- まえがき
- ライフスキル指導事典の使い方
- T ライフスキルの目的
- @ライフスキルとは何か /並木 孝樹
- Aライフスキルの内容 /並木 孝樹
- Bライフスキルの方法 /細羽 正巳
- Cライフスキルの評価 /細羽 正巳
- U ライフスキル指導の場面
- @総合的な学習の時間 /石橋健 一郎
- ――ぼく・わたしの健康プラン
- A学級活動 /石山 弘子
- ――手をしっかり洗おう
- B学校行事 /松本 菜月
- ――運動会で「友達の血液にさわらない/自分の血液にさわらせない」ことを指導する
- V 中核となるライフスキル
- @対人関係スキル /川津 知佳子
- ――友達の長所を見つけ、それを相手に伝えよう。相手が喜ぶことをすると仲良くやっていける
- A自己認識スキル /川津 知佳子
- ――自分の心体の状態に気づき関心をもてるようにしよう。自分の心身をコントロールできるようにしよう
- B共感スキル /東條 正興
- C情動抑制スキル /東條 正興
- Dストレスへの対処スキル(1)意地悪をされたとき /小林 正快
- ――ストレスを受けると「心」「からだ」「行動」にどのような影響を受けるのかを知り、適切なストレスの解消法を身につけることができる
- Eストレスへの対処スキル(2)いじめをされたとき /家根内 興一
- Fストレスへの対処スキル(3)盗みの共犯にされたとき /表 克昌
- ――ストレス対処4つのステップ
- Gストレスへの対処スキル(4)性的暴力を受けたとき /脇坂 浩之
- ――自分を守るためにSOSの発信を!
- W 保健授業との関わり
- @健康の大切さ、健康によい生活 /細井 信克
- A体の発育・発達 /岡田 悠亮
- B心の発達及び不安、悩みへの対処 /中野 慎也
- C病気の予防 /稲嶺 保
- ――具体的場面での対応法と日々の積み重ねた指導で生活習慣病を予防する
- D怪我の予防 /齋藤 徳三
- ――危険を回避するには正しい知識と体験が必要
- X 喫煙防止教育
- @喫煙防止のねらい /千原 一弘
- ――自分で考え、判断し、対処する喫煙防止教育
- A各教科との関係 /千原 一弘
- ――学級活動で友だちからの誘惑をはっきり断るスキルを身に付ける
- B各学年の一貫した教育 /谷岡 眞史
- C指導方法の工夫 /多田 博祐
- ――喫煙防止教育をライフスキル学習で!
- D指導体制の工夫 /前島 康志
- ――禁煙教育ができる学校体制を作る
- E家庭や地域との連携 /前島 康志
- ――家庭・地域の連携を深めることで効果を高める
- Y 飲酒、薬物乱用防止教育
- @飲酒、薬物乱用防止教育のねらい /細井 信克
- A各教科との関係 /中野 慎也
- B各学年の一貫した指導 /家根内 興一
- C指導方法の工夫 /表 克昌
- ――勇気をもって断ろう
- D指導体制の工夫 /稲嶺 保
- ――全学年が共通した考えで飲酒・薬物乱用防止に取り組む
- E家庭との連携 /脇坂 浩之
- ――子どもに説明できる保護者会を!
- Z HIV/エイズ教育
- @エイズ教育のねらい /新牧 賢三郎
- A各教科との関係 /新牧 賢三郎
- B各学年の一貫した指導 /青柳 徹
- C指導方法の工夫青 /青柳 徹
- D指導体制の工夫 /上木 信弘
- ――養護教諭と一緒に授業をする
- E家庭との連携 /上木 信弘
- ――HIV/エイズ教育を保護者参観授業で行う
- [ 食育教育
- @「食育」の必要性 /小林 正快
- ――日本の伝統食「和食」について調べ発信しよう
- A食育推進の仕組み /岡田 悠亮
- B食育の内容 /齋藤 徳三
- ――TOSSランドを使えば、どの子も夢中になる「食育の授業」ができる!
- C見て、体験する食育 /橋本 信介
- ――宮本武蔵から現代の食生活を学ぶ!〜よくかんで食べよう【そしゃくの授業】〜
- D生活習慣と食育 /谷岡 眞史
- E家庭との連携 /岡 麻知子
- \ 脳と自己コントロール
- @リズム運動とセロトニン /松本 一樹
- Aゲーム脳と和太鼓 /多田 博祐
- ――リズム運動に最適! エア和太鼓
- B脳科学と教科指導 /中山 崇
- ――チャンクと手続き記憶を意識しよう
- C脳にとっての大切な栄養 /栗原 龍太
- Dワーキングメモリを高める /橋本 拓馬
- Eゲーム脳 /橋本 拓馬
- ] 特別支援教育とライフスキル
- @定型発達者として(1)ADHDの友達との接し方 /松本 一樹
- A定型発達者として(2)意欲を高める自閉症との接し方 /中山 崇
- ――具体的に話すスキルを身に付けよう
- B定型発達者として(3)自己肯定感を高めるアスペルガーとの接し方 /栗原 龍太
- C発達障害者として(1)定型発達者がキレることば /小野 隆行
- ――キレることばを教えるだけでなく、その後の行動まで教えて褒める
- D発達障害者として(2)生活に落ち着きが出ることば /小野 隆行
- ――思いは受容する。思いと行動とを同じように指導しない
- E発達障害者として(3)学習意欲が高まることば /小野 隆行
- ――分からなくても大丈夫だという安心感をもたせることばかけが必要である
- あとがき
まえがき
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
学校における心と体の健康づくりが叫ばれている。体の健康だけでなく、最近は不登校、いじめなどの問題もあり子どもの心や健康のあり方が問題になっている。
健康教育は、もともと病気の予防や健康維持、増進、適度の運動、保健指導などを行ってきた。
しかし、最近は不登校、ストレス、対人関係の不適応、鬱の問題などが多くなり、心の問題も指導するようになってきた。
その解決策として、ライフスキルが行われるようになってきた。
ライフスキルは、世界保健機関(WHO)の定義では「日常の様々な問題や要求に対し、より建設的かつ効果的に対処するために必要な能力」とされている。
つまり、複雑化した現代社会において、生きていくために必要な社会的能力を身につける教育である。
現在及び将来の健康に深く関わる問題について、学校教育の中で学習させていこうというものである。
学校だけでは健康教育ができないのである。健康教育を家庭、地域社会にまで広げるために、ライフスキルを学校の学習で、行うようになってきた。
心の問題の指導とともに、「子どもの時につけたい生活習慣づくり」にも、ライフスキルの指導は役立つ。
家庭では指導されていない生活習慣を、ライフスキルとして身につけさせていく。
それでは、ライフスキル教育を取り入れた学習を、具体的にどのように進めていったらよいのであろうか。
『「健康教育とライフスキル学習」理論と方法』(JKYB研究会、川畑徹朗編、明治図書)の中に「喫煙防止教育」の方向目標と授業目標の例が示されている。
小学校4年生から6年生を対象にしたもので、具体的に示されている。
ここで注目されるのは、「知識、理解、態度」ではなく「知識、態度、スキル」となっていることである。態度だけでなく、スキルとしての目標を掲げている。
学習指導要領には、喫煙に関する指導内容は明記されていないが、5年と6年に「病気の予防」の中に関係のある部分がある。
喫煙防止をどのように行っていくのかを考える上で、ライフスキルは参考になる。保健の学習だけでなく、他の教科・領域でも行っていく必要がある。
知識や態度としては今までされてきた面もあるが、スキルとしての学習はされてこなかった。
現実の生活の中で遭遇する具体的な場面で、それに対処する学習を行うことは大事である。
意思決定のモデルが示されていれば、自分の意思決定の参考になる。他人との比較によって、様々な方法があることが分かる。
さらに状況を設定して、状況に応じて自己主張ができるようにしておくことは、現実の生活の中に応用することができる。
そういう意味で、健康教育をライフスキルの面から考えていくことはこれからの健康教育にとって重要である。
本書ではそのような問題解決の方法として、ライフスキルを取り入れた実践を多く紹介している。
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- 明治図書