- 特集 図工科の授業をおもしろくするアイデア68
- 特集によせて
- 第1章 図工が好きになるアイデア
- 1 教師の苦手意識を克服するアイデア1 /上中 良子
- 2 教師の苦手意識を克服するアイデア2 /星 邦男
- 3 年間カリキュラムの工夫のアイデア /東山 明
- 4 図工の領域をバランスよく学習するアイデア /武田 薫
- 5 図工ぎらいの子どもを好きにするアイデア1 /大橋 功
- 6 図工ぎらいの子どもを好きにするアイデア2 /川路 澄人
- 7 子どもの表現の発達を生かした図工のアイデア /直江 俊雄
- 8 図工科で子どもの学力をつけるアイデア /武田 薫
- 9 子どもを表現好きにする9つのアイデア /真宮 美奈子
- 10 子どもを図工好きにする6つのアイデア /川島 真紀雄
- 11 子どもの意欲を持続する5つのアイデア /川島 真紀雄
- 第2章 楽しい授業づくりのアイデア
- 12 子どもの瞳を輝かせる導入のアイデア1 /東山 明
- 13 子どもの瞳を輝かせる導入のアイデア2 /馬場 泰
- 14 子どものイメージを豊かにするアイデア /初田 隆
- 15 子どもが喜ぶ図工の授業のアイデア /馬場 泰
- 16 日常生活を授業に生かすアイデア /上中 良子
- 17 小学校低学年の図工をおもしろくするアイデア /阿部 宏行
- 18 小学校中学年の図工をおもしろくするアイデア /松村 陽子
- 19 小学校低学年の教材のアイデア /船木 英明
- 20 小学校中学年の鑑賞教材のアイデア /隅 敦
- 21 小学校高学年の鑑賞授業・教材のアイデア1 /吉田 貴富
- 22 小学校高学年の鑑賞授業・教材のアイデア2 /安田 政彦
- 23 造形遊びをおもしろくすすめるアイデア /初田 隆
- 24 授業をおもしろくするアイデア /栗山 誠
- 25 中学校の美術をおもしろくするアイデア1 /直江 俊雄
- 26 中学校の美術をおもしろくするアイデア2 /三浦 浩喜
- 27 教科書を効果的に使うためのアイデア1 /東山 明
- 28 教科書を効果的に使うためのアイデア2 /神吉 脩
- 29 材料集めのアイデア1 /馬場 泰
- 30 材料集めのアイデア2 /荒治 和幸
- 31 研究授業の組み立て方・工夫のアイデア /荒治 和幸
- 32 参観授業を魅力ある授業にするアイデア /船木 英明
- 33 子どもが主体となる授業のアイデア1 /大橋 功
- 34 子どもが主体となる授業のアイデア2 /川路 澄人
- 35 やる気のわく制作活動のアイデア /岩ア 由紀夫
- 36 自由な発想が広がる授業のアイデア /岩ア 由紀夫
- 37 やる気のでる授業のアイデア /吉田 貴富
- 38 授業の雰囲気づくりのアイデア /刈屋 てい子
- 39 材料・道具の工夫で自信をつけるアイデア /河野 令二
- 40 教師のことばかけのアイデア /大橋 功
- 41 子どもに大人気の教材アイデア /吉田 貴富
- 42 早くできる後片付けのアイデア /刈屋 てい子
- 43 学校全体に美術教育を生かすためのアイデア /三浦 浩喜
- 44 保護者に関心をもってもらうためのアイデア /岩ア 由紀夫
- 45 校内の図工展を成功させるアイデア /三木 優
- 46 写生大会を成功させるための5つのアイデア /阿部 宏行
- 47 野外での美術活動を成功させるためのアイデア /浜本 昌宏
- 48 工作で使える便利な道具のアイデア /浜本 昌宏
- 49 基本的な道具の使い方のアイデア /星 邦男
- 第3章 新学習指導要領をふまえた授業づくりのアイデア
- 50 生きる力を伸ばす図工の授業のアイデア1 /辰見 隆司
- 51 生きる力を伸ばす図工の授業のアイデア2 /小山 貞雄
- 52 生きる力を伸ばす図工の授業のアイデア3 /海老原 礼子
- 53 地域文化と関連させた授業のアイデア /辰見 隆司
- 54 総合的な学習と関連させた授業のアイデア1 /荒治 和幸
- 55 総合的な学習と関連させた授業のアイデア2 /安田 政彦
- 56 総合的な学習と関連させた授業のアイデア3 /竹井 史
- 57 学校行事と関連させた授業のアイデア1 /三浦 浩喜
- 58 学校行事と関連させた授業のアイデア2 /隅 敦
- 59 コンピュータを使った授業のアイデア1 /上山 浩
- 60 コンピュータを使った授業のアイデア2 /上山 浩
- 図解 見てわかる図工科のアイデア
- 61 材料や用具の準備のアイデア /松村 陽子
- 62 使いやすい図工室のアイデア1 /小山 貞雄
- 63 使いやすい図工室のアイデア2 /松村 陽子
- 64 子どもの作品展示のアイデア /浜本 昌宏
- 65 ホールや廊下での作品展示のアイデア /神吉 脩
- 66 子ども美術館のアイデア /神吉 脩
- 67 人気のでる図工通信のアイデア /栗山 誠
- まとめ 充実感のある授業づくりのアイデア
- 68 楽しい造形,楽しい授業の創造 /東山 明
特集によせて
大学の授業での出来事だが,教員志望の学生の間でおもしろい議論が交わされた。自由な表現を可能にする図工・美術の授業のあり方に対して,三年生のある学生は,材料を集められるだけ集め,全くしたいようにものづくりをさせる授業がベストだと主張した。教師は必要に応じて支援をすればいいことも付け加えた。これに対して,マレーシアから来たある留学生は,それでは自分の表現したいものが表現できない,まず,基礎的なことを教えることが大切だという。この議論は他の学生を巻き込み,白熱したものとなったが,結論は出ずじまいだった。しかし,議論の経過で共通した意見が二つ出てきた。まず,一つ目は,両方の考え方とも大切であって,十分な時間があれば両者は連動できるのではないかということ,もう一つは,どのような授業であってもおもしろくないものはダメだというものだった。
一学生たちの論議が図工科の課題にそのまま当てはまるとは思わないが,この議論は,図工・美術科の問題点や期待をうまく言い表していると思う。前者の意見にかかわっていえば,図工科で理想的な授業をするには,現在の時間では短すぎるということ。後者についていえば,図工の授業には,前提として「おもしろさ」が期待されているということである。
2002年の学習指導要領の改訂を目前に,総合的な学習の時間の設置を核として教育のあり方が根本から問い直されることになった。原理的には,今世紀初頭以降の合科学習,問題解決学習,あるいは生活単元学習など様々な形で試みられた新教育運動の総括として検討されるべき問題である。現実問題としては総合的な学習の時間の運営のあり方が関心事であるが,その問題と連動して,教科そのもののあり方も問われることになった。
このような状況に際し,ますます短くなる図工の時間をいかに充実することができるか,さらには,新しい枠組みとして開始される総合的な学習の時間に,図工科の課題がいかに連動するかについて,取り組む必要が出てきた。
今回の特集では,そのような教育現場の要求に応えるべく,図工科の授業をどのようにすれば,エネルギーに満ちた,おもしろく,楽しいものになるのかについて,専門家の方々のエッセンスをまとめていただいた。設定されたテーマ自体は,特に目新しいものではないが,現時点において,実践研究の成果をまとめておくことは,次の時代を確かな足どりにする上で意義のあることだと思う。
内容から,1章では図工が好きになるアイデア,2章では楽しい授業づくりのアイデア,3章では新学習指導要領をふまえた授業づくりのアイデア,見てわかる図工科のアイデアそして,まとめと,大きく5章に分かれることになった。授業づくりのガイドブックとして,どこからでも読みすすめ,多くのアイデアを有効に活用していただければ幸いである。
創って育てる・子どもの造形研究会
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- 明治図書