- まえがき
- T 「いじめ」について
- 1 「いじめ」とは
- 2 「いじめ」が急増した要因
- 3 「いじめ」が原因で自殺した子どもが急増した要因
- 4 教育現場は、どのような取り組みが必要なのか
- 5 「いじめ」学習指導計画
- 6 「いじめ」は、なくなるか
- U 道徳自作資料
- 一 『「いじめ」は、犯罪』
- 二 『傍観者』
- 三 『命を大切に』
- 四 『続・共に生きる』
- 五 『お母さん、産んでくれてありがとう』
- 六 『幸せのかけら』
- 解説 文部省 教科調査官 /押谷 由夫
- あとがき
まえがき
本書を手にされた
「あなた」
本文中の写真を見て何かを感じたのではないでしょうか。
本書では、本文中の写真を活用した道徳オリジナル資料を掲載しています。詳しくは、本書をお読みください。
「いじめ」が原因による自殺者が一九九四年以降多発しました。
なぜ、このように「いじめ」がはびこり、「いじめ」を苦にした自殺者が跡を絶たないのでしょうか。それは、現在の「いじめ」が陰湿化、悪質化しているからではないでしょうか。
学校現場ではこのような状況下だからこそ、「いじめ」を題材とした授業を行うことが急務ではないでしょうか。
それでは、現在の学校現場では「いじめ」を題材とした授業が行われているのでしょうか。ほんの一握りの学校や教師しか行っていないのではないでしょうか。私が意図する「いじめ」を題材とした授業とは、単元化もされず単発的で子どもの心に響かないものは、対象外です。
そのような子どもの心に響かない「いじめ」を題材とした授業しか行われてこなかった原因は、次の三点です。
一、教材化が難しい。
二、適切な教材が見当たらない。
三、自作資料を否定的に考える教師が多かった。
そこで、本書ではそれらの問題点を深く追究し、教師としてどのような授業をすることにより、「いじめ」を減らすことができるかを具体的な授業群を用いて説明しています。
本気で子どもたちと「いじめ」に立ち向かおうと考えている先生方、ぜひ本著を追試してみてください。
本書の四つの魅力について、以下に述べてみましょう。
魅力一 「いじめ」をテーマにした六本の道徳自作資料を単元化しています。
「いじめ」を撲滅するために、次の六つのテーマに基づいて六本の道徳自作資料を配置しています。
〔 テーマ 〕 〔 資料名 〕
(1) 「いじめる側」 ・『「いじめ」は、犯罪』
(2) 「傍観者」 ・『傍観者』
(3) 「いじめられる側」 ・『命を大切に』
(4) 「共に生きる」 ・『続・共に生きる』
(5) 「命・家族愛」 ・『お母さん、産んでくれてありがとう』
(6) 「前向きに生きる」 ・『幸せのかけら』
魅力二 ほとんどの道徳自作資料に「学習指導案」を掲載しています。
道徳の研究授業をするに当たって、特に苦労するのが次の二点です。
(1) どの資料を使うか。
(2) 指導案をどう作成するか。
(1)は、主に副読本を使うか、道徳自作資料を使うかのどちらかになると思います。
(2)は、若い教師にとっては、特に苦痛になると思います。
特に、道徳自作資料を使った場合は、自分ですべて指導案を作成しなければなりません。その苦労は意外と大変で、その苦労を軽減するためにも、道徳自作資料の「学習指導案」が必要だと感じました。
本書では、六本中五本の道徳自作資料に「学習指導案」が付いています。
これで、あなたも大船に乗って道徳の研究授業に取り組めます。
魅力三 「総合的な学習の時間」や他の教育活動と連動しています。
道徳の時間だけで「いじめ」を打破することは、かなり困難です。そこで、「総合的な学習の時間」や他の教育活動と連動させることにより、相乗効果が期待できます。
例えば、道徳自作資料『続・共に生きる』の授業を行った後、「総合的な学習の時間」に福祉作業所について、直接訪問取材や電話取材、インターネットによる取材などの活動を行います。その後、福祉作業所の方との交流活動(直接交流・間接交流)を行い、感じたことや考えたことをまとめ、発表します。それらの活動を通して、今後の自分の生き方を再考させることができます。
また、他の教育活動と連動させるものとして、例えば、担任が子どもに夜突然電話をしたり、手紙を出したりします。その他にも、保護者への宿題として自分の子どもに対して、「〇〇を産んで、本当によかったよ。」と言ってもらったりします。そのような活動を通して、子どもの心を和らげ、精神的に安定した状態をつくることができます。子どもたちが安定した精神状態になれば、「いじめ」という行為を起こす可能性も減るはずです。
各自作資料ごとにこれらの活動を具体的に掲載しております。
魅力四 授業のセールスポイントが一目で分かり、すぐに追試ができます。
六本すべての授業記録の一ページ目に、次の五点を書いています。
@ ねらい
A 特徴
B 作成に当たってのエピソード
C 対象学年
D 追試の際の留意点
すべての実践記録に「資料」と「発問・説明・指示・助言」と「子どもの反応」と「ワークシート」の四つがワンセットとなって載っています。特に、すべての道徳自作資料に対して、「ワークシート」がセットとなっていますので、追試をする上でも大変便利です。
本著に掲載している写真やTPシートを授業のためにコピーすることは、すべて可です。よろしければ、そのままコピーしてお使いください。
本書の道徳自作資料をあなたの学級の実態に応じて、改作・オリジナル化してご使用ください。
私は、「道徳自作資料の部屋」というホームページを開設しています。
URLは、http://www.synapse.ne.jp/ooe/ です。
パソコンをお持ちの方は、本書を追試した感想などを電子メールでお送りくださればありがたいです。
2000年3月 /大江 浩光
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- 明治図書
- 資料がわかりやすく活用しやすかった。2016/1/1750代・小学校教員