目次
- まえがき
- 体力づくり指導事典の使い方
- Ⅰ 体力づくりの高め方
- ①柔軟性の高め方 ／溝端 達也
- ――運動場の固定遊具を使った遊具サーキットで体の柔軟性を鍛えよう
- ②敏捷性の高め方 ／松島 博昭
- ――授業最初の運動で敏捷性を高める
- ③持久力の高め方 ／前田 哲弥
- ――折り返し持久走
- ④筋力の高め方 ／上川 晃
- ――体育授業の中で筋力を高める
- Ⅱ 体力づくりの方法
- ①スポーツテストの生かし方(1) ／村田 正樹
- ――結果を読み、２つの側面からの対応を考える
- ②スポーツテストの生かし方(2) ／鬼頭 衛
- ――サーキットトレーニングで苦手な運動の強化を図る
- ③正課時体育での体力づくり ／梶野 修次郎
- ――体力づくりで行う運動パーツ10選
- ④業間・放課後の体力づくり ／和田 匡史
- ――ジャンケンを軸にした運動遊び
- ⑤家庭での体力づくり ／平山 勇輔
- ――楽しい！触れ合う！親子でできる簡単体力づくり
- ⑥体力づくりと運動量 ／松田 大央
- ――２種の体力づくりと運動量の向上
- Ⅲ 学年別・正課時体育の体力づくり
- １～２年
- ①固定施設を使って ／岩元 亮介
- ――固定施設ローテーション！
- ②かけっこ ／市島 直子
- ――リレーに歩く・走る運動を取り入れ、変化のある繰り返しで運動量を確保しよう
- ③水遊び ／吉本 研二
- ――浮く・もぐる遊び
- ④鬼ごっこ ／大野 眞輝
- ――変化のある繰り返しで氷鬼を行い、体力を高めよう
- ⑤まねっこ遊び ／藤﨑 裕子
- ――動物カードを使ったまねっこ遊び
- ３～４年
- ①マット ／神山 友和
- ――マット運動は、楽しく！たくさん！安全に！がポイント
- ②跳び箱 ／板垣 大助
- ――運動量を確保する「連続跳び」「シンクロ跳び」
- ③リレー ／南 達也
- ――楽しくできるバトン鬼ごっこと玉運びリレー
- ④ミニハードル ／光村 拓也
- ――リズミカルに跳ぶミニハードル走
- ⑤幅跳び ／千葉 康弘
- ――遠くまで跳ぶ方法を知る
- ⑥高跳び ／徳本 孝士
- ――３歩から５歩の助走でリズムよく跳ぶ
- ⑦ドッジボール ／本吉 伸行
- ――休み時間の遊びにつなげる様々なドッジボール
- ⑧サッカー ／中森 裕
- ――多様な動きを経験させる
- ⑨ハンドベースボール ／時田 和彦
- ――運動量抜群！お楽しみ会のメニューにも最適！「ならびっこベースボール」
- ⑩表現 ／橋爪 里佳
- ――ニャティティソーラン
- ５～６年
- ①マット ／浦木 秀徳
- ――汗びっしょりになるマット運動・授業の組み立て方
- ②鉄棒 ／藤本 克貴
- ――楽しくできる鉄棒リレー
- ③跳び箱 ／本吉 伸行
- ――成功体験を保証し、自信を持たせることが大切
- ④短距離・リレー ／堀田 和秀
- ――〝個人内評価〟で、どの子も達成感を味わうことができる「８秒間走」「リレー」
- ⑤ハードル ／牛腸 要
- ――運動量を確保し、体力アップを!!
- ⑥走り幅跳び ／島田 猛
- ――体を巧みに操作して、遠くへ跳ぶ
- ⑦走り高跳び ／溝端 達也
- ――身長と走力に応じた目標数値を設定し、どの子も熱中できる場づくりの工夫
- ⑧水泳 ／藤田 博子
- ――スモールステップで指導する
- ⑨バスケットボール ／伊藤 篤志
- ――授業の終わりに、汗をかくバスケットボール
- ⑩ソフトバレーボール ／岡 城治
- ――ラリーが続くソフトバレーボール
- ⑪ベースボール ／加藤 三紘
- ――「ならびっこティーボール」で運動量を上げ、体力づくりを行う
- ⑫表現 ／佐藤 貴子
- ――即興的に表現して楽しむ
- ⑬フォークダンス ／笠井 美香
- ――レッツフォークダンス！友達と合わせて踊ろう
- Ⅳ 業間・放課後の体力づくり
- ①手つなぎ鬼 ／松島 博昭
- ――多様な手つなぎ鬼を行う
- ②押し合い相撲 ／上野 晋平
- ――敏捷性やバランス感覚を養う運動
- ③ジャンケン手押し車 ／佐藤 宣久
- ――ジャンケン手押し車で基礎感覚を養う
- ④馬跳び ／水谷 洋克
- ――楽しくできる馬跳びゲーム
- ⑤Ｓケン ／髙木 順一
- ――Ｓケンで運動神経がよくなる
- ⑥石けり ／丹 美和子
- ――丸跳びからの基礎づくり
- ⑦ボールパスリレー ／和田 匡史
- ――運動量を十分に確保するルールの工夫
- ⑧シュートゲーム ／松田 大央
- ――夢中で投げて投能力アップ!!
- Ⅴ 親子でできる体力づくり
- ①ラジオ体操 ／柏倉 崇志
- ――ラジオ体操の正しい動きを身につけさせる
- ②縄跳び ／平山 勇輔
- ――親子で楽しく取り組める縄跳び遊びで体力をつける
- ③ストレッチ ／大石 哲久
- ――親子のコミュニケーションを図る
- ④ジョギング ／村田 淳
- ――自分のペースを保って走る
- Ⅵ 器具・用具を使っての体力づくり
- ①風船を使って ／村田 正樹
- ――多種多様な運動を人数を変えて行わせ、関わりを持たせる
- ②新聞紙を使って ／千葉 奈津実
- ――新聞を使って、いろいろな運動をしよう
- ③輪を使って(1) ／鬼頭 衛
- ――フラフープを使って、体の基本的な動きを総合的につける
- ④輪を使って(2) ／加藤 真一
- ――輪を使った32の遊びとゲーム
- ⑤ボールを使って ／岡 麻知子
- ――ボールを操作する感覚が身につく「まりつき」
- ⑥縄を使って ／原田 朋哉
- ――短縄跳びの体力づくりは、複数遊びやリレー遊びで！
- ⑦タイヤを使って(1) ／村山 浩康
- ――テンポよく楽しく取り組む
- ⑧タイヤを使って(2) ／梶野 修次郎
- ――タイヤを使った鬼ごっこ
- ⑨平均台を使って ／二瓶 温子
- ――平均台で体力づくり
- ⑩ジャングルジムを使って ／伊藤 篤志
- ――変化のある繰り返しで様々な運動をする
- ⑪登り棒を使って ／吉田 れいか
- ――多様な動きで楽しむ
- ⑫雲梯を使って ／小田 哲也
- ――スモールステップで動きづくりをする
- Ⅶ 体力づくりと生活科
- ①食事と体力 ／太田 健二
- ――朝食を食べて体力もアップ
- ②遊びと睡眠 ／齊藤 振一郎
- ――イキイキ、グッスリ、スッキリで、グングン成長！
- ③生活と遊び ／上木 信弘
- ――日常生活の中で子どもたちが進んで運動に取り組むようになる、向山型縄跳び指導システム
- ④テレビと運動 ／齊藤 幸宏
- ――テレビの視聴調査をして生活習慣を改善する
- あとがき
まえがき
ＴＯＳＳ体育授業研究会代表 ／根本 正雄
平成23年度の体力テストの結果を見ると、上体起こし、反復横跳び、20ｍシャトルラン、50ｍは、向上の傾向を示していると報告されている。
反面、握力、長座体前屈、立ち幅跳び、ソフトボール投げは、向上の傾向が見られない。
それに対して、身長、体重は大きく伸びている。これは、生活が豊かになり、栄養のある食べ物がたくさん食べられるようになったからである。
身長、体重は大きく成長しているのに、運動能力は低下している種目がある。なぜであろうか。
これは、昔に比べて生活が便利になり、歩いたり、体を動かしたりすることが、生活の中で少なくなってきたからである。
対策として、小学校では、屋外遊び、休日の過ごし方の改善が必要だと述べられている。
特に、スポーツクラブに所属して、定期的に運動している子どもの記録は良いと報告されている。しかし、スポーツクラブに所属できない子どももいる。
そのような子どもは、学校体育の中で運動能力を高める必要がある。方法は３つ考えられる。
１ 正課時体育の中で高める。
２ 業間、昼休み、放課後などで高める。
３ 学校行事の中で高める。
本書では、以上の３つの方法が紹介されている。
白石豊著『運動神経がよくなる本』（光文社）の中で、白石氏は体力の要素として次の４点を挙げている。
１ 柔軟性
２ 敏捷生
３ 持久力
４ 筋 力
白石氏は、体力の４つの要素をうまくとりまとめないと、目的とする動きや運動はできないと述べている。
４つの要素がバランスよく働いてこそ上手になる。それらを協調させているのが運動神経なのである。
体力と運動神経の関係について、白石氏は次のように述べている。
「優れた体力はスポーツでパフォーマンスを発揮するには絶対に必要だが、それらがうまく大脳によってコントロールされ、コーディネートされない限り宝の持ちぐされになってしまう。」
体力と運動との間をうまくつなぐパイプ役を果たすのが、運動神経回路なのである。
本書では、そのような運動神経回路を伸ばす指導法についても紹介されている。
自分の学級の子どもの実態に合わせて、どんな体力をどのようにつけていくのかを考えながら体力づくりを行っていく。
子どもの発達に合わせて動きを選択し、その時期に一番伸びる動きづくりを行っていくのである。
子どもが意欲を持って、楽しくできる体力づくりを工夫していくことが大事である。
本書には、体力づくり指導の経験がなく、困っている若い教師にすぐに役立つような内容が紹介されている。活用して、子どもの体力を高めてほしい。
どのような場面で，どのような体力を高めればいいのか。
迷った時に，辞書のように使えます。
お勧めです。