- はじめに
- T 道徳授業における終末の重要性
- 1 終末の生かし方で変わる道徳授業
- [1] 終末のもつ力
- [2] 授業を壊してしまう終末
- [3] 説話の魅力
- [4] 終末の活動の必然性
- 2 ねらいに沿った終末の工夫
- [1] 効果的な終末にするには
- [2] 学級経営上の配慮を
- [3] 柔軟にとらえた対応を
- [4] 授業者が楽しんでこそ
- U 実践 子どもの心に響く終末の工夫
- 第1学年 1−(1)節度,自立
- ハンプティ・ダンプティが見ているよ
- 第1学年 1−(1)節度・節制,自立
- 目を閉じてこれからの自分を想像してみよう
- 第1学年 2−(3)友情・信頼
- クラスの合言葉を語ろう
- 第1学年 2−(3)友情・信頼
- 友達の歌をみんなで歌う
- 第1学年 3−(1)生命尊重
- 小さな命を実感しよう
- 第2学年 2−(2)思いやり・親切
- 生活科授業の体験を生かす
- 第2学年 3−(2)自然愛・動植物愛護
- 卒業生の手紙に込められた思いを生かす
- 第2学年 4−(4)愛校心
- 上級生のつくった歌を聴こう
- 第3学年 2―(2)思いやり・親切
- 学級の「キラキラ賞」を発表しよう
- 第3学年 2−(4)尊敬・感謝
- お世話になっている方からのメッセージ
- 第3学年 3−(1)生命尊重
- 愛がこもった言葉のおくりもの〜家族からの手紙〜
- 第3学年 3−(2)動物愛護
- 獣医さんから話を聞こう
- 第4学年 1−(4)正直・誠実
- 今年の漢字〜旬な話題を終末に〜
- 第4学年 3−(2)自然愛,動植物愛護
- 日記を読み返してみよう
- 第4学年 4−(4)愛校心
- 学校のよさを5・7・5で語ろう
- 第4学年 4−(6)愛国心
- 「心のノート」で日本のよさを学ぼう
- 第5学年 2―(4)寛容・謙虚
- 自分の考えをもとに行為を表してみよう
- 第5学年 3−(1)生命尊重
- 思い出の写真をスライドショーで
- 第5学年 4−(1)公徳心
- ジコ虫を退治するには〜ポスターを活用した授業〜
- 第5学年 4−(4)勤労
- 地域の方の顔写真とふきだし
- 第5学年 4−(4)勤労,社会奉仕
- 他学年からのビデオレター
- 第6学年 3−(1)生命尊重
- BGMをかけて余韻にひたる
- 第6学年 3−(1)生命尊重
- 自分の「生きる」を見つけよう〜詩を活用して〜
- 第6学年 3−(1)生命尊重
- 家族への感謝の気持ちを手紙にして
はじめに
わたしが道徳授業の研究を始めてから20年が過ぎました。この間,学習指導要領の改訂が3回あり,その都度,道徳の時間の目標も少しずつ改訂されてきました。平成元年の改訂では,道徳的心情を豊かにすることが強調されました。平成10年の改訂では,「道徳的価値の自覚を深める」ことが加わり,道徳の時間の特質が明確になりました。さらに,平成20年の改訂では,「自己の生き方についての考えを深める」ことが加わり,このことを強く意識して指導することが求められています。
3回の改訂を経ても,道徳的実践力を育てることを目的とする道徳授業の本質は変わっていないと感じています。また,道徳授業の基本的な指導過程にある終末の役割もずっと「今後の発展につなぐ段階」であるとされ,脈々と続いています。
これまで,わたしは,優れた先輩方の道徳授業を何度も見せていただきました。子どもが進んで発言を重ね深めていく授業,子どもが自然と自分の体験を語り出す授業,「自分もこんな授業をしてみたい」とあこがれました。終末も子どもたちの心に響くよう工夫されていました。自身のとっておきの話を語った先生,自作の詩を紹介した先生,クラスの歌を子どもたちと共にギターの弾き語りで歌った先生,……どの場面も鮮やかに蘇ります。クラスの子どもたちばかりでなく,参観者の心にまで響いた終末なのです。
近年,道徳授業を当たり前のように毎週行う先生方が増え,喜ばしいことです。しかし,その一方で,終末は必ず説話だと思っていたり,終末の準備をせず授業に臨んだりすることが見受けられます。そればかりではなく,とにかく自分のとってきた写真を終末に見せたいから道徳授業をするというような結果的にねらいを無視してしまう終末もあるようです。
紙芝居や語り聞かせ等の資料提示の工夫,子どもへの問いかけ方をしっかり考える発問の吟味が道徳授業では重要です。ねらいに沿った工夫次第で道徳授業は多種多様に変化します。
同様に終末もねらいに沿うことで,子どもたちの心に響く様々な工夫ができるのです。
本書では,子どもの心に響く終末の工夫について以下のようにまとめました。
第1章では,道徳授業における終末の重要性を具体的な授業場面を挙げて解説しています。
第2章以降は,常にアンテナを張り,終末を工夫する材料を目と心と足で探している先生方の授業実践事例をその準備や配慮事項と共に紹介しています。
先生方が少しでも楽しみながら終末を工夫し,道徳授業を進める参考になれば幸いです。
終わりに,これまでわたしを導いてくださった先輩方,そして今回,優れた授業実践事例をお寄せ下さった諸先生方に心より感謝するとともに,出版に当たり多大なるご尽力をいただいた明治図書の茅野現氏に厚く御礼申し上げます。
/松井 敏
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- 明治図書
- 道徳で最も大切な終末の種類が豊富に掲載されており、日々の授業で即追試でき、大変ありがたかったです。2024/8/1940代・小学校管理職