり(上がり技係)
- 発展技にチャレンジ!(逆上がり・ひざかけ上がり)
- つまずき克服コーディネーション運動
- ケンパー跳び/コンビネーションジャンプ
- クライミング/ジャングル・ドンジャンケン
- あめんぼ/ぶたのまるやきジャンケン
- つるしがき/だんごむし
- 片足かけぶら下がり/ジャングル逆上がり
- 足抜き回り/足かけ振り
- C 前方支持回転・後方支持回転・後方ひざかけ回転(回転系)
- 発展技にチャレンジ!(前方支持回転・後方支持回転)
- つまずき克服コーディネーション運動
- サークルタッチ/回転下り
- バタ足・自転車こぎ/鉄棒ジャンケン
- ふとんほし/前回り下り
- けんすい/けんすい移り
- つばめ振り/つばめ振りから足打ち
- ひざかけ振り逆上がり/だるま回り
- 学習カード
まえがき
現在,中教審専門部会では,平成20年度の指導要領改定に向け「体育ですべての子どもたちに保障すべき資質や能力」「体育の学力とは何か」といったことを中心に議論されています。特に,「スタンダード」「基礎・基本の定着」「身体能力」等の言葉が取りざたされている状況です。これからの体育の目標が明らかになりつつある今,体育の教科内容を校種や学年(発育発達段階)によって,どのような順序で学ばせるのか,というテーマに対しコーディネーション運動の視点から系統的・構造的にとらえなおすことは,きわめて意義深いと考えます。
器械運動の技には,系統性と共通の技術が存在し,応用・発展性を含め長い年月をかけて体系化されてきました。中でも,動きの基本となる運動と応用的な運動の関係から,動きの感じの類縁性(アナロゴン)に着目して,そのような運動をまとめて学習すると,効果的な運動学習が可能になる点はよく知られています(三木,2007)。さらに,マイネルのスポーツ運動学を中心に動きの研究は,幅広く行われています。しかしながら,体育の現場にはまだまだ浸透していない感は否めません。
本書は,器械運動をコーディネーション能力やコーディネーション運動の視点からとらえなおし,少しでも教師の皆さまの参考となるように構成してみました。そのために,体育の授業で実践している教師の方々にご協力をいただき,すぐにでも現場で活用できるように留意したつもりです。子どもたちは,変化のある運動に興味を示し,目を輝かせます。「次は何をやるの!?」そのうち,「あっ!できた」という響き。
動きや課題がすぐにできるにこしたことはありません。でも「今」できなくてもいいのではないでしょうか。大切なことは,できなくても続けることだと思います。質を求めるより,まずは量であると考えます。重要な点は,量の中味です。同じ運動を回数続けるのではなく,異なる運動をさまざま行って欲しい。その具体的な方法として,コーディネーション運動があります。こうしなければならない,よりも「こんなやりかたもあるよ」というように視野をほんの少しだけ広げてみてもいいと思います。
今回ご紹介するコーディネーション運動は,すでに行われているものもあるかもしれません。しかしながら,是非,コーディネーション能力という新しい視点からご確認いただき,一歩進めてみてください。あるいは,似たものとかもあるでしょう。そんなときは,これまでの経験を加えて化学反応を起こしてみてはいかがでしょう。見て学ぶ→自ら考える→新しいものを創る,教師の皆さまがまずは実践してください。コーディネーション運動は,子どもたちの最適な運動と同時に,教師の皆さまにも考えるヒントをふんだんに含んだ教材です。教師と子どもが一体となった授業づくりにつなげていただけたなら幸甚です。
2007年5月 監修者 /東根 明人
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- 明治図書
- 具体的ですぐに実践に活用ができました。2016/6/1940代・小学校教員