- まえがき
- 指導事典の使い方
- Ⅰ 表現運動に役立つゲーム
- ①出世ジャンケン~楽しく表現運動に親しませる~ /谷 和樹
- ②鏡と私~岩切博文氏の実践の追試~ /伴 一孝
- ③「トントントン」「何の音?」~いつのまにか表現の世界へ~ /長塚 啓
- Ⅱ 〔低学年〕表現リズム遊びの指導
- ①こんな「遊び」は初めてでした! /椿原 正和
- ②まねっこから始めよう /堀井 郁子
- ③低学年では基礎感覚を身につける /長塚 啓
- ④楽しく身につける表現運動の基礎感覚 /川西 良治
- Ⅲ 〔中学年〕表現運動の指導
- ①イメージを膨らませて /堀井 郁子
- ②照れ屋さんも自然に乗ってくる表現運動「宝島探検に行こう!」 /塩苅 有紀
- ③子どもに動きのイメージをとらえさせ「動きの筋」で支える /渡辺 喜男
- ④万能ステップで楽しく踊ろう /鈴木 恭子
- ⑤5Sで組み立てる~スーパーアドベンチャーの実践~ /桑原 和彦
- ⑥優れた運動会表現種目の条件とは? ~「ダイナリズム」から考える~ /鈴木 康一
- Ⅳ 〔高学年〕表現運動の指導
- ①決めのポーズと即興の動きを合わせて /関家 千恵
- ②「激しい感じの動き」子どもをノセる7つのポイント /駒井 隆治
- ③台風で対立する動きを工夫させる /武藤 慶治
- ④作品づくりは細かなステップ指導で! /徳永 一哉
- ⑤すごく簡単,5分でできる32呼間のフォークダンス /石橋 健一郎
- ⑥5時間で子どもが大好きになる春駒踊り /満石 大輔
- Ⅴ 全国に広がるYOSAKOIソーラン
- ①新学校教材用よさこいソーラン「侍SAMURAI」 /宮野 正樹
- ②SAMURAI新提案「輪舞」「共振」「リレー踊り」 /宮野 正樹
- ③保護者の記憶に残る表現種目「キッズ・ソーラン」 /塩苅 有紀
- ④「よさこいソーラン」でクラスをまとめる初めの一歩 /千原 一弘
- ⑤最後には必ず全員に成功体験をもたせる /佐藤 貴子
- ⑥子どもが熱狂する表現種目「ニャティティソーラン」 /佐藤 泰之
- Ⅵ 題材・教具の選定
- ①子どもが「のる」題材 /鹿島 哲夫
- ②イメージの助けになり,動きに変化を与えるものを提示する /松本 明
- ③かっぽれで楽しい体育授業を始めよう /平田 淳
- ④一体感を学級開きで /松本 勝男
- ⑤自分たちで動きをつくる練習のシステム /平間 紀子
- ⑥イメージカードで踊れる子に育てる /鈴江 真弓
- ⑦めくって変身! ドロンパ忍者 /岩本 恵
- ⑧具体物を使って恥ずかしさを取り除く /山崎 聡
- コラム:動きを引き出す魔法の道具「リズム太鼓」 /佐藤 泰之
- Ⅶ 子どもの動きが変わる 教師の言葉かけ
- ①表現運動が好きになる言葉かけ /根本 正雄
- ②音集め+言葉かけ=動きの変化 /並木 孝樹
- ③「おもちゃの国」イメージを表す言葉かけから動きづくりへ /橋本 澄子
- ④「発問」と「子どもの動きが変わる言葉かけ」のセットで子どもの可能性を引き出す! /甲本 卓司
- ⑤発達特性を考えての言葉かけ 指先までカッキンカッキン /渡辺 敏子
- Ⅷ 子どもの動きが変わる 個別評定
- ①元気に大きく表現させる評価 /漆山 仁志
- ②趣意説明と個別評定でイメージが表現できる~花笠音頭~ /東郷 晃
- ③個人の動きの質を高めるには個別評定がいい /三好 保雄
- ④教師が評価するときの3つの原則 /野崎 史雄
- コラム:個別評定ってどうやるの? /佐藤 泰之
- Ⅸ 役立つ学習カード集
- ①すぐ使える表現運動学習カード集解説 /根本 正雄
- ②「どうぶつになろう」「のりものになろう」学習カード /迫田 一弘
- ③目に触れるものから題材を~なっとう,ねんど,もち,接着剤~ /雨宮 久
- ④楽しく踊ろうエース・オブ・ダイヤモンド /清水 裕子
- ⑤無理をせず簡単な動きづくりから /桜木 泰自
- あとがき
まえがき
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
表現運動の授業は難しいと教師も子どもも苦手にしている。
リレーはバトンがあり、走路が決まっている。マット、鉄棒、跳び箱は器具があり、どのように動けばよいのかが明確である。
子どもができる、できないかは別として、何をどのようにするのかはわかっている。
しかし、表現運動は用具も器具もない。教師の言葉かけとリズム伴奏くらいである。何をどのようにすればよいのかが不明なのである。
動きのイメージをつくれるかが勝負である。
それでは、表現運動はそんなに難しいのであろうか。私の経験から言うとそれほど難しくない。
逆に子どもは能力差に関係なく、楽しく活動することができる。器械運動のように能力差が出ない。
自分なりの表現をすればよいからである。1人でも表現できるしグループでもできる。
グループで考えたり工夫したりすることを通して、仲間と一緒に学習する喜びも体験できる。
日本民謡のよさこいソーランを指導したことがある。
一定の振り付けがあるので、指導者も子どもも踊りやすい。他人との比較ではなく、自分の踊りができれば、子どもは大きな達成感を得られる。
運動量も多い。音楽に合わせて踊るのでテンポよくリズミカルに踊ることができる。子どもは何度でも挑戦する。
ポイントは教師が楽しく指導できるかである。意欲をもって取り組めるかである。
指導の仕方がわからない、どんな題材でどのように単元構成をすればよいのかがわからないという教師のために、本事典はまとめられている。
低学年、中学年、高学年別に分かれて紹介されている。学級の実態に応じて内容を変化させて実践してほしい。
徳島県の浜井俊洋氏のジャングル探検の模擬授業を参観したことがある。すばらしい模擬授業であった。
全員を瞬く間にジャングル探検に引き込んでしまった。その指導方法は次の4点である。
①動きのカード…事前に準備されていた。絵が描かれ、短い状況説明がしてある。
②ストーリー…ジャングル探検の様子を一つのストーリーにして展開した。
③言葉かけ…ジャングルの様子、動き方を状況に応じて言葉かけし、イメージづくりを行った。
④リズム…始めから終わりまで音楽を流して、ジャングル探検のイメージづくりをした。途中でボリュームを落としたり高めたりして、意欲化を図った。
4つの指導によって、子どもは自然に自己表現をし、動きの質を高めていった。個人差に応じた指導がなされ、教師のねらいが必然的に達成されるようにシステム化されていた。このような実践事例が本指導事典には紹介されている。
本指導事典をまとめるにあたりTOSS体育中央事務局の佐藤泰文氏にご協力いただき感謝申し上げます。
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- 明治図書