- はじめに
- Part 1 効果的に音読を行う! 指導のポイント14
- 1 検定教科書を中心にした指導順序
- 2 1課全体の流れのパターン
- 3 音読の目的
- 4 オーバーラッピング/パラレル・リーディングの目的
- 5 シャドーイングの目的
- 6 音読の順番
- 7 基本文の暗唱の重要性
- 8 音読の原則
- 9 音読するときの形態
- 10 ペアでの練習のバリエーション
- 11 音楽の使用
- 12 指名方法
- 13 ポーズの役割
- 14 声が出ないときの対応方法
- Column 安木流! 英語教師の心得12
- Part 2 活動別で生徒熱中! 音読アイデアベスト54
- [1] プレリーディングレベルの活動
- 1 クイズ形式の本文導入法
- 2 タイトルや写真を使った内容予想法
- 3 リスニングから始める本文理解法
- 4 意味理解のためのキーワード導入法
- [2] 内容理解活動
- 1 パラグラフの要点選択法
- 2 チャンクで黙読Q and A法
- 3 パラグラフの順番並べ替え法
- 4 英文和訳法(フレーズ訳,全文訳)
- Column 英文和訳についてどのように考えるか
- 5 パラフレーズ(Paraphrase)
- [3] 単語から文への音読活動
- 1 リズム・イントネーション確認法
- 2 イチゴ読み
- [4] 句から文章への音読活動
- 1 リッスン・アンド・リピート1(Listen and Repeat1)
- 2 リッスン・アンド・リピート2(Listen and Repeat2)
- 3 オーバーラッピング/パラレル・リーディング(Overlapping / Parallel Reading)
- Column 復習時の音読指導はどうするか?
- 4 バックワード・リーディング(Backward Reading)
- [5] 音声化する練習になる音読活動
- 1 バズ・リーディング(Buzz Reading)
- 2 英文見たまま通訳練習
- 3 1人通訳練習
- 4 ネイティブぴったし音読
- 5 高速リーディング
- 6 四方読み
- 7 つっこみ音読
- 8 おっかけリーディング
- 9 1文ずつ読み
- 10 妨害読み
- 11 ダイアログのパート別読み
- 12 グループ輪読
- 13 リレー音読
- [6] いろいろな段階で使える音読活動
- 1 シャドーイング(Shadowing)
- [7] 本文の記憶を確認する音読活動
- 1 クローズ音読
- Column クローズ音読の注意事項
- 2 鉛筆置き音読
- 3 逆さま読み
- [8] 英文を自分のものにする音読活動
- 1 リード・アンド・ルックアップ(Read and Look up)
- 2 リピーティング/リテンション(Repeating / Retention)
- 3 メモリー・リーディング(Memory Reading)
- 4 リード・アンド・ルックアップ+メモリー・リーディング/+リピーティング(Read and Look up + Memory Reading /+ Repeating)
- Column 教師の自己訓練としての音読
- 5 メモリー強化リピーティング
- 6 列ごと発表音読
- 7 リッスン・アンド・リピート+メモリー・リーディング(Listen and Repeat + Memory Reading)
- Column よい英語教師になるには英語教育の本を読めばよいのか?
- 8 前消しリピーティング
- 9 閉本でのペア型通訳練習
- [9] 音読発展型のポストリーディング活動
- 1 ペア型主語変換練習
- 2 ペア型Q and A音読
- 3 状況設定読み
- 4 ストーリー・リプロダクション(Story Reproduction)
- 5 オーラル・インタープリテーション(Oral Interpretation)
- [10] 様々なタイプのポストリーディング活動
- 1 閉本でのQ and A
- 2 ラスト・センテンス・ディクテーション(Last Sentence Dictation : LSD)
- 3 印象的な文選び
- 4 リード・アンド・ライト(Read and Write)
- 5 本文のスキット化
- Column コミュニケーション活動とは何か?
- 6 本文の続き作成
- 7 映像を使ったダイアログ練習
- 8 本文暗写
- Part 3 これは便利! 音読で使えるワークシート6
- 1 音読評価シート
- 2 フレーズ分けシート
- 3 多読レポート
- 4 リーディングスピード測定シート
- 5 ライティング語数測定シート
- 6 フィールドノート
- おわりに
- 主要参考文献
はじめに
アメリカやイギリスのようなESL(English as a Second Language)の国では移民に対して英語を教えるために,様々な指導法が開発されています。私も授業改善のために入学したテンプル大学日本校の大学院で多くの著名な先生方に薫陶を受け,様々な教授法や第2言語習得のしくみについて学習しました。この過程でたくさんの知識を得ました。特に学習者にインプットをたくさん与え,教師と生徒,また生徒同士でインターラクションをすることの大切さを認識しました。
しかし,日本の高校ではこの指導法だけで英語を教えてもなかなかうまくいかないことが多く,どうすればよいのか試行錯誤する毎日でした。そんなとき勤務先の高校に中学が併設されることになり,そのための準備としていくつかの中学校の授業を見せていただきました。その中で分かったのは中学では音読指導が生きているという事でした。私が学生のころ,英語の専門学校で音読を中心とした授業によって英語力の基礎を築いたことを思い出しました。
翌年より中学と高校の授業を同時に担当することになりましたが,どちらにおいても音読を中心に指導を行い,またその効果を実感するようになりました。また,当時からお世話になっている斎藤栄二先生(現京都外国語大学)の紹介で,達人セミナー(大阪なみはやドーム)に参加し,谷口幸夫先生(現東京都立戸山高等学校,達人セミナー事務局長)と知己を得たこと,そして鈴木寿一先生(現京都外国語大学)をご紹介いただいたことが,研究と実践をしていく上での礎となりました。
鳥取に移ってからも研究会やセミナーに参加する中で,日本のようなEFL(English as a Foreign Language)の環境で音読を中心に指導を展開していく方法について自分なりの考えをもつようになりました。私の実践のベースには日本で研究されてきた英語教育や心理言語学の理論があります。理論と言うと何か窮屈な感じをもたれるかもしれませんが,少なくとも私にとって実践していく上での大きなよりどころとなっています。この本では音読やその他の指導について先行研究を織り交ぜながら,私が考えている指導法の理論を述べ,それに基づく指導法を紹介します。私は「凡人技も集まれば達人技」だと思っています。1つ1つはそんなに実行が難しい方法でなくとも,それらを組み合わせ,指導順序を考えることで,いわゆる名人と呼ばれる人と同等の効果を生む実践ができます。この本では主に中学校の先生方を対象とした指導法について述べますが,基本的に高校の先生方の指導法も同じだと考えており,事実私自身が実践してきました。どのページからでも構いませんのでご一読ください。
2010年1月 /安木 真一
すごく印象的な言葉でした。
この本にもっと早く出会っていたらと思います。新年度から少しずつ生徒の実態に合わせて、
実践したいです。