- はじめに
- 第1章 小学校低学年で育てたいセルフエスティーム
- 【この子のためにセルフエスティームを育てる】
- (1) 「悩める」子どもたち
- (2) 心理学的な立場から
- (3) 都小道調査部の研究より
- 【低学年のセルフエスティームをどのように育てるか】
- 第2章 実践・低学年の道徳授業で育てるセルフエスティーム
- @ はじめの いっぽ!
- *資料 「うさぎの えんそく」4−(1)公徳心
- A キミは自分のことが好き?
- *資料 「ぼく」1−(4)明朗・誠実
- B 可能性に気づこう 無限のパワー
- *資料 「うしろまわし」1−(2)勤勉・努力
- C 家族の愛が自信を支える
- *資料 「いのちが あって よかった」4−(2)家族愛
- D 友達をたくさんつくりたい!
- *資料 「くまさんの なみだ」2−(3)信頼・友情
- E 友達パワー探しで自分を見つめ直す
- *資料 「たからもの」2−(3)信頼・友情
- F がんばる自分にメッセージ
- *資料 「かきかたのじかんのこと」1−(2)勤勉・努力
- G ともだち大すき じぶんが大すき
- *資料 「みんなのいいところ」1−(2)勤勉・努力
- H お母さんの子で本当によかった
- *資料 「いちばんのたからもの」3−(2)生命尊重
- I 自分ってすてきだな
- *資料 「ぼく」3−(2)生命尊重
- J オンリーワンの中のナンバーワン
- *資料 「ふえをふいて」2−(4)尊敬・感謝
- おわりに
はじめに
現代社会に生きる子どもたちは,どこに心を置いて生きているのであろうか。
塾通いに明け暮れ,日々点数で評価され,いつもだれかと比べられ,心の落ち着く場所がない。世の中に目を転じれば,働かない若者たち,金銭に縛られ欲望のままに生きる大人たち。そして,忘れ去られた子どもたち。目標とする人もなく,ついには夢も消え失せる。こんな生活を強いられる子どもたちは,自分の存在意義を認識できずに生きることになる。いじめ問題も自殺問題も決してこのことと別物ではない。
子どもたちは何を大切にし,どこに価値を見いだして歩んでいったらよいのだろうか。
こんな時代だからこそ,一人一人の子どもにセルフエスティームを育てて欲しい。人と比べられ,評価される恐怖から脱却し,自分が自分であることを誇り,生きていることを喜び楽しめる,そんな自分を育てて欲しい。
「あなたはあなたのままでいいんだよ」と,「あなたはみんなに愛され,大切にされているんだよ」と,「あなたがいるからみんなも助けられているんだよ」と語り掛けてあげたい。そのためにも今,学校教育の中で道徳授業のはたすべき役割は大きい。道徳授業だからこそできることがあるはずである。そんな願いを込めて本書を刊行した。
本書の実践編には1時間の道徳授業を通してセルフエスティームの育成に取り組んだものを収録した。ただし,国語や生活科,特活などと関連づけて実践されたものも意識して掲載するようにした。本書の「中学年編」「高学年編」では,こうした取り組みが「ロング(総合的)の実践」へと発展したものが紹介されている。
どの実践でも,学級全体の雰囲気を記録するにとどまるのではなく,できるだけ一人の子に着目し,その子の中にどのようにセルフエスティームが育っていったのか,「この子」のストーリーをレポートするよう心掛けた。
どの子も幸せに生きたいと考えている。よりよく生きたいと願っている。どの子も自分を肯定的にとらえ,自信をもって明日への一歩を踏み出せる,そんな子どもを育てる道徳授業を創造していきたい。
2007年7月 編著者代表 /清水 保徳
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- 明治図書