- まえがき /酒井 臣吾
- この本の使い方 /廣川 徹
- T 「春」の題材&指導スキル
- 歯みがきの絵 /寺田 真紀子
- お話,歯ブラシ・奥歯を描く/ 口を描く/ 顔を描く/ コップ・体を描く/ 口の中を塗る/ 顔を塗る/ 体を塗る,仕上げをする
- 部分積み上げ描法で描く虫の観察 /原口 雄一
- 部分積み上げ描法/ 昆虫の観察でつけたい力/ 描き方
- 踊る! 町たんけんキャラクター /原口 雄一
- 信号でやり方を示す/ 標識で練習する/ 公衆電話で描いてみる/ 地図づくりに生かす
- U 「夏」の題材&指導スキル
- かたつむり /原口 雄一
- 描き方を示す/ 絵の中で生かす
- シャワーをあびたよ /上木 信弘
- 自分を描く/ 彩色
- ネガ・ポジ「見たこともないおばけ」 /寺田 真紀子
- 見せる/ 切る/ 貼る/ 名前をつける
- 影でつくる「友達ポスター」 /寺田 真紀子
- 影のアイデアを出そう/ 上手な影を描こう/ 夕焼け空・地面を塗ろう/ 影を塗ろう/ 糊で台紙に貼ろう,ポスターの文字を考えよう/ ポスターにしよう
- 木のある風景 /冨築 啓子
- 近景〜木を描く/ 遠景〜建物を描く/ 空を描く/ 遠景の彩色/ 下の部分を描く
- 涼しげな暑中見舞い /原口 雄一
- たらし込み/ バチック花火/ 海月
- V 「秋」の題材&指導スキル
- ジャックと豆の木 /寺田 真紀子
- お話,つるを描く/ つるをたらし込みで塗る/ 豆・葉っぱを描く/ 豆・葉っぱを塗る/ ジャックを描く/ ジャックを塗る/ ジャックを貼る,オニを描く/ 空を塗る,仕上げ
- ホタルの環境ポスター /寺田 真紀子
- ホタルを描く,光のにじみを作る/ 夜のにじみを塗る/ ポスターにしよう
- かしわ林の夜(宮沢賢治) /上木 信弘
- クレヨンで下絵を描く/ 白い部分・肌の部分の彩色/ 空・服の彩色
- かもとりごんべえ /山川 直樹
- 朝焼けの空/ ごんべえを描く/ ごんべえを貼る/ 鴨を描く/ 風景を描く
- 星の物語の絵 /谷岡 聡美
- スパッタリングで天の川を描く/ 織り姫をクレヨンで描く/ 織り姫を絵の具で彩色する/ ひこ星をクレヨンで描く/ ひこ星を絵の具で彩色する/ 鑑賞会をする
- 林の底(宮沢賢治) /上木 信弘
- フクロウを描く/ 人物を描く/ 月,樹を描く/ 縁取りをする/ 夜空を塗る/ 作品鑑賞会
- W 「冬」の題材&指導スキル
- クレヨンと絵の具であっというまに年賀状 /原口 雄一
- 顔のみ/ 正月らしく
- かさこじぞう /角銅 隆
- 手を描く/ 顔を描く/ 手ぬぐい・笠を塗る/ みのを描く/ おじいさんを仕上げる/ お地蔵様を描く/ お地蔵様を切り取る/ 構成を考える/ 他のお地蔵様を描く/ 足下の雪を描く/ 降ってくる雪を描く
- 一版多色刷り版画「動物を抱いたよ」 /上木 信弘
- 下絵/ 彫り/ 刷り
- X 季節を問わない作品及び学校の行事
- 大迫力! 酒井式虫歯予防ポスター /原口 雄一
- 話を聞かせる/ 歯を描く/ 歯ブラシを描く/ 手を描く/ 顔を描く/ 虫歯菌を描く
- 話す聞く読む書く力もつける酒井式鑑賞法 /原口 雄一
- 話す聞く酒井式鑑賞法/ 読む書く酒井式鑑賞法/ 酒井式鑑賞法のその後
- 紙版画「一輪車に乗っている人」 /永山 祐
- 一輪車で遊ぶ/ 紙をちぎる練習/ 顔を作る/ 一輪車を作る/ 手・腕を作る/ 足と体を作る/ 体の動きを作る/ 印刷する
- 運動会〜棒引き /谷岡 聡美
- 構図を考える/ 棒引きの棒を描く/ 棒を引っ張る人間を描き入れる/ 空いている場所に人を描く/ 画用紙に鉛筆で棒引きの棒を描く/ 人を描く/ 色を塗る/ 背景を塗る
- 卒業生の顔を描いてプレゼントする /上木 信弘
- 卒業生の顔を描く/ 彩色する
まえがき 教えてほめる:ギャングエイジが描く“うっとりする絵”の指導
酒井式描画指導法研究会 主宰 /酒井 臣吾
この本の中に,宮沢賢治の「林の底」というシナリオがある。
これは,クレヨンと水彩絵の具を併用した方法で描くシナリオである。
今まで,クレヨンと絵の具をあわせて作品を描くことは酒井式では取り入れてこなかった。この2つの材料は文字どおり水と油である。ひとつの画面の中に調和しようがないのではないか―と考えてきた。
しかし,ここに来てその考えは大きな誤りであったことが判明。その後,ジャックと豆の木,かしわ林の夜など次々と名作が生まれてくることになった。
クレヨンと絵の具は,安易に使えば水と油だが,この2つの息を合わせるようなシナリオを創り出すと,見違えるような美しい絵になる。まるで,水と油がお互いに響き合って,不思議なほど妙なる響きを生み出しているように見える。
美しい絵になるだけではない。
教師が子どもをほめることができる場を提供してくれているのである。
論より証拠,ぜひやってみていただきたい。木の枝をクレヨンで描いたあとに,枝と枝の間の空を塗るときの心地よさがたまらない。ひとつの空間を塗るたびに美しい空が次々と完成していく。その間,クレヨンの枝との美しい調和にうっとりすることができる。
塗っている子どもたちがそう思っているのだから,教師は安心してほめることができる。私はいつも,この場面ではメチャクチャにほめ上げてきた。
もうひとついいことがある。
クレヨンで描いてあるので,絵の具で線を踏んでもいいことだ。踏んでもいいから塗りなさいとは言わないが,自然に色塗りが成功することになる。特に発達障がいの子どもたちについて問題になってからは,そのような子も含めて,全員合格の原則を考えてきた。このやり方は,まさにこの全員合格の原則にぴたりとあてはまる。
私の講座には,3歳児や,4歳児もよく参加するが,そのような子どもたちもすべてがうまくやり遂げることができる。
成功して,みんなにほめられたときの幼児の笑顔はとても美しい。3,4年のギャングエイジの子どもたちを幼児のような笑顔にしていただきたい。
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- 明治図書