- まえがき
- オリンピック指導事典の使い方
- T オリンピック選手をめざす!
- 子どもに夢と目標を語ろう /吉川 廣二・渡辺 喜男・溝端 達也・小松 裕明・岩田 史朗・根本 正雄
- U オリンピックの歴史としくみ
- @オリンピックの歴史 /駒井 隆治
- Aオリンピックのしくみ(QA集) /松藤 司
- B面白エピソード(1) 競技種目の変遷 /東條 正興
- C面白エピソード(2) メダルの変遷 /岡本 純
- D面白エピソード(3) 日本の記録@ /毛利 康子
- E面白エピソード(4) 応援団の話 /三島 麻美
- F面白エピソード(5) 日本の記録A /竹内 正宏
- V パラリンピックの意義と選手の頑張り→子どもに語ろう
- @パラリンピックの歴史 /上川 晃
- Aパラリンピックの意義 /小田原 誠一
- Bパラリンピック選手のエピソード(1) 低学年 /川津 知佳子
- ―走り幅跳びの選手として、パラリンピックのよさを伝える人として夢を追い続ける佐藤真海さん
- Cパラリンピック選手のエピソード(2) 中学年 /井上 武
- Dパラリンピック選手のエピソード(3) 中学年 /桜井 健一
- ―ライバルに捧げる金メダル
- Eパラリンピック選手のエピソード(4) 高学年 /牛腸 要
- ―あきらめずに、夢をもち続ける
- Fパラリンピック選手のエピソード(5) 中学校 /山本 雅博
- W オリンピック選手のトレーニング法に学ぶ
- @元オリンピック選手が教える速く走るためのトレーニング法 /佐藤 泰之
- Aロンドンオリンピックのマラソンに日本代表として出場した選手の練習方法 /原田 朋哉
- B北京オリンピックに出場した水泳選手のトレーニング法 /加藤 三紘
- C体操競技の練習方法 /村田 淳
- ―オリンピックコーチが教える上達法
- Dバルセロナの選手に教えてもらうサッカー指導法―フリーマン /宮崎 道久
- Eバスケットボールをデジタル化する指導法 /浦木 秀徳
- ―デジタル機材を使い、プレーを「見える化」することで基礎技術を身につけさせる
- X 図解=オリンピック種目と体育教材のクロス一覧
- @短距離走 /稲嶺 保
- A中距離走 /大谷 智士
- ―運動強度を「見える化」することでやる気が倍増!
- B走り幅跳び /松岡 高史
- C走り高跳び /伊藤 翔太
- ―テクニカルポイントをおさえてオリンピックの記録にチャレンジ!
- Dハードル走 /篠崎 弘敬
- Eリレー /藤井 達也
- Fマット運動 /辻岡 義介
- G鉄棒運動 /村田 正樹
- H跳び箱運動 /本宮 淳平
- I平均台運動 /柏倉 崇志
- ―「歩くコツ」を指導する
- J表現リズム /二瓶 温子
- K表現 /佐藤 貴子
- L平泳ぎ /表 克昌
- M背泳ぎ /冨築 啓子
- Nバタフライ /佐藤 大輔
- ―クロールとドルフィンキックを組み合わせて、バタフライをマスターする
- Oバスケットボール /中嶋 剛彦
- ―バスケットボールでコーディネーション能力を育てる
- Pサッカー /三好 保雄
- ―キックよりまずボールキープ力だ
- Qハンドボール /吉田 明宏
- ―4つの局面に分けて、ハンドボールの花形「ジャンプシュート」を決めよう!
- R バレーボール /鶴田 裕一
- ―ラリーを続ける楽しさを!
- Y 科学的トレーニング法―どこまで解明されているか
- 1 ボディトレーニング法の到達点→動体視力などを含めて
- @陸上 /本吉 伸行
- ―いろいろな動きを継続して行い、感覚を身につける
- A球技 /角家 元
- B器械 /小原 嘉夫
- ―鉄棒運動が得意になる科学的トレーニングの原則
- C水泳 /徳本 孝士
- D体つくり /山口 俊一
- 2 メンタルトレーニング法の到達点→イメージトレーニングなどを含めて
- @陸上 /根津 盛吾
- A球技 /青柳 徹
- B器械 /寺本 聡
- ―基礎感覚とインナーマッスルを鍛える
- C水泳 /村山 浩康
- ―水泳授業で活用するメンタルスキル
- D表現―「見る」「まねる」「ちょっと工夫する」「創作する」表現 /笠井 美香
- E体つくり /岡 麻知子
- ―呼吸法を意識したストレッチ〜ヨガ〜でリラックス状態をつくる
- あとがき
まえがき
TOSS体育授業研究会代表 /根本 正雄
2014年2月、ソチ冬季オリンピックフィギュアスケート男子で、羽生結弦選手が金メダルを獲得した。昨季までは「ジャンプに悪影響が出るから」と、筋肉を鍛えることを拒んでいたという。
しかし、コーチに「筋肉を太くするのではない。腰、ひざ、足首を強くするためだ」と熱心に説得され、今季から鍛え始め、その成果が金メダルにつながったという(朝日新聞 2014年2月15日夕刊)。
腹筋や背筋のインナーマッスルを鍛えるという、科学的なトレーニングを行ったため、体力がつき、滑りの安定感が増し、金メダルを獲得したのである。
イチロー選手は、2004年10月1日、シスラーのシーズン通算257安打の記録を抜いた試合後のインタビューで、次のように語っている。
「遠くに飛ばす力はバランスだとか、身体を正しく使うことによって生まれる」
イチロー選手は大リーグの中でも小さい方である。小さなイチロー選手が大記録をつくれたのは、パワーではなく、バランスであり、身体を正しく使うことによって生まれたのだという。
つまりスポーツ科学の成果を練習に取り入れ、行っていったからである。
2010年「脱ゆとり教育、授業時数の増加」により、体育的学力を培う体育が行われてきた。体育で保証できる学力として、体育の目標(学習内容)について検討された。
その中で、身体能力、態度、知識、思考判断の4領域を特性とするとともに、それらにかかわった学習内容を具体化することに大きな努力が払われてきた。
一方、運動・スポーツについての知識を身につけて、スポーツを文化として発展させていくことも求められている。
スポーツは自発的な運動の喜びを基調とするものである。
体育の学力を向上させることも大切であるが、子どもが自ら意欲をもって積極的に運動していく体育指導も大切である。
サッカーのオシム監督は、スポーツは人の心を育て、夢や情熱を育てると述べている。教室にどのようなスポーツを取り入れたらよいのかという問題がある。
深代千之氏は、『賢い脳をつくるスポーツ子育て術』(誠文堂新光社)の中で、バイオメカニクスに基づいた指導法を提唱している。
「投げる動きを『スポーツ・バイオメカニクス』の中で、体幹のねじりが先にあって、肩や腕の動きが少し後からついてくるような投げ方が大事だ」と述べている。
その方法として、めんこの動きが投げる運動につながっていると述べている。
強く投げ下ろすためには、腕や肩を使うだけでは足りず、上体や腰のねじり、回転も加えると効果的なのである。
このように、「投げる」についての原理に基づいて、授業の中で指導していくと効果的である。
本書には、科学的な指導に基づいたトレーニングの実践が紹介されている。活用して、運動が楽しいという子どもを育ててほしい。
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- 明治図書